□miniBORG60によるM101(2006.1.9)

実は昨年、事故で足を負傷した影響でLX200などの重たい機材をセッティングできない状態が続いています。幸い昨年暮には松葉杖も外れましたので、リハビリを兼ねて比較的軽いSP赤道儀と6inchニュートン鏡やEM10とBORG鏡筒などの組み合わせで活動を再開しました。

冬は南の空に圧倒的な存在感で鎮座するオリオン座を中心に一等星が多くにぎやですのでそちらについ目を奪われますが、北の空では秋から冬の初めにかけてよく目立っていたカシオペアやケフェウスにいれかわり、おおぐま座やりょうけん座が高く上ってきています。この領域はM81ボーデの銀河とM82のベア、M101回転花火銀河、そして、M51子持ち銀河など眼視で容易に観察できる非常に明るい銀河があるので、これから楽しみです。

 

Fig.1 おおぐま座周辺(2006/1/9 1:00ころ)

(星図はToxsoft Stella Theater Lite(http://www.toxsoft.com/)による)

 

今日はどんな望遠鏡を使うかEM10の上でいろいろとっかえひっかえしましたが、結局、もともとBORG100EDのガイド鏡として入手したminiBORG60で、どのくらい主だった星雲が写るものか20Dと組み合わせて試してみることにしました。生憎このときは半月が出ていたので、実際に夜空に望遠鏡を向けたのは月が沈んだ夜半過ぎです。

 

Fig.2 使用した機材

   小口径アクロマート屈折miniBORG60(D60mm/F5.4)+EM10b

      同架のBORG50EDは今回使用しない

 

遠くには行かずにアパート前の駐車場に赤道儀を設置しました。とにかく寒い夜で、宇宙服みたいな防寒着と望遠鏡にもヒーターを付けて挑みました。

 

おおぐま座のη星AlkaidをminiBORG60の視野に導入したあと、EM10bに取り付けてあるDOG4EM10でM101を自動導入します。周りには外灯もありますので、なかなか目がなれず、最初は視野のどこにあるのかさえわかりませんでした。MeadeのSP26mmの視野の中で少しだけ外側に視線をずらすと、真中へんに小さなシミのような存在を認識でき、少なくとも視野内に入っていることは確認しました。かなり小さいく暗いので、ちゃんと空の暗いところに行かなければ、詳細を観察するのはかなり難しいでしょう。カメラを取り付けて、Alkaidでピントを合わせた後、もう一度M101を自動導入して、ノータッチで5分の露光を行ったのが下の画像です。APS-Cサイズの撮像素子の全視野で、元画像に対してレベル補正を行っていますが、とてもかわいらしくM101が写っています。

 

Fig.3 M101回転花火銀河

    miniBORG60+EM10ノータッチガイド、EOS20D ISO800 露光5分、レベル補正

    

 

20Dの撮像素子のサイズは22.5×15.0mmですが、視野周辺部では収差が大きくなります。またアクロマートですので青紫色のハロも少し強く出ています。

 

ところで、オートガイダや惑星撮影用として以前入手したMeade DSIのCCDセンサSony ICX404AKのチップサイズは5.6x4.7mmですから、丁度いい感じで良像範囲を切り取ってくれると思います。これまで、私はDSIで銀河を写したことはありませんが、世界中で多くの方がチャレンジして、なかなかよい結果が出ているようです。私もそのうち試してみようと思います。以下参考ですが、同じ日の夕方、まだ日があるうちに撮影した月です。全く同じセッティングで撮影していますので、M101と月のサイズを比べて見ると良いでしょう。月の直径は画角にして30秒程度です。

 

Fig.4 夕方の月(月齢9)

 

2006.1.14 update

 

以下、Meade DSIによるイメージが紹介されているページの一部です。みなさんDSIを大変良く使いこなしています。

 

Cloudy Nights Telescope Reviews (http://www.cloudynights.net/)

・DSIに関するレビュー(http://www.cloudynights.net/documents/ds1.pdf)

・DSI proに関するレビュー(http://www.cloudynights.net/documents/dsi2.pdf)

 

Suk Leeさん、Jim ThommesさんによるDSIのレビューでは、Meadeのwebサイトに掲載されているような写真が実際に得られることを実証しています。JimさんのレビューにはDSI proによる非常に美しいM101を見ることができます。

 

Anocortes (http://www.anacortestelescope.com)

・DSIによる作例(http://www.anacortestelescope.com/gallery/gallery.asp?p=7693)

Anocortesのweb siteでは、色々な機材のユーザの作例を機材ごとで参照できます。DSIをイメージャとしたり、ガイダとして用いた数多くの作例を見ることができます。

 

LX200GPS AstroPhoto Gaphy(http://www.lx200gps.nl/index.html)

LX200GPS 8" images(http://www.lx200gps.nl/lx200images.html)

J. DamhofさんによるLX200のページには、DSIやweb camなどによる数多くの作例が示されています。web camの改造による長時間露光の試みなど、なかなか面白そうなことに挑戦されているようです。 

 

ところで、Fig.3のオリジナルイメージをよく見てみると、M101の周辺に他にもいろいろなものが写っていることが分かりました。Fig.3ではM101の右下にシミのようなものが写っていることが分かりますが、これはNGC5754という銀河のようです。他に写っている天体について、DSIにバンドルされているAutoStar Suiteソフトウェアのデータベースと写真を見比べてみました。

 

Fig.5 Meade DSIにバンドルされているAutoStar Suiteソフトウェア

 

AutoStar Suiteソフトウェアは大変役立ちます。LX200とコンピュータを接続した状態でこのソフトウェアを使う場合は、画面上で主鏡とガイド鏡の夫々にあわせたFOVを任意に設定できますので、実際の視野を確認しながら観望できます。たまにSyncしながら星をたどると、自分がどこを見ているか見失うことは少なくなります。今回は純粋に星図としての使用ですが、拡大していくと、より暗いNGCカタログの天体が表示されるようになります。

 

写真とNGCカタログの天体で対応が取れたものをFig.6に示します。M101周辺には、驚くほど多くの天体が写っていました。それもそのはず、この領域はM101群という銀河団を形成していて、これには猟犬座のM51子持ち銀河もふくまれます。

 

Fig.6 銀河が写っている領域

 

 

 

 

 

 

このように小型の屈折で、比較的広い領域を撮ってみるのも面白いものですね。

 

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