【氣と健康】の科学

14/2007・4・22

 発熱

 「発熱」は、延髄の体温調節中枢のリセットにより、体温が正常を超過した状態(37.5℃超)と定義される。


 発熱の機序


 @病原体は毒素や菌体成分など外因性の発熱物質を産生する。

 A外因性の発熱物質は、生体内に内因性発熱物質(サイトカイン類)を誘導する。

 Bサイトカイン類の作用により、視床下部においてシクロオキシゲナーゼが活性化し、
 プロスタグランディンの合成が高まる。

 C視床下部において増加したプロスタグランディンの影響で、延髄にある体温調節中枢において
 体温のセットポイントが高温にリセットされる。
  体温中枢のセットポイントがリセットされた直後は、体の中心部の体温と、リセット体温とに差がある。
 このため、生体は、体温中枢でリセットされた体温まで上昇させるべく種々の適応反応を起こす。

 Dまずアドレナリンが分泌され、悪寒(寒気)を覚え、皮膚はいわゆる「鳥肌」になり、血管を収縮させて、
 体内からの熱の放散を防止する。また、同時に、筋肉を細かく収縮させて(戦慄)、熱を作り出す。
  これが、臨床症状としての悪寒戦慄の本体である。10分から1時間程度で、体温38℃あるいは39℃を
 超えるようになる。

 Eただし、軽い「さむけ」を感じはじめた初期に体の外から温めると、本格的な悪寒戦慄を起こさないまま
 体温は上昇しうるので、体力の消耗を防ぐことができる。

 ※60kgの人の体温を36.5℃から39.5℃に3℃上昇させるためには、60×3=180kcalのエネルギーが必要。

 ⇒ジョギングや水泳を20分行うエネルギー

〈『解熱剤で脳症にならないために』医薬ビジランスセンター・ブックレット〉


13/2006・9・718

 慢性筋肉疲労

 慢性筋肉疲労をかかえると・・・
 自律神経が誤作動を起こし内部環境のバランスが崩れ、血液やリンパの流れなどがおかしくなり、
 機能異常が生まれ、器質的な異常が生じることにつながる。


 非インスリン型糖尿病 

 細胞はゲートを開け閉めすることで、必要な栄養分やホルモンを取り入れます。
 糖代謝は、ゲートを開けることで血液中の糖とインスリンを受け入れ、
 インスリンを触媒として糖を分解してエ ネルギー等を抽出する。
 慢性
筋肉疲労の状態となると、細胞のゲートの開閉作用が誤作動しまい、
 糖代謝が十分居bんに行われな くなる。

 筋肉疲労のメカニズム/収縮の加重

 筋肉を構成する筋繊維に反復刺激を加えていくと、筋肉が弛緩しない前に刺激が続くことになって、
 どんどん筋肉の緊張が強くなり、最後には硬直状態になってしまう。
 緊張がかかったままの筋線維では血管やリンパ管が圧縮されっぱなしで血行障害を起こす。
 栄養補給ができないため筋肉のPHも酸性となり疲労物質が溜まり筋肉も縮む。

〈『筋肉疲労が病気の原因だった』福増一切照/総合法令〉


12/2003・8・7

 熱や痛みのあとでガンの自然退縮が起こる

 副交感神経を優位にする治療の過程で、三分の二ぐらいの患者さんが、
 熱が出てだるい、あるいは節々がすごく痛むというような、
 ちょうど自己免疫疾患と同じような症状を体験します。
 そうした症状を体験した、そのあとにガンの自然退縮が起こってきます。

 ガン細胞を攻撃するのは、おもにNK細胞、胸腺外分化T細胞、
 傷害性T細胞と自己抗体産生B細胞の四種類です。
 これらの白血球の細胞がガンをたたくときには、
 必ず炎症反応が起こって、発熱、痛み、不快を伴います。
 あるいは下痢をすることもあります。肺ガンなら咳がでてきたりします。
 大腸ガンだと血便がでたりします。膀胱ガンだと血尿がでたりします。
 それが、治癒に向かっている反応なのです。

 副交感神経というのはリラックスの神経ですが、
 急激に活性化されると、プロスタグランジン、アセチルコリン、ヒスタミン、
 セロトニン、ロイコトリエンなどの物質を出します。
 これはどれも、発熱や痛みをだす物質なので、不快な症状が現れます。

