子供のころ、そして、初めての望遠鏡

子供の頃、両親に買ってもらった宇宙図鑑が天体や宇宙に興味を持ち始めたきっかけだったと思います。いつも図鑑を眺めては想像を膨らませていたのを思い出します。とりわけ太陽系の章に描かれている木星や土星の不思議な縞模様が大のお気に入りでした。私が生まれたくらいのころに人類は月面に降り立ち、宇宙に興味を持ち始めた小学生のころに、外部太陽系・惑星間空間探査のためのボイジャー・ミッションが進行していたりと、とてもわくわくするような出来事が続いていた、そんな時代でした。

初めての望遠鏡は、中学生のころに新聞配達1年分(約10万円)のお金で購入した口径10cmのニュートン式反射望遠鏡でした。暗視野照明付の極軸望遠鏡と1軸モータードライブを備えた赤道儀、マルチコートの施された10cmF10反射鏡筒のセットで、中学生が自力で購入できる機材としては、十分すぎるくらいに立派なものでした。これは今でも札幌の実家に大切に保管してあります。

Vixen Polaris R100L ニュートン式反射鏡筒 +New Polaris赤道儀

R=100mm, fl=1000mm(F10, パラボリック), ニュートン式反射鏡筒
・30mmx6倍ファインダー
・1軸モータードライブ付赤道儀
・暗視野照明付極軸望遠鏡
・付属アイピース(24.5mm径) K20mm, Or9mm, Or5mm

  

反射式の望遠鏡の中で10cmは今となっては最も小口径ですが、それでも中学生のときにクラスで一番身長が小さかった私には、赤道儀がとても重たくて取り回しはとても大変でした。赤道儀がなぜ必要かについては、日周運動を図鑑や中学校の授業で見たり習ったりしていたのでおおよそ理解していましたので、鏡筒と赤道義を背中に背負って、近くの野原までチャリで頑張って運んでいました。いま考えてみれば、かなり変わった子供だったと思います。当時、極軸出しや主鏡筒のアライメントなど、小さな脳みそで悩みましたが、とりわけ後者の作業はそれなりに勇気のいるものでした。

10cmF10と付属のOr5mmによる視野はとてもせまくて暗かったのですが、シーイングさえよければ土星の輪のカッシーニ空隙や木星の大赤斑を見分けることができましたし、星図を見ながら苦労して視野に導入した琴座のリングは小さくてもちゃんと見えましたので、そのうれしさも手伝い、ずっとながめていたものです(モータードライブのおかげで、ずっと見えいても苦にはなりません)。また、K20mmを通して覗く、オリオン大星雲やアンドロメダ星雲の光傍は一番明るい部分がぼーっと見えるのみですが、それでも写真に見るような大きな光の広がりを想像するには十分でした。白鳥座のくちばしにあたる2番星が望遠鏡の視野の中では青とオレンジ色の二重星として分解されることもこのころ知りました。アルビレオの宝石のような色の対比は、全天で最も美しいと思います。(2004.10.10)

 

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