火星の観望(2005.10.13)

残業続きで少し疲れもたまり始めた今日このごろ、いつもより少し早めに仕事を切り上げて会社の駐車場に向かう道すがら、最近参加することになった天文同好会のメンバの方から、携帯電話に留守電が入っていることに気がつきました。こちらから電話をかけて見ると、火星がとてもよく見えるので,一緒に観望しないかというお誘いです。ふと空を見上げると星が良く見えました。

 

ここのところ週末は天候不順で落ち着いて火星観望が出来ずにいましたが、目が慣れてくるに従い思いの他晴れてとても空が澄んでいることがわかりました。これから観測サイトに向かうと遅くなってしまうので、HOME周辺でみることにしました。週の中日ではありましたが、それでもちょっと頑張ってミードのLX200(10"F10のSCT)を外に出しました。

 

火星は東の空のわりと高いところに登っていて、プレアデス星団の青白色との色の対比をなしながら、その横に赤々と輝いています。直ぐ下にはおうし座のアルデバランが輝いていますが、火星の強い輝きには、この0.9等級の赤色巨星も色あせてしまうほどです。

 

それにしても星野はすっかり秋の星座に入れ替わり、そして冬の星座もちらほら東の空に上ってくるようになりました。今日くらい空は澄み切っていれば、もっといろいろ見えるかも知れないと思い、火星に望遠鏡を向ける前に幾つかのメシエ天体を視野に捉えてみました。ここは都市部のからそうはなれていないので、いつもは光害がひどくてよほど明るい天体しか見えませんが、今日に限っては、M1(カニ星雲)、M76(little dumbell)がびっくりするほどよく見えました。時間があれば写真に収めたいところですが、今日は火星をみることに決めていたので、ちょっぴり我慢です。

 

Fig.1 火星周辺の星野(2005/10/13 23:00ころ)

(星図はToxsoft Stella Theater Lite(http://www.toxsoft.com/)による)

 

ちょうど1ヶ月前の9月13日になりますが、ミザールのD68mm, fl=600mmのアクロマートとアッベオルソの5mmで火星を見ました。この小口径アクロは25年以上前のもので、CX150(カタディオプトリックニュートニアン)のサブスコープとして赤道儀に同架していたものですが、Or5mmアイピースによるほぼ限界に近い高倍率においても破綻することなく、予想以上に地表の模様が良く見えました。

 

このころの火星は、今日よりもかなり欠けてみえました。以下のイメージはビクセンのLV9mmアイピースとカメラアダプタとを用いて拡大投影法により撮影したもので、カメラはミードのDSIを使って250枚ほどコンポジットしてあります。イメージはRegistaxにより若干ウェーブレットフィルターをかけています、時折シーイングが落ち着くときは眼視でこのくらいには見えていました。

 

Fig.2 2005/9/13 23:00ころの火星

   ミザール小口径アクロマート屈折+LV9mm+DSIによる拡大撮影

 

今日のLX200での観察は赤道儀ウェッジは使わず、経緯台モードでのみ行いました。しっかりとは温度順応を行わなかった影響も大きいですが、実はシーイングもベストというわけではないような気がしました。コントラストがよいことと、シーイングが良いことは必ずしも常に同時におこることではないことは、過去も経験していました。ちょっと不思議です。

 

でも多少揺らめいているとはいえ、2週間ほど前にやはりLX200を通して見た火星よりも、随分と大きく見えます。また、地表の模様も一段と細部が見えるようになってきました。

 

せっかくなので、幾つかの方法で撮影を行いました。何れも80−100フレーム程度のリアルタイムコンポジット、Registax3によりwavelet filter処理を行っています。直焦点では少し迫力に欠けますが、エクステンダ併用でとても大きく撮影できます。この場合のセッティングがとても楽です。

 

Fig.3 2005/10/13 22:00ころの火星

       LX200-10"F10+DSI直焦点(左)、および、BORGコンパクトエクステンダ[4603]併用のイメージ

 

 

LV9mmによる拡大撮影には、BORGの拡大撮影アダプタを使いましたが、LVのようなノッポなアイピースの場合、撮像面までの距離がとれずに、拡大率を稼げません。LVを使用する場合は延長筒を挿入するなど、工夫が必要ですね。

 

Fig.4 2005/10/13 23:30ころの火星

   LX200-10"F10+LV9mm+BORG SD-1X[7410]による拡大撮影

 

以下が写真に写っている主な地形です。電話で観望をお誘い頂いた天文サークルのメンバ方は大体見れば分かるようです。私の場合は地形図を見えてもどこがどこやらという感じです。横浜こども科学館にDaniel M. Troiani氏による火星の地形図が転載されていましたので、それと突き合わせてみました。合ってるかな?

 

・横浜こども科学館Web Site (http://astro.ysc.go.jp/)

 Daniel M. Troiani氏による火星の地形図(http://astro.ysc.go.jp/mars-map.html)

 

 

29日にはサークルの観望会が予定されていますが、晴れてくれるといいですね。

 

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