 ガンの自然退縮につながる治癒反応がはじまると
 一週間ぐらいは寝込むようなつらい症状が続きます。

 この治癒反応は昔から傍腫瘍症候群という名前で、
 ガン患者の治癒過程で必ず起こる反応として知られていました。

 発熱、痛みのほかに、しびれなどの神経症状もでてきます。
 これはガンが上皮で起こるものであるためです。
 上皮には神経が張りめぐらされています。
 ですから、ガンが攻撃されると、即座に神経も刺激を受けます。
 すると末梢神経が興奮してきて、しびれや痛みがでるのです。
 傍腫瘍神経症候群とよばれます。

 転移はガンが治るサイン

 転移というのは
、どんどんガンが悪化するというよりも、
 原発巣がリンパ球によって攻撃されて悲鳴をあげ、
 生き延びるためにちらばっている状態なのです。
 転移は怖くありません。ガンが治るサインです。


〈『免疫革命』安保徹/講談社インターナショナル〉

※上記書籍とは関係ありませんが、参考に。
・・・癌と免疫⇒http://www.narumi-co.jp/hatikko/bunbun/tuzi/gantomeneki.html


11/2003・4・21

 ガン細胞を専門にたたくのは、リンパ球の仲間であるNK細胞です。
 NK細胞はガンを攻撃するときに、内部からパフォーリンと呼ばれるたんぱく質を分泌して、
 ガン細胞に穴を開けて殺します。パフォーリンは、ちょうどマシンガンの弾のようなものです。
 その殺傷力はたいへん強く、私たちの体の中で毎日、作られているガン細胞を一手に引き受けて処理してます。
 
 NK細胞は交感神経に反応し、交感神経が緊張すると数は増えます。
 しかし、ガンを攻撃するときに用いるパフォーリンを分泌するには、副交感神経も働いていなくてはいけません。

 交感神経が過度に緊張すると、副交感神経の働きがおさえられ、細胞の排泄・分泌能が落ちてしまうため、
 パフォーリンを分泌することができなくなります。
 さすがのNK細胞も丸腰では闘えずガンの増殖を許してしまいます。
 交感神経の緊張が長引くと、このようにガン細胞をのさばらせる環境が十重二十重に作られていきます。


〈『ガンはここまで治せる』福田稔/マキノ出版〉


10/2003・4・14

 極度の運動不足は、逆に、生体を副交感神経優位から交感神経緊張に
 変化させる力を持っていることを知る必要があります。
 人間などのような
筋肉の発達した生物群は、この筋組織の使用頻度が極端に低くなって
 エネルギーの消費が抑制されると、つまり安静に寝てばかりいると、
 高血圧や脈拍を速くして基礎代謝を亢進させ、
 今までに取り入れたエネルギーを消費してしまおうと試みるらしいのです。


〈『免疫学問答』安保徹・無能唱元/河出書房新社〉


9/2003・3・12

 人間の身体は六十兆個もの微小な細胞で構成されている。
 われわれは外的環境をはじめさまざまな要因によって影響を受け、
 気持ちや体調を変化させていると思っているが、
 具体的に影響を受けているのは、実はひとつひとつの細胞なのである。


〈『未来免疫学』安保徹/インターメディカル〉


8/2003・1・19

 発ガンのしくみ(自律神経とのかかわり)

 〈交感神経の緊張が招く四悪〉

 @顆粒球増多

  顆粒球が分泌する活性酸素で組織破壊が起こり、傷ついた組織を修復するために
  原型ガン遺伝子(細胞増殖関連遺伝子)が活性化する。

 Aリンパ球の減少
 B血流障害
 C排泄・分泌能の低下


〈『ガンはここまで治せる!』福田稔/マキノ出版〉


7/2002・12・02

 人の心とからだとは白血球の自律神経支配を媒介として密接につながっている。

 白血球は多細胞生物である私たちに今でもあまり変わらずに残された、
 単細胞生物時代の自分自身である。


〈『医療が病いをつくる』安保徹/岩波書店〉


7/2002・11・29

 白血球の自律神経支配

 私たちのからだはたくさんの細胞からできているが、
 この働きを無意識下で統一しているのが自律神経系である。

 これは交感神経系と副交感神経系からなる。

 運動する時は交感神経が働き心臓の働きを高め、呼吸を速くし、消化管の働きを抑制してしまう。
 このような刺激は、副腎の出すアドレナリンや交感神経自身の出すノルアドレナリンによって媒介される。

 休息の時や食事をする時には副交感神経が働き心臓の働きや呼吸をおだやかにし、
 分泌現象を促進し消化管の蠕動運動を活発にする。
 このような副交感神経の刺激はアセチルコリンによって媒介されている。

