私のベスト10



これまで聴いてきた、いろいろなレコードから個人的ベスト10を選んでみた。もちろん、ここに挙げていないレコードでも好きなレコードはたくさんある。 私のベストテン選びの方法は、数多くの演奏家の中から10人選び、その演奏家の作品で私が推薦したいものを一人一作品というルールで選んだ。日が経つと思い直す可能性大のベスト10である。

ゲオルグ・ショルティ:ワグナー「ニーベルングの指輪・4部作」
言わずとしれた、オペラ録音の金字塔。ステレオの発明が、どれだけ当時のオペラ録音に携わっていた人たちに刺激を与え、最高の作品を残すための努力を惜しまずに作り上げたかは、これを聴けば分かる。ショルティの作品と言うより、プロデューサのジョン・カルショウがDECCAに入って以来持ち続けてきたオペラ録音への情熱が作り上げた作品と言っても過言ではないほど。

ヨゼフ・カイベルト:ウェーバー「魔弾の射手」
ベルリンフィルのガチッとした響きを聞くことができる。アガーテ役のエリザベート・グリュンマーの上品で知性を感じさせる声も魅力。ドイツ古典のイメージにまさにはまっている演奏と思う。

フリッツ・ライナー:ブラームス「交響曲4番」/ロイヤル・フィルハーモニー
ライナーが珍しくシカゴ響を離れて録音した作品。もとはRCA録音のはずだが、いまはカナダのチェスキー・レコードからCDが出ている。私はブラームスの4番が大好きだが、ライナーのこれは彫りの深い表現で、ロイヤル・フィルハーモニーが名指揮者を迎えて、火の出るような熱演を聴かせてくれる。録音は、英国DECCAの名録音エンジニアであるKenneth Wilkinsonが担当しており、最高の出来映え。自信を持っておすすめする。

フルトヴェングラー:ベートーベン「交響曲第9」/ベルリンフィル(1942年3月22(23)日録音)
どうしようかと思いましたが、やはり、フルトヴェンングラーは落とせない。彼の作品は、どれも貴重だが、ここでは、第2次大戦中のベルリン・フィルハーモニー楽堂での定期公演の録音を挙げておく。ライブ録音なので会場のノイズも入っているが、それが妙に生々しく、戦時下であるせいか演奏自体のせいか分からないが、緊張感がみなぎっている。当日はどんな観客だったのだろう。いろいろな思いにかられる録音である。第二次大戦の末期にベルリンを占領したソ連軍が戦利品としてモスクワに持ち帰ったテープをもとに、1990年にメロディアが発売したもの。私の持っているのはLPだが、解説書によると80年代にメロディアがドイツグラモフォンにデジタルコピーを返却したとのことなので、DGからCDが出ているかもしれない。

カラヤン:R.シュトラウス「バラの騎士」/フィルハーモニア
シュヴァルツコップ、クリスタ・ルードヴィッヒ含めて、これもはずせな い一枚(4枚?)。薄絹を重ねるがごときに幕が進んでいく。録音も絶妙。

バーンスタイン:「Symphonic Dances from WEST SIDE STORY」
指揮者としてのバーンスタインというより、作曲者としての彼の作品を選んだ。WEST SIDE STORYがミュージカル界に与えたインパクトは、20世紀初頭にストラビンスキーのバレー音楽がパリの聴衆に与えたインパクトに似ている?

P.モントゥー:フランク「交響曲ニ短調」/シカゴ響
モントゥーも多くの遺産を残しているので迷うが、フランス生まれであることもあってか、このフランクは魅力がある。モントゥーの演奏は、どれもまっすぐな表現で好きだ。

ベーム:ブラームス「交響曲1番」/ベルリンフィル(1959年)
冒頭からもう、この時代のベルリンフィルの重厚な響きを100%感じられる。ブラームスはこうあって欲しいという希望通りの演奏ではないだろうか。

ホロヴッツ:ショパン「ピアノ・ソナタ第2番」CBS(1962年)
ホロヴィッツ隠遁中のCBS作品はどれも素晴らしいが、このショパンでは、特に男性的な力強い表現が聴かれる。音が立っているというのか、第1楽章の最初の和音で、もうホロヴィッツの世界に引き込まれてしまう。

ハイフェッツ:ラロ「スペイン交響曲」/スタインバーグ指揮RCAビクター交響楽団
最後は、バイオリン奏者の代表として、ハイフェッツの代表作を選んでみた。曲の格が落ちるが、スペインもの大好きな私に免じて許してください。演奏は最高。ハイフェッツのバイオリンは往々にして乾いた響きに聞こえるが、この録音では艶が感じられる。

ここまでで一応ベスト10としましたが、いやはや難しい。ワルターも、クナッパーツブッシュも、クライバー(父子とも)も、トスカニーニも、アンセルメも挙げられなかった。器楽奏者に至っては、たった2人とは。