「なんだか、最近元気がありませんよね〜。リナってば。」
「そーだな。アメリアはなんか知ってるか?」
元気万点娘、アメリアの言葉が全ての発端だった。夕食後の穏やかな時間に彼女の言葉が溜息と共に漏れ出ていた。こんな言葉は非常に珍しい事だ。普段のアメリアにしてみれば。
その原因は、アメリアに更に輪をかけて元気な、このパーティの要とも言えるリナにあったのだ。
「いえ・・まあ、知ってるような、知らないような・・・・」
「なんだ?そりゃ。」
溜息をついているアメリアにこれまた対照的なのほほーーんとした声が訊ねている。しかし、そののほほんに染まる事などなく・・・アメリアの溜息が途切れる事はなかった。
「まあ・・・・いろいろとあるんですよ。ガウリイさん。」
「そーか?」
そして、アメリアはぼんやりと窓の外を見やる。外を眺めようと、ここのところずっとつづいている湿っぽく、俯きかげんな空気が晴れる事はなかった。
それは、外界を湿す雨も、同調しているかのようだった。
「あのー、ゼルガディスさん。ちょっといいです?」
ノックと同時に明るい声がする。来訪者に部屋の主であるゼルガディスは気だるげに入室を促した。
「ああ。入れ。空いてる。」
アメリアが部屋に入ると、ゼルガディスはただぼんやりと外を眺めていたようで、窓に腰掛けていた。他人を寄せ付けない雰囲気を纏って。
さしものアメリアもその雰囲気に躊躇したのか、暫く黙っている。ゼルガディスの方から口を開くのを待っていたのかもしれない。
「なんだ?一体。」
ようやく、ゼルガディスが口を開いた。が、その口調は単調で何の感情もでていない。要するに無愛想の塊。
(ほんっと、ゼルガディスさんって何て言うか・・・こういうとき、リナみたいな性格だったらいいのに・・・。)
などと思いつつアメリアは、あやうく、その無愛想に迫力負けしそうな心を奮い立たせて話し出した。
「あの・・・・単刀直入に聞きますけど・・・・・・リナがここ最近ずっと元気ないの気がついてます?」
アメリアの言う事は、ゼルガディスも気がついていた。実際、リナはここしばらくやることが全てスケールダウンしていた。まぁ、その方がいいコトもあったのだが。
「・・・・・まあ・・・な」
「なら話は早いですね。リナの元気のない理由を聞き出して欲しいんです。で、出来たら元気づけて・・って言うか・・・アドバイスの一つでもしてあげてほしいんですけど。」
ゼルガディスの同意に力を得たのか、アメリアが身を乗り出すような勢いで当所の目的を口にした。しかし・・・。
「なんで俺が、そんなことをしなければならん。お前さんのほうがずっと適任だろう。女同士だしな。それに俺じゃなくとも、ガウリイのほうがいいだろう?」
ゼルガディスの言い分ももっともだが、それはすぐさま却下された。
「それができていれば、ゼルガディスさんにまで手間をかけることはありません。私がダメだったからお願いしてるんです!!」
「・・・・・さっきも言ったが、ガウリイに頼め。あいつはリナ保護者だ。1番適任だ。」
「いいえ、ダメです!!!
