1998年3月
所長からのメッセージ

■ 長野オリンピックの興奮冷めやらず ■
ちょっと前の話ですが、行って来ました白馬へ。荻原兄弟も見ました。原田も船木も見ました。ジャンプのラージヒルは感激でした。まず岡部の1回目の130メートルの大ジャンプ。これで観客席の雰囲気がいっぺんに盛り上がりました。2回目の圧巻は何と言っても原田の大ジャンプ、原田の結果が表示されないまま次々と後のジャンパーが飛ぶので場内は騒然としていました。
本来なら1回目2位の岡部やビドヘルツルのジャンプはもっと注目されても良かったはずですが、原田の大ジャンプの余韻と船木の好ジャンプの興奮の前にかすんでしまいました。本当は岡部にもっと期待が集まっても良かったと思います。岡部にとって不運だったのは向かい風が止まってしまったこと、最後のビドヘルツルも同じです。彼らが原田と同じ風の状態であったなら、船木の金メダルはなかったでしょう。結果として岡部はビドヘルツルと相討ちして船木に金メダルをとらしたと言えるでしょう。オリンピック前から苦しんできた岡部の2回目の不運、団体戦でも個人的にはぶっちぎりの成績を残しながらそれほど注目されなかった岡部が気の毒でなりません。今回の日本のジャンプ陣の最大の功労者は岡部だったのではなかったでしょうか。
それにしてもジャンプがこれほど風に影響を受けるとは思いませんでした。やはり競技は公平な条件の下に行われるべきです。リレハンメルの複合個人戦の荻原も追い風の不運に泣いたことを記憶されている方も多いと思います。(これほどのオリンピックおたくは私だけでしょうか?最近では原田のインタビューシーンが写ると、何とコメントしているか総て言えるようになってきました)そういう意味で、何日も競技が延期されたり、僅か1時間の間にくるくると風が変わる競技場は、やはりオリンピックの舞台としては不適切であったと言わざるを得ません。
やはり西武の堤さんの思い通りのオリンピックになってしまったようです。長野新幹線や長野道のように西武のスキー場やゴルフ場に関係のある方面だけインフラが整備されました。八方方面は何の整備もされません。白馬の駅前は何にも変わっておらず、ロータリーは狭く、各地への送迎バスがごったがえし、会場までは大渋滞です。まさに「西武のための長野オリンピック」だったようです。

■ ぐちゃぐちゃになってきた金融支援 ■
もう政府の金融支援はめちゃくちゃになってきました。いったい不良金融機関の救済にいくら税金を投入する気でしょうか。10兆円でしょうか、30兆円でしょうか、それとも週刊誌でも言われているように80兆円でしょうか。景気対策もまだ懲りずに10兆円の公共事業をやる気でしょうか。役に立たない景気対策をいつまで続ける気なのでしょう。
山崎政調会長の3月末株価1万8千円対策には開いた口がふさがりません。公正自由な株式市場に対して、目標株価を決めて郵貯の資金をつぎ込むと公言する政治家がいることが信じられません。これは「株価操作」として犯罪にならないのでしょうか。「日本版ビッグバン」の目的は何だったのでしょうか。もう政治家もなりふり構わなくなってきました。3月末に向けてカラ売りすれば必ず儲かりそうですね。いくらジョージ・ソロスでもこんなアホな株式市場は相手にしないかも知れません。