 血液中を循環する白血球でさえ、その細胞の膜上に交感神経の刺激を受けとめるためのアドレナリン受容体や、
 副交感神経刺激を受けとるためのアセチルコリン受容体を持ち、自律神経支配を受けている。

〈『医療が病いをつくる』安保徹/岩波書店〉


6/2002・11・28

 腰痛・肩こりと痛み止め

 痛み止め(NSAID nonsteroidal anti-inflammatory drugs)は別名、
 解熱剤とか消炎鎮痛剤とも呼ばれている。

 腰痛や肩こりの発症の原因は、骨の変形から始まっているわけではない。
 腰や肩のまわりの筋力低下(運動不足あるいは同じ筋のみを使用するなど)によって
 筋に負担がかかり血流傷害が起こる。
 
 筋肉、骨、関節は一つの組織として進化し血流が調整されているので、
 この血流障害によって骨や関節が変形してくるのである。

 血流障害は交感神経緊張を伴う現象なので、必ず顆粒球増多も同時に誘発され、骨や関節の変形が促進される。
 そして血流障害を改善しようとする副交感神経反射が痛みをつくる。

 アセチルコリン、プロスタグランジン、セロトニン、TNF(腫瘍壊死因子)などが関与している。

 腰痛や肩こりの痛みそのものは、からだが正常態に復しようとする際に生じる治癒反応なのである。

 痛み止めはプロスタグランジンの合成を抑制し、交感神経刺激反応を誘導する。
 痛みを消すとともに血流を低下させる。痛み止めは筋疲労で起こった血流障害をさらに上乗せする。

 徐々に運動して血流をふやし筋力を強化していくと、変形した骨や関節もほどよい形に治まって治癒していく。

 痛み止めでは胃だけがやられると思っている人が多いが、胃がやられるような時には、
 関節なども含めてすべての臓器が障害を受けているのである。

〈『医療が病いをつくる』安保徹/岩波書店〉


5/2002・11・26

 医学的には“断末魔の苦しみ”などというものはありえない。
 最後の最後では意識が低下し、痛み、苦しみは感じないためだ。

 人間の身体は、誰でも死ぬ瞬間には痛くないようにできているのである。

 死の瞬間にはエンドルフィン、エンケファリンという脳の“快楽物質”がどっと分泌されることがわかっている。


〈『死に方のコツ』高柳和江/小学館文庫〉


4/2002・7・12

 癌の原因は働き過ぎと心の悩み

 働き過ぎ、大酒のみ、心の悩みに共通する体調とは、交感神経の緊張である。
 交感神経緊張が持続すると、脈拍の上昇、高血圧、腰痛、肩こり、不眠、慢性疲労など、
 多くの症状が出現する。しかし、からだの中ではもっと大変なことが起こっている。

 一つは、末梢の血流障害と顆粒球の増加である。
 この血流障害と増加した顆粒球は、いろいろな組織や細胞に悪さをするが、
 その中でも皮膚や腸の上皮細胞に対して強い影響が出る。

 皮膚や腸の細胞はいつも再生をして置き換わってるので、
 顆粒球の攻撃に対しても感受性が高く被害も大きい。

 もう一つある。
 交感神経緊張が持続しても、始めのうちは再生力をフル回転させて、 
 なんとかこれをしのぐことができる。
 しかし、緊張が年の単位で続くと、増加した顆粒球が死滅するときに発生する
 活性酸素の強い酸性作用によって細胞を痛めつけ、
 ついには細胞再生のための細胞増殖関連遺伝子に異常が起こる。
 調整が効かなくなった増殖関連遺伝子が癌遺伝子である。
 このようにして癌が引き起こされるのである。


 交感神経と副交感神経は拮抗して働いているので、
 交換神経の緊張は副交感神経の抑制を伴う。
 そのため、副交感神経の支配下にあるリンパ球の働きが低下する。
 その結果癌細胞を攻撃するT細胞(傷害性T細胞)が減少し、
 同じく癌細胞を殺してしまうNK細胞(ナチュラルキラー細胞)が機能を発揮できなくなる。
 こうして免疫系の能力が低下し再生細胞の癌化を許すことになる。

 では、癌になってしまったらどうしたらよいのであろうか。
 すぐに生活をふり返って、交感神経緊張を強いてきた原因を探り、それを取り除くことである。
 交感神経によって引き起こされた「血流障害」と「顆粒球増多」は癌になったあとでも可逆的で、
 原因を取り除くと元に戻ることがわかっている。