ガウリイさんでもダメだったんですよ。後は、ゼルガディスさんしか残ってないんです。いいですね!今すぐ、リナのところに行って話を聞いて下さいね!!!!」
最後には、どやしつけるような勢いと、もう他にリナへの探りができるものがいない、という言葉に半ば強制的に首を立てに振らされるゼルガディス。おそらく、アメリアの迫力にも負けたのだと思われるのだが。
「・・・・・・あ・・・あぁ・・・・」
「それじゃ、さっそく!!さあさあ!」
「おいおい、今からか?・・ったく・・・」
当初の目的を果たせた事が余程嬉しかったのか、アメリアは満面の笑みを浮かべていた。そして、その勢いに任せて、ゼルガディスは部屋から追いたてられたのだった。
頑張って下さいねっ!などというお気楽な声を背に受けて。
そして、仕方無しにゼルガディスはリナの部屋へと足を向ける。
「ふぅぅ・・・まったくあのお姫様ときたら・・・・・しかし、リナか・・・。」
その唇からは深い溜息が零れ落ちていた。
「・・・・はい・・・・」
ドアのノックに答えたのは、か細い声だった。そこで来訪者が名を告げる。
「俺だ。ゼルガディスだ。」
「えっ!?ゼル?・・・・・・・・・・・・・・いいわ。入って」
ゼルガディスの声がドアの向こうへ届く。とたんリナの少し上ずったような声がしたかと思うとすぐにドアが開かれた。
「どうしたの?ゼルからなんて、珍しい。」
リナの苦笑のような声に促されてゼルガディスが部屋に入っていく。そして、それに合わせてゆっくりとドアが閉じられた。その音を確認してから、ゆっくりとリナに問い掛ける。
「・・お前さん、最近、何かあったのか?」
「なっ・・・・なによ藪から棒に。」
いきなりの言葉にリナはめんくらったようだ。また、声が上ずっていた。ゼルガディスはそんなリナをひたと見つめ静かに言う。
「誤魔化すな。俺の目は節穴じゃないぞ。言え、いや・・・吐き出せ。俺がでよければ聞いてやる。中に溜め込むな。」
「・・・・・・・・」
「少しは、すっきりするぞ。」
ゼルガディスの言葉をかみ締めるような表情で聞いているリナだったが、視線を足元に這わせ、呟くように言葉を送る。
「・・・・・・ゼルは・・・何か悩みある?」
「俺の悩み事は決まってる。」
「体?」
「ああ。」
「でも、あたしの悩みはここの問題なの。だから、自分でなんとかするしかないのよ・・・。」
そういってリナは自分の心臓を指差した。心の問題だと言いたいのだろう。
そんなリナの、あくまでも話そうとしない態度。だが、その声はかすかに震えている。ゼルガディスはその声を耳に入れた時、何かが崩れるような感覚を覚えた。そして、たまらず唇を開く。
「なら、余計に吐き出した方がいい。疲れるだけだぞ。」
「でも・・・・あたしには似合わない・・コトだから・・・・」
自嘲的なリナの言葉。あまりに切なく、悲しい声音。ゼルガディスにとって、普段のリナから想像もできないくらいだった。なぜか彼の心がきしんだ。
「おい。そんなことは自分で決める事じゃなかろう。イイから言ってみろ。」
いつしか、ゼルガディスの声音は柔らかなものに変わっていた。いつもの鋼を思わせる声ではなくなっていた。それは当人が一番驚いていた事だった。
(俺はこんなに柔らかな物言いができたのか・・・・)
繰り返されるゼルガディスの言葉がようやく、リナを捉えたようだ。ぽつりぽつりと話し始めた。
bQ へ。
見事、キリ番5000をげっちゅう、されました柴田真音様よりのリクエスト。
ゼルリナ激甘こんなん辛抱たまらんバージョンを目指しております。(馬鹿)
・・・目指している・・・・・つまり!ショートにできなかった!!これですな(えばるなーー!!)
すみません(TT)まおさん・・・ラストは甘くなるハズ(滅殺)なので、お暇な時にでもチェックしていただけると嬉しいです♪
ちなみに、アメリアの性格は・・・原作版をひっぱってきました。が!アメリアじゃねーな、ありゃ。
くそっ!これなら、アメリアじゃなくシルフィールにでもすればよかった・・・
後悔先に立たず(爆)
なんにせよ、5000を越えたとは!!
これもひとえに御来所いただいている皆様のおかげ!!
この場を借りまして心より御礼申し上げます。本当にありがとうございます、これからもよろしくお付き合いくださいませ(はぁと)
三下管理人 きょん太拝
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