■ 電話料金削減法 ■
2月号でも電話料金についてお話ししましたが、「経費節減」という言葉は今や、企業のためだけの言葉ではなくなりました。家庭においても電話代をはじめ、様々な支出削減が可能になってきました。もちろんTTNetやDDIの利用手続きをして割引を受けるのも良いのですが、もっとも手軽な倹約法はNTTの「タイムプラス」だと思います。これは先月から利用受付が始まっていますが、市内通話料金がこれまでの3分間10円から5分間10円になります。たとえば15分間の通話を1回すると、普通は50円ですが、「タイムプラス」を利用すれば30円ですみます。「タイムプラス」の料金は月額200円ですから、15分の通話を10回すれば元が取れることになります。家庭でも長電話する奥さんや子供がいる方の場合には1週間で元が取れるかも知れません。(現に私の自宅ではそうです)
いま色々な通話サービスが行われていますが、一見得なように見えても、利用状況によっては逆に損するケースも考えられます。代表的な通話料金割引サービスに「テレホーダイ」というものがあります。パソコン通信やインターネット愛好家は必ずと言っていいほど利用しているサービスですが、これは予め決められた市内電話番号2カ所については夜の11時から朝の8時まではいくら利用しても無料というサービスですが、基本料金が月額1800円かかります。1800円といえば3分10円で換算して540分すなわち9時間です。先ほどの「タイムプラス」と比較してみると、基本料金の差額が1600円、時間に換算すると800分すなわち13時間以上です。よほどの「おたく」でないと月に13時間以上もインターネットを利用しません。多くのプロバイダが月額基本料金で利用できる時間を15時間に設定していることでもわかります。従って通常のインターネット利用者ならば、わざわざテレホーダイに加入するよりも「タイムプラス」に加入した方が得ではないでしょうか。何しろ「テレホーダイ」の場合には、全く利用しなくても月額1800円かかるのですから。
なおインターネットを月に15時間以上利用するヘビーユーザーは、私がお教えするまでもなく、もっともお得なプロバイダと適切な通話サービスの情報をインターネットで収集しているはずですから、よけいなことを言うのはやめておきます。ただ一般の人にとっては、プロバイダは料金よりもつながり安さが一番です。自分がもっともよく利用する時間帯の混雑状況を(この情報はインターネットにつながないとわかりませんが)調べてどこのプロバイダに加入するか決めるようにして下さい。

■ 郵便番号7桁制の暴挙 ■
2月1日から郵便番号が7桁に変更されました。まだご自分の自宅やオフィスの郵便番号を記憶されていない方も多いと思います。桁数が4桁も増えたために、自分の番号はともかく、他人の郵便番号が頭に入るには相当時間がかかりそうです。本当に郵便番号を7桁にする必要があったのでしょうか。3月3日の日本経済新聞の「大機小機」でも酷評していましたが、これはまさに自分のことしか考えない、お役所的な発想で行われたことではないでしょうか。
日経新聞によれば、今回の7桁化で郵政省は2千億円以上の経費節減が見込まれ、その結果2005年まで郵便料金を値上げする必要が無くなると説明していますが、受益者側の負担増については何にも考えられていません。企業では総ての封筒や名刺の印刷をし直す必要があります。請求書や納品書の郵便番号も総て変更が必要になります。これらの負担だけでも2000億円以上になるのではないでしょうか。仮に全国600万事業所総てで封筒を新たに印刷するとなると、1社2万円や3万円はかかるでしょう。仮に1事業所あたり3万円とすれば、これだけで1800億円です。サラリーマンなど4000万人が名刺を刷り直すとなると一人あたり3000円として、1200億円かかることになります。これだけでも郵政省の経費節減学を上回ってしまいます。これに加えて各種のデーターベースや住所録等の郵便番号変換コストを含めれば、負担増の方が大きいことは明らかです。
さらにもっと頭にくるのは、時間コストの問題です。これまで近くの方に郵便を出す場合、郵便番号は大体頭に入っていたのではないでしょうか。たとえば私の住む文京区ではこれまで郵便番号は112と113の二つしかありませんでした。それが今回の改正で何と郵便番号は21に増加してしまいました。文京区では白山通りをはさんで、北に向かって右側は113,左側は112と決まっていましたから、地理を思い浮かべれば郵便番号を調べる必要はありませんでした。これからは同じ区内に郵便を出す場合にでもいちいち郵便番号簿を引っぱり出さなくてはなりません。この日本全国の時間の無駄について誰が責任をとるのでしょう。まさに「官の論理」です。
日経新聞の記事を引用します。「一般の民間企業なら経営の合理化は、まず企業内の努力で痛みを負担し、顧客には決して迷惑をかけないものである。・・・今回の措置のように利用者の負担により合理化を図るのは本末転倒であり、独占企業の傲慢さといえよう」
まさにおっしゃるとおり、やはり郵便事業の民営化は必要です。

■ 3月迄に出来る節税対策 ■
税制改正も本決まりになりましたが、先月号の会計ニュースでもお知らせした「通勤手当の非課税限度額5万円から10万円への引き上げ」は未だに実現していません。もっとも殆どの改正は来期からの適用になります。(来期とは言っても、3月決算の会社は来月から適用されることになります)急がなければならないことは前からお知らせしているように2つだけです。建物と営業権の取得です。
建物については来月以降取得のものについては定額法による減価償却しか認められませんので、当初計上できる減価償却費が大変少なくなります。また営業権すなわち暖簾については、これまで任意償却すなわち営業権を取得した年度に全額損金として処理することも可能でしたが、来月からは5年間の均等償却となります。もし買収等により営業権の取得を考えている方がいたら、大至急実行しなければなりません。

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