□写真に残したい

中学生の頃、家の前庭でよく望遠鏡を夜空に向けていたものです。このころ愛用していた小口径の反射望遠鏡では、眼視で簡単に見つけられる天体の数は限られていましたが、暗い天体は明るい恒星を基準星にして星図と赤道儀の目盛環を頼りに望遠鏡の視野に導入します。視野の中にいるはずなのに、その気配さえ確認できないものも数多くありましたが、それらの中の幾つかは、ちょっとだけ視線を中央より外側にそらすと、なんとなくそこにあることが分かることがありました。これは網膜の感度の高いところが、視野の中央よりちょっとずれたところにあることによります。こういった天体の場合、長時間の蓄光が可能な写真であれば、きっともっとちゃんと見えるに違いありません。

写真撮影に必要な機材をカタログで眺めるのはとても楽しいものです。しかし、いざ現実に目をむけると、一眼レフカメラや接続用のアダプタやリング類、ガイドスコープやレチクル入りのガイドアイピースなど、相当な出費が必要なことが分かり、中学生のときの新聞配達の給料では、あまりにも道のりが遠すぎました。しかし大人になった今、無駄遣いを謹んで、ちょっとだけ背伸びをすれば、もっとよく見える望遠鏡と撮影用の機材をそろえることが出来そうです。

そんなわけで、暫く見ていなかった天文誌やWebの情報を見ながら、機材選びを始めました。

□撮影システムの構成

ベースシステムを何にするか、大きなところのひとつは望遠鏡の方式、もうひとつは架台です。

望遠鏡の方式
  屈折(アクロマート、EDまたはFLアポクロマート) or 反射(ニュートン、シュミットカセグレン、マクストフ)

・架台の方式
  経緯台・フォーク式赤道儀・ドイツ式赤道儀

目的や予算によって選択肢を絞りこんでいきます。ここでまず目的と要求される性能について考えます。

@惑星観察を含めた眼視性能と写真性能

A散光星雲や天の川のHα領域などの比較的広い画角の写真撮影性能

@とAは、とても相反するものです。惑星を写真に収める場合、アイピースを用いた拡大投影法を用いますが、このときの合成焦点距離としてf'=20000mm程度と非常に大きな値が必要になります。一般にフォトビジュアル性能を重視した短焦点の屈折望遠鏡は、たとえば口径100mm、F6程度です。このような鏡筒で惑星の拡大撮影に必要な合成焦点を得るためには、極端に短焦点のアイピースが必要になります。確かに必要な合成焦点距離は得られるかもしれませんが、パワーがアイピース側に偏ると、トータルの光学性能がアイピースに支配されるというつまらない状態になってしまいます。したがって、@を重視する場合、パワーが適度な分配になるように、主鏡筒のF値もあまり短焦点を選ぶべきではありません。一方、視野角の大きな散光星団の写真撮影を行うAの場合、f=500-1000mm程度の直焦点撮影を行います。より広い画角を写真に収めたい場合は、写真レンズの独断場になります。こういった対象は、眼視性能はあまり重視されていなくて、写真性能に重きを置く場合の選択になります。

私が望遠鏡を使って、じっくり見たい対象として惑星は外せません。また、多くの系外銀河を直焦点で狙う場合、そこそこの焦点距離はあったほうがよさそうです。比較的距離が近い銀河を狙う場合、レデューサの併用で写真上の見かけの視野を若干広げることも出来ます。従って、基本的に、@を重視して、どんな観察システムにするか考えてみます。

比較的大きな焦点距離とできるだけ明るいこと、なおかつ、ちょっとだけ背伸びすれば手の届く価格帯。これらを考慮すると、ミットカセグレン鏡筒を中心とした観察システムが最適に思えます。これなら長焦点でも口径の比較的大きな主鏡を選択すれば、レデューサ併用でそこそこ明るい視野がえられ、短焦点アイピースによる惑星観望や拡大投影法による撮影にも十分対応できます。

ここででは、幾つかのメーカのシュミカセによる撮影システムからMeadeの10"F10シュミットカセグレンを中心にした、以下のシステムを考えます。

 

□同クラスの光学系で撮影された天体イメージ

国内外のWebサイトで、同程度のクラスのシュミットカセグレン系で撮影された素晴らしい天体イメージが数多く公開されています。見え味は第一に光学系で決まるものですが、観測サイトの大気の状態や光害の程度にも大きく支配されます。海外サイトで撮影に取り組んでいるアマチュア天文家のイメージは、過剰な画像補正などを行わなくとも、非常にコントラストが高く、シャープな画像を示していますが、このような画像を見て過剰な期待を描くのは禁物ですね。国内サイトを中心に同じようなシステムを構成している方のイメージをいろいろ見てみました。

 

その結果、意図したレベルの品質は十分に得られることに確信が持てました。

 

・Ukai's Astro House (http://www.kouka.ne.jp/~w1022077/index.htm)

 

| Mujimuji's Telescope and Vac.TubeAmp. HOME | Telescope Home | Site Map | 


 Copyright (c) 2004 Mujimuji All Rights Reserved.