 そして、癌は自然退縮を始めるのである。


〈『医療が病いをつくる』安保徹/岩波書店〉


4/2002・3・7

 癌を誘発するプロセスを逆に癌を制圧するために利用・・・


      
癌発生の心身相関理論モデル

            心理ストレス
               
            心理的反応(憂鬱・絶望感)
               
            大脳辺縁系
                 
   視床下部の活動     脳下垂体の活動
                     
   免疫組織         内分泌組織(ホルモンのバランスを崩す)
                     
   免疫活動の抑制     異常細胞の増加
               

          
癌細胞の発育


      【癌制圧の心身相関理論モデル

            心理的介入(考え・信念の転換)
               
            心理的反応(希望・期待)
               
            大脳辺縁系
                 
   視床下部の活動     脳下垂体の活動
                     
   免疫組織         内分泌組織(ホルモンのバランスの回復)
                     
   免疫活動の増加     異常細胞の減少
               

          
癌細胞の退行



〈『がんのセルフコントロール』カール・サイモントン他/創元社〉


3/2002・2・9

 笑い

 中程度から重症の慢性関節リウマチの患者さんと、健康な人それぞれ26人に協力をお願いし、
 落語家の林家木久蔵師匠に1時間ほど熱演してもらい、おおいに笑ってもらいました。
 そして落語を聞く前と聞いた後の症状や、リウマチの指標となる血液検査の変化を調べたのです。

 その結果、まず最も顕著に現れた効果が、痛みの軽減です。
 26人中20人の患者さんが、落語を聞いて笑った後に大幅に痛みが和らいだと答えています。
 さらに7割近くの患者さんが、落語を聞いてから一ヵ月ほど体調がよかったと回答しています。

 リウマチの指標となるインターロイキン6の数値も、かなり改善されたいました。
 26人中22人に減少が見られ、40ピコグラムあった人が10ピコグラムまで下がるなど、
 正常の範囲に戻った例もありました。

〈『ガンを退治するキラー細胞の秘密』伊丹仁朗/講談社〉


2/2001・9・20

 人間の血液を採取して遠心分離させると、上半分が血漿という液体に、
 下半分が血球の集まりというように分かれます。
 この血球の部分の割合は、へマトクリット値というパーセンテージであらわすことができます。
 通常、健康な男性は45〜50%
女性は40〜45%、幼児の場合は60%前後です。
 もし貧血を起していると、この数値は当然低下します。
 ところが,身体そのものには何の異常もないが、精神状態の悪いときに、
 このヘマトクリット検査を行うと、20%ほどに下がってしまうことがあるというのです。
 しかも血漿の部分の色が薄くなってしますのです。

 通常、赤血球の数が減ってくると、貧血状態になります。
 精神状態が悪くなると、頭痛、めまい、耳鳴りがしてくることがありますが、
 これもこのことに関係しているとも考えられます。
 また、同じ人の血液で、楽しい時の血液中の血清と、
 不愉快なときの血清に、それぞれチフス菌を入れて培養すると、
 楽しいときの血清の坑菌力のほうが、不愉快なときの血清よりはるかに強いということがわかっています。


 〈『「病は気から」の健康学』鈴木弘文編著/かんき出版〉


1/2001・9・19

 やる気を起させるものは、側坐核という小型の脳にあるといわれています。
 大脳新皮質の前頭前野と大脳辺縁系、大脳基底核の交差点にあって、感情や意欲を支配します。
 この側坐核を最終拠点としているのが、快感神経といわれるA10神経です。
 A10神経は、それぞれの脳からの刺激を快感として伝え、
 この快感が、ドーパミンの分泌を促します。

 食欲や性欲を司る視床下部もA10神経が走っており、
 これが刺激を受けるとドーパミンが分泌されます。
 やる気も、記憶も、創造力も、本能的欲求も、感情も、すべてA10神経で結ばれており、
 これが刺激されるとドーパミンにより快感が生れます。
 やる気が起きて、これが満たされると、それが快感となって、ますますやる気が増す・・・
 やる気をどんどん出させるには、ドーパミンの分泌を刺激すればいいのです。
 
 そのためには、
 @大脳新皮質と大脳辺縁系を刺激する←精神の安定と知性・理性を満たす
 A大脳新皮質の前頭前野を刺激する←創造性を満たす
 B視床下部を刺激する←性欲・食欲を満たす

                                                             
 〈『「病は気から」の健康学』鈴木弘文編著/かんき出版〉

 ※ドーパミンの分泌が活性化されると、自然治癒力(自己治癒力)が高まるといわれています。


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