□雨情の里星まつりと太陽観察(2006.8.19)

 

upload 2006.8.25

 

8月19日のお昼から翌日20日の深夜に掛けて、北茨城市華川の公民館にて、第13回雨情の里星まつりが開催されました。主催は「北茨城星の会、私が参加させて頂いている高萩市の某天文同好会は協賛という形でお手伝いしました。今年の内容は以下のような感じでした。

 

  19日お昼

    太陽フィルター手作り教室

    太陽観測会

    ペットボトルロケット発射実験

    紙飛行機作製

  19日夕方

    夕食 豚汁とおにぎりのサービス

    星のお話 惑星のお話

  19日夜〜20日未明

    観望会

 

太陽フィルタの部材は某天文同好会のささやん さん(通称)がT製作所のお知りあいから分けていただいたもので、太陽フィルタ専用に造られたものではなく、何かシート部材の流用とのことです。子供たちと一緒に行った工作は、紙コップの底面に直径3cmくらいの穴をしぼりとしてあけたものにフィルタを2枚重ねて貼り付けたものでした。それを一昨年作製した小型望遠鏡に取り付けて見るという比較的に簡単なものです。

 

当日は残念ながら望遠鏡を持ってきた子供たちは少なく、また、日中の天候が思わしくなくなかったため、フィルタを使用した実質的な観測は恐らく数分間だけ太陽が雲間から覗いたときに私の望遠鏡から覗いたものだけだったと思います。非常に短い時間でしたが、程よく減光された太陽表面に黒点を確認することが出来ました。

 

太陽フィルターの部材については、余分に分けていただき後日作り直して試していますので、以下にその状況をご紹介します。

 

まず、シートを電灯に透かして見ると、あまり均質ではなく、品質は取り立ててよいものではないようです。それになにか傷みたいなものが一杯ついているのが分かります。それでも、正味で適切な減光が得られ、フィルタを通してみた象が極端に曇っていたり歪んでいたりしなければ、太陽フィルタとしては十分に機能するはずです。

 

 

実際、フィルタのシート厚は十分に薄く、このため像の曇りや歪みは比較的小さいといえます(太陽フィルタの要件@)。また、私の机に置いてある電気スタンドの40Wクリプトンランプは、直視するととてもまぶしいですが、フィルタを通してみると全くまぶしくありません。2枚重ねにすると、灼熱したフィラメントのみが見え、3枚がさねでは、全く見えなくなります。つまり減衰も十分に効いているようです(太陽フィルタの要件A)。

 

 

当日は太陽観測用の望遠鏡としてBORG50ED(D50mm、F10、EDアポ)を持参しました。画用紙に直径40mmの穴をあけた厚紙にフィルタを貼り付けたものを2枚重ねとして、対物側先端のリングにセロハンテープで取り付けました。マウントはBORGの簡易赤道儀とSLIKの軽量三脚を使います(これはBORG50EDSW2セット標準のもの)。夏場の太陽は高度が高くなるため、天頂プリズムを使用します。簡易的なマウントでは鏡筒側のヘリコイドで焦点を探すと視野が動いて扱いにくいので、アイピースの直近にも軽い回転ヘリコイドを設けて、合焦はここで行います。このセットは、軽くて実に楽に扱えるシステムなのです。

 

 

太陽の導入は、鏡筒を大雑把に太陽の方向に向けたあと、鏡筒の後ろ側に画用紙を配置して、そこに写る鏡筒の影が一番小さくなるように向きを調整します。その後SP26mmアイピース(約20倍、見かけ視野50°)を覗くと視野に大抵入っています。26mmでは少々太陽が明るすぎますが、短時間であれば問題ないレベルです。

 

26mmを使った20倍の視野では、太陽はこじんまりとしていますが、黒点の存在を良く確認できます。しかし、詳細な観察には倍率不足です。そこで手持ちのLV9mmに交換して覗くと、丁度視野一杯に拡大された太陽を観察することが出来ました。このときの倍率は約50倍、見かけ視野は50°です。以下は携帯電話のカメラをLV9mmの見口に押し付けて撮影した太陽で、このセットでの眼視観察の様子がなんとなく分かると思います。

 

黒点の様子(2006/8/26 11:50 画像は裏像で左が北、上が東)

 

実際の眼視観察では、上の画像より黒点の様子がもう少し良くわかります。私が見た黒点の特徴は以下のようなものでした。

 

 @中心より南東に大小各1群づつの黒点群が存在する

 A大きい黒点群は、3つほどの暗い領域にさらに分解される。

 Bそれぞれの黒点群は、とても暗く見える領域と、さらにやや暗い領域がそれを取り囲むように存在する。

 

今回、作製した簡易的なフィルタでは、プロミネンスなどの太陽活動を確認することはできませんでした。

 

昨年は、狭帯域のHαフィルタを搭載したコロナドPSTをF2経緯台に載せて観察していらっしゃるかたがいて、実際に見せていただきましたが、それではプロミネンスが良く見えていたのを思い出します。今回のフィルタでは、コントラスト不足でそれが見えなかったのか、太陽にそのような活動が無かったのかは私にはわかりません。

 

市販の太陽用フィルタには以下のものがありますが、今のところ手持ちの簡易フィルタで観察を続けてみようと思います。

 

エタロンとバンドパスフィルタを組み合わせた超狭線幅フィルタ(テレビュージャパン扱い

コロナド ソーラーマックス Hαフィルター(http://www.zizco.jp/11shop_coronado/0010solarmax.htm)

 

太陽観測用簡易型減衰フィルター(国際光機扱い

バーダープラネタリウム アストローソーラーフィルターhttp://www.kkohki.com/Baader/astrosolar.html

 

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さて、日中の天候は冴えなかったので、夜には果たして星空が期待できるかしら?と思いながら、少し早めに暖かい豚汁とおにぎりの夕食を取りながら空を見上げていると、少しずつ空が晴れてきました。夕方の空の一番星は木星ですが、持参した10インチでも像が破綻しないレベルで大気は安定しているようです。

 

空が暗くなると、いつのまにか天の川がとても良くみえるようになっていました。夕方には惑星論争の話がありましたので、天王星と海王星の色を参加者に確認してもらったあと、遥か遠くにあり眼視観察さえ困難な冥王星に暫し思いをはせました。

 

今年は昨年にくらべて参加者は少なかったのですが、それでも、遅くまで望遠鏡を覗く子供たちや近所のおばちゃん達もいて、同じ対象をいろいろな望遠鏡で覗き比べて、その向き不向きを見てもらったり、とても楽しんでいたようです。

 

概して、とても良い観望会だったと思います。また、来年を楽しみにしましょう。

 

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