BORG50EDレビューその1(2004.12.4)□直焦点撮影編 50ED鏡筒をサブスコープとしてLX200への取り付けるには、純正のガイドスコープリングを使用します。このリングは最近のカタログからなくなっていますが、しばらくは入手可能のようです。SWIIセット標準構成の50ED鏡筒をこのリングを用いてマウントするとヘリコイドMがリングの内側になってしまいます。このため、合焦位置の異なるアイピースを取り替えて使用する場合、リングの固定ネジを緩めてピントを出した後、アライメントを再調整するような、少々の使いにくさを我慢しなければなりません。
リングともっとスマートに組み合わせるには、SWIIセット付属のM36.4→M57/60AD[7362]を介して接眼ヘリコイドS[4317]を付け足すか、31.7ミリ天頂プリズム[7318]を使いたい場合はM57ヘリコイドS[7757]と50.8→31.7AD[7397]など組み合わせて使用するのがよさそうです。ヘリコイドMを生かしたい場合はMEADEのアクセサリレールを介してマウントする方法を別途考えたほうがよいですね。今回ちょっと中途半端なマウント方法ですが、それでも50EDは、MEADEの周辺収差の大きな標準ファインダでは得られない中倍率のシャープな視野が得られるので、それなりに役立っています。 ただし、主鏡筒のf=2500mmに比較して、ED50のf=500mmは短すぎるので、ガイド鏡には向きません。ガイドについてはオフアキシスガイダなど、別途ソリューションを考えた方がよさそうです。 さて、50EDによる星野写真などは、今後頑張ることにして、まずはもっと身近な撮影対象を使ってBORG50EDSWIIセットとデジタル一眼レフCANON EOS20Dによる直焦点撮影を試してみました。 20Dによる直焦点撮影のためには、ピント合わせに必要なヘリコイドMと光路長稼ぎのための2インチホルダーLなどのSWIIセット付属品に加えて、カメラマウントホルダーM[7000]とEOS用カメラマウント[5005]が最低限必要です。また、視野回転はドローチューブの固定ネジをフリーにすれば調整できますが、回転装置[7351]があったほうがピントの再調整が省けて楽なので、今回これらを買い足しました。 手持ちの標準ズームレンズEFS17-85mmF4-5.6と50EDの直焦点視野を比較してみましたが、後者では結構大きく写るものです。50EDの焦点距離は500mmですが、20Dの撮像素子はAPSサイズのCMOSセンサなので、50EDと組み合わせた場合、35mmフィルム換算(撮像素子の大きさの比の値1.6を掛ける)でおよそf=800mm相当になります。また、デジタル一眼による直焦点撮影では、ファインダーからみる景色が正立像なので撮影中違和感は感じません。
@猫と戯れてみる(2004.11.23)BORGサイトなどに紹介されている野鳥写真はどれも素晴らしい出来栄えで、いつか私もこんな写真が取れたらなあと常日頃思っています。しかしながら、最初から鳥は難易度が高かろうということもあり、何かよい対象はないものかと探していました。そこで、最近裏庭によく遊びにくる猫たちに協力してもらうことにしました。 直焦点撮影では、とにかくピントが難しいですね。専用ズームレンズのようにAFはありませんし、20Dのファインダーではピントの山をつかむのが難しく、真のピントとの相対位置もずれていました。ピントずれについては動かない被写体を使ってピントをかえながら撮影、パソコンに画像を取り込んでファインダのピントと合わせこんでおきます。あとは、ピントの山とおもわれるところを中心にとにかくいっぱい撮ってみました。デジカメなのでフィルム代を気にする必要はありません。 私はまだ未熟者なので、ピンぼけ写真の連発でしたが、そのなかからマシなものを数枚ピックアップしてみました。ホワイトバランスとシヤッター速度はオートにしています。比較的天気の良い日でしたが、ISO800設定でシャッター速度は1/100-1/160sくらいでした。激しく動く対象はちょっと厳しいかもしれません。撮影時には赤道儀の赤経面を水平にして経緯台的に使います。ただし、水平・垂直ともロックは緩めて、カメラを両手で自由に動かせるようにして撮影しました。これだけでも三脚が重量の一部を支えてくれるし、ブレもかなり抑えられます。 肝心の画質ですが、余分な光学系を一切通さず、そして、さすがに低分散レンズだけあってなかなかいい感じです。また、その望遠性能により、彼らから結構離れたところから撮影できるので、自然な表情をカメラの視野いっぱいに捉えることができました。こういう使い方もありですね。 A満月を写してみる(2004.11.27)休日出勤があった日の会社帰りにふと夜空を見あげると、満月が浮かんでいました。その日は空が澄んでおり、月がとても綺麗に見えたため望遠鏡を向けてみることにしました。 肉眼で月をみると、表面の模様の明るい部分と暗い部分の存在をなんとなく区別できるくらいですが、ウサギが餅つきをしているような具体的なイメージとして捉えるには、幾らか想像で補わなければなりません。肉眼の視野は、おおよそ20Dの標準ズームレンズのテレ端で見たときのイメージに近い感じがします。 一方50EDによる月は、SWIIセットに付属しているWO13.5mmとバローと組み合わせればそこそこ大きくみえるし、それに幾らか欠けたときの月では陰影に手伝ってもらうことができるので、それなりにクレータも浮き立って見え、月面はとてもにぎやかになります。今回は直焦点撮影なので、クレータを大写しにするほど倍率は稼げませんが、それでもそれなりの大きさにはなるので、月の模様は今やはっきり写真に残すことができます。今回は、満月を視野に収めてみました。月齢14.5、右側の淵が若干かけていますが、空が良く晴れていたので、とても綺麗に表面の模様を捉えることが出来ました。
直焦点撮影の視野内で、月は結構な速さで動いていきます。これに対してはSWIIセット標準装備のミニ赤道儀が役立ちます。北極星を見つけて、赤道儀の方位と仰角を大雑把に調整してしまえば、それ以降は経緯微動ダイヤルのみの調整で、月を視野に留めておくことができます。ただし、今回は前後バランスの対策を全くしていませんので、ものすごくダイヤルが重たくて、少々指が痛かったです。より快適に使うためには、バランス対策に加えて、経緯用だけでも持手の径が大きいフレキシブルハンドルを入手した方が良いかもしれません。これは他社製品で安価で入手可能なものがありますが、BORGの標準パーツにあってもよいと思います。また、バランスの悪さも影響していると思われますが、20Dのシャッターで若干視野がぶれます。まあ、小型軽量のマウントなので、ここら辺は少々我慢しなければならないのかもしれません。(今回はノートパソにUSB接続してリモートでシャッターを切っています。) 直焦点撮影画像をPhotoshopによりトリミング・レベル補正・トーンカーブ補正 満月は、淵の部分以外、陰影がつきにくいので、クレーターや入り江などの観察ではすこしばかり面白みに欠けます。しかしながら「海」の部分の形をいっときにすべて捉えることができるので、やはり押さえておきたいツボのひとつです。ここでは、先ほどの直焦点の生画像に若干画像処理を行って、海とそれ以外の領域が分かりやすいように、コントラストを強調してみました。いかがでしょうか。結構いい感じです。 次回は、クレータなどもう少し細かい構造を捉えるために、拡大撮影に挑戦してみたいですね。そうすれば、50EDの性能がもっとよく分かるのではないかと思います。 Copyright (c) 2004 Mujimuji All Rights Reserved. |