Excel の解説書を見ると、盛り沢山の機能、ワークシート関数、VBA の説明で埋めつくされています。一見すると便利そうなものも多いですが、実際に使ってみようとすると、使い方がよく分からない、どう使ったら良いか分からない、やってみたら実際は使いにくかった、といった問題につきあたることが多いのではないでしょうか。
ところで、Excel を勉強されている方は多いと思いますが、Excel を勉強して何をするかということを考えていますか? とかく昨今は IT が必要とされているので、それ相応のスキルを身に付けなければならないと、いたるところで叫ばれていますが、覚えてみたが結局は表を手書きするためにしか使っていない、会社で使えと言われているのでほぼワープロとして使っています、というようなことになっていないでしょうか。
また、Excel を使わなければいけないという理由で、かえって作業効率が悪くなっているかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
そういう疑問をお持ちの方は、一度原点に戻り、「私は Excel で何をしたいのか、私は Excel に何を求めるのか」ということを考えてみてはいかがでしょうか。
この項では、本当に必要なことをいかに簡単に学習するか、ということをテーマに話をすすめていきたいと思います。
私の場合、Excel を使う理由は、職場で Excel を使うように言われているからです。必要がない限り、Excel を使用して新しいファイルを作ったりすることはあまりありません。
ですので、主な使用方法は、Excel で作成されたファイルの閲覧ということになります。
さて、ファイルの閲覧といっても、たんに内容を見るだけでなく、元のファイルから必要な箇所を探したり、集計等を行って別のファイルを作ることが良くあります。
みなさんの望む使用方法と若干異るかもしれませんが、ここでは集計作業を簡単に行う方法についてご説明したいと思います。
集計する、といってもファイルの中身全部を集計することはあまり無いと思います。特定の場所や日付のもののみを取り出して集計することがほとんどではないでしょうか。
ここでは、以下のような例を元に考えていきたいと思います。
ある会社では、販売管理を Excel で行っており、日毎の売上から、週単位、月単位の報告書を作成する必要がある、としましょう。その会社で使っている販売管理用のファイルは、以下のようなものです。
1行単位で、販売した商品の、金額と消費税が記入されています。
このファイルから、週単位の事業所毎の売上を集計してみましょう。方法は色々ありますが、良く本に載っていそうなsumif
ワークシート関数を使ってみることにします。
ちょっと手抜きして、尼崎分しか集計していませんが、すべての事業所分を計算させることは、そう難しいことではなさそうです。
しかし、こんな面倒なことをしなくても、フィルタを設定することで同じ効果が期待できます。
フィルタを設定するには、メニューの [データ] -> [フィルタ] -> [オートフィルタ] をオンにします。
フィルタを使用すると、ある列ごとに条件に従う行のみを取り出すことができます。集計するには、フィルタで行を抜き出してから必要な範囲を囲むだけでできます。
以下は、フィルタで事業所が尼崎の行のみを選択し、範囲を囲んで集計する例です。赤で丸した箇所に、合計が出ています。
フィルタで使用した場合と、sumif
ワークシート関数を使用した場合で、何が違うでしょうか。
個人的には、フィルタを使用する方が楽に思いますが、そこは人それぞれかもしれません。しかし、一番の違いはsumif
を使うと、事業所が増えたり、集計方法が変わった場合に、柔軟に対応しにくいことです。Excel を少し使ったことがあると分かると思いますが、一度フォーマットを決めてしまうと、追加した部分がページからはみ出たりして、結構修正しずらいものです。
この程度の内容ならば、毎回固定のフォーマットで印刷するよりも、適当にフィルタで集計して上司に口頭で報告してしまうか、毎回作った方が早いのではないかと思います。決算や税金の計算などに使うから記録しておく必要があるんだ、というような反論もあるでしょうが、そもそもそういった目的に使うのなら、Excel を使わない方が良いでしょう。
さて、定型業務で定型フォーマットのファイルを記入するときよりも、非定型業務で非定型フォーマットのファイルを使用しているときの方が、何か楽な方法がないかと思うことが多いのではないかと思います。(定型業務は、すでに決まっている作業ですから、当然そうなると思います。)
ところが、よくある Excel の書籍では定型業務用の説明が多く、それを読んでも実際にしたいことと説明の間の差が大きいように感じます。
非定型業務のほとんどは、検索と集計でほとんどが成り立っていると思いますので、上のこと一つ知っておくだけでも作業の幅が広がるのではないでしょうか。
難しい内容に手をだす前に、知ってる範囲で簡単に解決できる方法が多いことを覚えておいていただければと思います。
$Id: excel2.html,v 1.3 2003/01/27 21:02:11 mikawa Exp $