墨田区東向島の「セイコー時計資料館」に行きました。現在の資料館は1999年6月に、旧資料館より移転、新築された建物です。入館には事前予約が必要。私は前日に電話で予約を入れました。氏名と連絡先、入館するだいたいの予定時間を伝えれば予約は完了です。

 JR総武線の亀戸駅から日暮里駅行のバスに乗り、白鬚橋東で下車すると徒歩1分ほどで到着します。

 いよいよ到着しました。念願の「セイコー資料館」。心を落ち着かせ、いざ館内へ。

 入館に際してはノートに氏名と住所を記入します。

受付のお姉さん「わざわざ大阪からお見えになったのですね」 ※当時は大阪在住

「ええ、時計が好きなもので、、、」

 ノートを見ると、直前の来館者の日付けは一昨日。広告会社・電通の社員とありました。この日は私が初めての来館者です。結局、見学中に他の来館者はなく、貸しきり状態でした。

 1階は「企画展示室」です。来館時のテーマは『セイコー高級装飾時計展』。資料館の職員の方がしばらく私について色々と説明をしてくれました。同企画展示は始まったばかりで、見学者は私が初めてだとか。

 写真は職人の作業机です。この机で装飾の作業をするとのこと。こういう作業は今でも手作業なんですね。

 ケースを削り出して、研摩していく過程です。工程の説明、紹介も実物を展示していますので理解が進みます。

 クレドールを中心に紹介しており、セイコー歴代の高級時計が数多く展示されていました。

 2階は「常設展示室」。日本の時計産業を体系的に紹介した展示資料は国内でここだけではないでしょうか。

 時代ごとに時計の歴史を紹介しています。日時計や天智天皇の水時計の話などからはじまり、詳細に時計の歴史を紹介しています。庶民が所有する時計の歴史は、置時計や懐中時計からスタートです。

 セイコーが会社の戦前に製造してきた掛時計、置時計の展示が終わると、「腕時計」と「クロック」に展示が分かれます。もちろん興味があるのは「腕時計」。そこをまずは我慢して、「クロック」から見学することにしました。

 中央にあるのは国会議事堂を模した置時計。大理石製です。置時計も高級品だったのですね。

 1962年発表の「ロビン・ミニスター」。古さを感じません。

 世界初の携帯型水晶時計「クリスタルクロノメーター」。第一号は放送局用の時報用設備時計として名古屋の中部日本放送に納入されました。東京オリンピックにおいては標準時計にもなっています。1964年製。

 誰もいない展示室。観覧しているのは私だけです。1人で足を運んだので時間を気にせず時計鑑賞ができました。

 60年代から現在までの掛時計、置時計。いろいろな機能の付いた時計が数多く展示されています。

 いよいよ腕時計のブースです。腕時計についても時代ごとに分けて紹介されています。また、技術的な資料は壁にあるパネルにまとめてありました。

 あまりに古い腕時計には興味がありません。目指すは60〜70年代です。詳細は次頁で紹介。

 セイコーのブランド展開(原文引用)

 昭和50(1975〜)年代は消費者の価格基準が複雑に分化し、新しい流通の台頭と多様化がその傾向をいっそう進展させた時代でした。新市場対応の視点から一つのブランドでマーケティングを展開するには限界があり、従来とは異なるブランド展開が必要となりました。「セイコーの複数ブランド戦略」は、グレードを基軸に市場対応し、新需要開発の積極策として展開されたきました。

 昭和54年クレド−ル(CREDOR)を「持つ人のプレステージを語り、豊かさへの憧れ」を実現するブランドとして再構築し、ジュウェリーウォッチ・貴金属ウォッチなど多彩なモデルを春秋2回の展示会で発売しました。またブランドに相応しい売場・販売方法の観点から「クレドールショップ」を選別し、営業体制も専任制がとられ、短期間に高級ブランドとしての地位を固めてゆきました。

 海外では昭和55年に欧米向けにジャン・ラサール(JEAN LASSALE)を投入しました。56年には欧米ジュウェラーからの要請によりラサール(LASSALE)ブランドを設定し、60年には国内にも導入されて、クレドールとSEIKOの中間に位置するブランドとして定着しました。

 高級品志向と低価格志向が強まり、中間価格帯が空洞化するいわゆる二極化の様相が見えてきました。カシオ・デジタルの市場参入もあって、低価格デジタル中心のアルバ(ALBA)ブランドを昭和54年に投入しました。海外でも同年欧米向けにパルサー(PULSAR)を、東南アジア向けにALBAをそれぞれ50〜100ドルの価格帯に設定するとともに、欧米での50ドル以下の巨大なマーケットに対応してローラス(LORUS)ブランドを導入しています。

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 3階は「文献閲覧室」。世界中の時計雑誌やパソコンを使ったデータベースなどが用意されています。

 時計ファンがくつろぐには最高のスペース。こんなところで1日中、時計について調べものをするのも悪くありませんね。

  

  

  

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