三木二寸のあれも言いたいこれも言いたい

ハリー・ポッターの不思議 その4

2002年4月14日

今回は、本の読者からみれば不思議でも何でもない題材を取り上げました。
映画を見ての疑問を、本などを読んで解き明かすと、 これも「ハリー・ポッターの不思議」ということで、ご理解願います。

不思議その5  ◇ポッターが箒から落ちずにすんだ訳◇ 
 クィデッチの試合中にハリーの乗った箒が迷走を始め、危うく落ちそうになります。
日本版の277ページを引用します。
 突然、観客があちこちでいっせいにハリーのほうを指さした。 箒がグルグル回りはじめたのだ。 ハリーはかろうじてしがみついている。 次の瞬間、全員が息をのんだ。 箒は荒々しく揺れ、ハリーを振り飛ばしそうだ。 今やハリーは片手だけで箒の柄にぶら下がっている。

ハーマイオニーは、スネイプが箒に呪いをかけていると思って、 スネイプのマントに火をつけます。
その結果、 「それで十分だった。空中のハリーは再び箒にまたがれるようになっていた」 (日本版279ページ) と、ハリーは助かります。
ここで私たち(映画の)観客は、スネイプは悪者だと信じたのですが、
「この1年間、スネイプは君を守るために全力を尽くした」(日本版441ページ) のであって、実は犯人でなかったのです。

映画を見終わった後、ハーマイオニーがスネイプを攻撃したのに、 なぜ魔法が解けたのか、そのわけがよくわかりませんでした。

日本版の424ページでクィレル先生は、
「…君の友人のミス・グレンジャーがスネイプに火をつけようとして急いでいた時、 たまたま私にぶつかって私は倒れてしまった。 それで君から目を離してしまったんだ。…」
と、種明かしをしています。

そこで、 日本版の272ページを読んでみますと、
途中でクィレルとぶつかってなぎ倒し、クィレルは頭からつんのめるように前の列に落ちたが、 ハーマイオニーは、立ち止まりも謝りもしなかった。
と、いうことなんですね。

映画では、このあたりがよく分からなかったのですが、 びれっじさんによりますと、
最後の対決のシーンで
『マントに火がついた騒ぎに驚いて、君から視線を切ってしまった』
みたいなことを言ってました。
ということですので、映画ではそういうことだったのですね。
原作を読んでみると、時間の制約のある映画では相当省略されているようです。

続報  ◇英国版と米国版の比較◇ 
 第2章までは、 「ハリー・ポッターの不思議 その3 」
ご報告しましたので、今回は第3章です。

 「cine-camera」(8ミリカメラ)をわざわざ、「video camera」(ビデオ・カメラ)と書きかえています。
いまどき8ミリカメラなんて子どもには分からないということなのでしょう。
「知らない人からの手紙」が届くのは、1991年7月の出来事なのですが、 もはや8ミリカメラの時代ではなかったかもしれません。

 「video」を「VCR」と書き換えていますが、アメリカではビデオで通じないのでしょうか。
 第 3 章
事項 日本語版 英国版 米国版 備考
50-3 ダドリーは、買ってもらったばかりの8ミリカメラをとっくに壊し、 ラジコン飛行機も墜落させ Dadley had already broken his new cine-camera, crashed his remote control aeroplane Dadley had already broken his new video camera, crashed his remote control airplane,  
50-14 バーノンおじさんの母校、「名門」私立スメルティング男子校
地元の普通の公立ストーンウォール校
Uncle Vernon's old school, Smeltings
Stonewall High, the local comprehensive
Uncle Vernon's old private school, Smeltings
Stonewall High, the local public school
 
63-7 おじさんは嬉々としてみんなに言った he reminded them happily he reminded them cheerfully  
64-7 テレビやビデオやコンピュータを…詰め込もうとして he tried to pack his television, video, and computer he tried to pack his television, VCR, and computer VCR:videocassette recorder
66-9 ある時は耕された畑のど真ん中で、 そしてまたある時は立体駐車場の屋上で、 おじさんは同じことを繰り返した。 The same thing happened in the middle of a ploughed field, halfway across a suspension bridge, and at the top of a multi-storey car park The same thing happened in the middle of a plowed field, halfway across a suspension bridge, and at the top of a multilevel parking garage  
68-8 バーノンおじさんの用意した食料は、ポテトチップ一人一袋 Uncle Vernon's rations turned out to be a packet of crisps each Uncle Vernon's rations turned out to be a bag of chips each  
事項の欄の「6-1」とかは、日本語版のページと行です。
この場合は、6ページの1行目ということです。



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