□ポイマンスキー彗星 (2006.3.9)

 

upload 2006.3.11

 

最近情報交換を始めたLX200のユーザーの方から、ポイマンスキー彗星(C/2006A1)の撮影に挑戦してみようと思っているという旨のメールを頂きました。同時に撮影条件についてコメントを求められましたが、実はその時点まではポイスマンスキー彗星についてノーチェックでした。 

天文ガイド3月号の彗星ガイドで確認したところ、光度は6等級程度との予報でしたので、5.9等のM13を撮影したときの経験からF6.3、ISO800で3分の露光で十分でしょうという簡単な情報を返信しましたが、テールを含めて写すための条件については経験値不足で適切なコメントができませんでした。

 

翌日にはローカルの天文同好会のメーリングリストに彗星が5等級まで増光しており、画像も公開されはじめているという情報が入りました。

 

比較的明るい彗星が訪れるのは、4等級まで増光し目視で確認したことのあるマックホルツ彗星以来ですが、今回は5等級であることと明け方で高度が高くはないので、十分に暗いところへ出かけて未明から待ち構えていない限り目視は無理そうです。しかし、双眼鏡や低倍率の望遠鏡があれば彗星のコマは十分確認できるはずです。そこで少しだけ早起きして、彗星を探してみることにしました。

 

ミニボーグを三脚にセットして東の空に向けたのは、朝の4:00でした。空はまだ暗く、東南東の空のとても低いところには今は明けの明星となっている金星が分厚い大気を通して鈍い橙色にどんよりと輝いています。また、真東にはわし座のアルタイルがもう20°以上の高度まで登ってきています。ここを起点にポイマンスキー彗星が通過中の「いるか座」という暗い星座を探さなければなりません。私が住んでいる北関東のとある町からのぞむ東の空は、残念ながら市街地の灯りで暗くは無いので、3等星より暗い星々で形作られる星座をたどるのはなかなか厳しいものがあります。

 

それでも星図をみながらミニボーグの視野をすこしづつ移動させていくと、まずはいるか座が見つかり、そしてその直ぐ下に淡く青い光芒をわりと容易に確認できました。数分間ほどそのほの青い光芒を眺めたあと、写真に写してみようと思い立ち、急いでEM10を外にだしてプレートに20Dを取り付けました。アクロマート60mmのミニボーグでの撮影も考えましたが、カメラマウントや変換リングをとっかえひっかえしていると直ぐに時間がたってしまいますし、波長分散による強い青にじみで彗星と普通の星との色の対比もいまいちだろうと思い、代わりに以前中古で入手した75-300mmのズームレンズを使うことにしました。

 

ワイド端75mmの視野(対角で20°くらい)には、いるか座が程よく納まります。下の写真では分かりやすいように星座を点線で示してありますが、その直ぐ下に矢印で示した青い淡い光点がポイマンスキー彗星です。いるか座の主だった星々の光度はα星の3.9等を筆頭に殆どが4等級前後です。1等級あたりの光度差は2.5倍ですから、彗星は確かに5等級はありそうです。(この写真は75mmF4.5でISO800・30秒ほどの露光のものにレベル補正を掛けて見やすくしていますが、写真をクリックするとオリジナルのイメージを確認できます。結構厳しい条件で撮影したものです。)

 

 

あれこれ撮影条件を試したかったのですが、残念ながら薄明を迎えてしまいました。空が白みだす直前に、300mmF5.6のテレ端視野で2分半ほど露光したものを2枚撮影しました。これらをスタックしたものに強烈な画像補正を行って、ようやく尾が薄っすらと確認できます。

既に多くの方が公開しているポイマンスキー彗星の画像には非常に素晴らしい尾が写っているものが多く、中にはため息がでるほど綺麗なものもあります。それらに比べると随分見劣りしてしまいますが、それでも私が初めて写真に彗星の尾を捉えた記念すべき1枚です。

update 2006.3.14

 

彗星は駆け足で移動していきます。それを実感するために、時間間隔をあけて撮影してみました。下はテレ端300mmの全視野で、画角にしておおよそ5°くらいと思います。4時21分と4時38分の17分ほどの時間間隔で撮影された2枚の画像を重ね合わせたものですが、このように短時間でも、彗星は数’(分)くらいの画角を移動していることが分かります。

したがって、撮影は出来るだけ明るいレンズで比較的短時間の露光にとどめる必要があり、画質を向上するためには、そのような画像を数枚撮影してコンポジットするのが良いようです。また、暗いレンズを使う場合など長時間露光が必要な時は、可変追尾(メトカーフ)機能を持ったマウントで彗星を追いかけながら撮影する方法があります。EM10に接続された、天体導入支援装置のDOGはメトカーフの機能を持っているので、時間があれば試したかったところですが、今回は彗星の軌道情報などについて予習不足で残念ながら活用することができませんでした。

 

 

 

 

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