Motor Drive and SKYSENSER2(1軸モータードライブと天体導入支援装置)

upload 2005.11.26

update 2006.3.24

私が中学生のときにはじめて手にしたビクセンのニュートン式反射鏡筒とNew Polaris(NP)赤道儀のセットには、RA軸用モーターとクオーツ制御のモーターコントローラMD−5が搭載されていて、日周運動を追尾できるようになっていました。NP用の1軸モータドライブとは、モータの形状が若干異なりますが、およそ以下の写真と同じようなものでした。これだけでも、天体の観望のほか、ガイド鏡とレチクルアイピースを組み合わせれば、写真撮影にも十分使えます。

 

 

MD−5コントローラは、クオーツによる基準パルスを適当に分周して、日周運動、あるいは、その2倍、8倍に対応するパルス列を作り出し、ドライバICを介してステッピングモータを駆動します。MD−5コントローラと専用モータのセットはNP赤道儀と初期のSuper Polaris (SP)赤道儀シリーズで使われ、後半のSP赤道儀ではMD−6に変わりました。私がR150S鏡筒とセットで入手したSP赤道儀はMD−6が搭載されていました。MD−5とMD−6コントローラの違いは、駆動パルスの周波数で、MD−5のほうが大きな値を持ちます。ただし、MD−5専用モータの減速ギヤ比は小さく設定されていて(MD−5:1/120、MD−6:1/300、夫々のパスル周期はこの逆比)、最終的なギヤの回転数は同じですので、正しい組み合わせで用いれば、どちらもSP赤道儀で使用可能です。また、MD−5のほうが、回転ステップは細かく駆動電流も小さい反面、トルクは小さいです(MD−5:90mA、MD−6:315mA)。この消費電流の違いを反映して、NP赤道儀付属のMD−5の電池ボックスは単3電池、MD−6では単2電池でした。MD6ではトルク強化により16倍速の駆動が可能です。しかし、写真撮影や実際の使用では、16倍は必ずしも必須というわけではありません。

 

MD−5用モータ(上図左)とMD−6用モータ(同右側)は、外観上、一見すると同じに見えます。どちらのモータであるかはコネクタのピン数で判別可能で、MD5用が6ピン、MD6用が9ピンです。

 

 

 

スカイセンサー2は、NP、SP赤道儀用の天体自動導入支援機能を持ったモータードライバ・コントローラで、当時としては画期的なものでした。以下に簡単にスペックをまとめておきます。

 

機能 仕様
RAおよびDEC駆動 恒星時運転の2倍および30倍
自動導入

登録天体

@メシエカタログ:107

A10等級より明るい天体:全365

散開星団:86、球状星団:35

惑星状星雲:45、散光星雲:33銀河:170

B3.5等級以上の恒星:285

導入スピード

恒星時運転の30倍

外部コントロール

インターフェース:RS−232C(1200ボー)

制御:DATE/TIME設定・表示、観測地緯度/経度設定・表示、現在位置設定・呼び出し

    天体導入など

その他:マシン語サブルーチン書き込みとその呼び出し

     シャッター制御

 

通常のRA、DEC両軸について、最大30倍速の手動のコントロールはもちろん、比較的簡単な操作で、天体の自動導入が可能です。また、外部制御が可能なように、RS232Cインタフェースを持っています。標準ではメトカーフなどの機能は持ちませんが、マシン語サブルーチンの書き込み、Callが可能なので、このような高度な機能を組み込むことは可能かもしれません。

 

このコントローラの心臓部にはMC6809が使われています。その昔、8ビットパソコンのFM7などに使用されていたマイクロプロセッサなので、ちょっと懐かしく思いました。HD6840タイマコントローラ、HD6850シリアルI/O、HD6821パラレルI/Oなどペリフェラルは日立製で占められています。また、NMOSの標準ロジックで構成されているので、消費電力27Wと沢山電気を食います。たとえは、12V7Ahの小型バッテリーだと、3時間くらいしか持ちません。

スカイセンサー2に使用可能なのは、NPや初期のSP赤道儀に使用されていたMD5コントローラ用のモーターのみです。

 

 

MD5モータ2つをスカイセンサー2に接続して2軸制御とし、miniBORG50+VixenGA4+Vixen微動雲台をガイド鏡とした撮影システムとしてみました。GA4はx3バロー内臓なので合成flは975mmとなるため、fl750mmの主鏡に対しては十分なガイド性能を持つはずです。

SP赤道儀はバックラッシュが大きいため基本的にはオートガイドなどの改造は無理と思います。2軸としたのは、スカイセンサー2の天体導入支援機能を使うためですが、ガイド撮影では、極軸を可能な限り正確に合わせておき、赤経1軸のスピードの補正のみで行うマニュアルガイド撮影となるでしょう。

 

 

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