△■○年○月×日。

大安吉日。

力一杯・・・・快晴。

↑ コレだけだったら何の問題もなくひたすら太平楽な1日だった。
まさに、「世は太平、事も無し。」といったところだ。
だが、この俺、『クールな魔剣士』様に限り、そんな平穏な日では・・・・









ゼルガディス君の呟き 
〜〜 結婚式(!?)編 〜〜





き、今日は疲れた・・・。


思いっっっっっっっきり、疲れた。
本当に、ここまで心身共に疲れ果てたのは久しぶりだ。
リナにプロポーズした時以来だな。
まさか『式を挙げる』だけのことがこれほど疲弊するものだとは思いもしなかったぞ・・・。


何の式かだと?


・・・・・・・その・・・だからだな・・・
つ、つまり、お、俺の『結婚式』だっっっ!!(////)
・・・・・・・・って、いかん!

『俺とリナのvvv』

が抜けてるぞ!!
リナにバレたら殺される(-_-;)

まあその・・・要するに、俺もついに年貢を納めたという訳だ。



で、

『結婚』

について言わせてもらうとだな・・・コレ自体に問題なんてカケラもない!!
が、しかしっ!!

『式』

の方がな・・(遠い目)

そもそも俺は結婚『式』なぞどうでも・・と言うか、出来れば省略してもらいたかったんだ。
だが、リナと超強力なバック(=女性陣)に諭されて(脅されたが正解だ。)、つい恐怖のあまり・・・じゃなくて、『結婚式』というのが女にとっていかに一大事であるかという熱烈な説得の前に首を縦に振らされてしまった。
しかし・・しかしだ!!
いくら準備期間が無かったとはいえ、当日の朝っぱら(それも朝の5時(-_-;))には叩き起こされ、着せ替え人形にされるわ、本日のスケジューリング(それも秒刻みのを・・)&詳細ポイントを暗記させられるなんて事まで聞いてなかったぞっっ!せめて朝飯くらい食わせてくれ!
だが、こんな泣き事なぞ、式当日となってはもう後の祭。
そう、俺も男だ!
例え、本意でなくとも、同意してしまったからには、完璧な花婿をやり遂げなければ気が済まん!

と、変に力みつつ、式当日の早朝にやけに細かすぎるスケジュール表を握り締めた。
現状の不満をぼやく暇も無いクソ細かいスケジューリングに現実逃避したくなったが、これも『シアワセ』への第1歩だと思って気合で踏みとどまった。
・・・とゆーのは表向き、とどのつまりは、ただ『俺に二言があるなどと思われてはプライドが許さん!』というのが理由だ。

ん?
なぜプライドが関わってくるのかって?
フッ・・・知れた事。
俺は『クールな魔剣士』だ。
ココ最近、巷では『リナの便利なアイテム』だとか、『おちゃめな3枚目』だとか、身に覚えのないよからぬ流言蜚語が流れていると聞くが、それは全くの出鱈目だ。
この俺に『クール』以外の形容詞はありえない。

はっきり言っておく!
俺は『クール』であることこそ相応しいんだ!!

『クール』=何事にも冷静かつ、スマートかつ、ダンディに!!
(↑の意味が込められているのをチェックしておいてもらいたい。)

これこそが俺のモットーなんだ!
・・・という事で今日は今まで以上に『クール』に『結婚式』をパーフェクトに遂行&完結させなければならない。
そうとも!
目指すは最高の『クール』だ! 
(本当は、リナの嬉しそうな顔を曇らせたくないだけなんて口が裂けても言えないからな。)



とまあ、俺(にとって)は涙ぐましい思いを胸に秘め、いまだ眠気でボケまくっている頭をフル稼働させて、そつなく『式』を遂行する為に本日のスケジュールを暗記し始めた。
だが、人間嫌なことからはすぐ逃避したがるのかつい、

『こんなもんなぞ覚えなくてもいいだろうに。どうせ周りの出刃亀共が仕切るんだろうからな。暗記するなら新しい呪文とかの方がずっと有意義で楽しいぞ・・・。』

そんな半ば嫌々ながらという心情がモノをいったか、やはり暗記は遅々としてはかどらず、ようやく覚えきった頃には、息つく間も無く式が始まる時間になっていた。


いかん!
そろそろ着替えないと間に合わんぞ。しかし、何時の間にこんなに時間が経っていたんだ?
時間の感覚さえボケるとは情け無い。やはり、栄養補給ナシでは脳細胞の活性化、効率化は望めないというのは正しいようだ。最近読んだ本によれば、脳には甘いものがいいそうだが、俺的に甘いモノはちょっと・・苦手だ。だが、砂糖の一握りで俺のクールな頭脳に喝を入れられるかもしれん。

ふむ・・・砂糖か・・・待合室の飲み物コーナー周辺にそれらしいものがあったような・・・くすねてくるか。出来れば、黒砂糖かザラメの方がいいんだが。アレの方がミネラルというものが含まれていて体にいいそうだからな。

なんせ、その時の俺は極端なる栄養というかエネルギー不足。もしや、このまま、

『新郎、空腹の為、式続行不可能!!』

なんてことにでもなろうものなら・・・・お、恐ろしい・・・(″ロ゛)
他の奴らはどうでもいいが、リナにどやされることを思うと・・・(-_-;)

や、やはりここは『プライド』より『リナ』が最優先だ!
・・・背に腹は代えられん。


などと、空腹に涙しつつ、白いタキシードに袖を通しながら、ふと、

そういえば、リナは今どーしているんだろうか?今、リナはウェディングドレスに着替えているんだろーか?

と、迂闊にも考えた瞬間、自分では気づかぬ内にニヘラッっと口元が緩んだ。
なぜかだと?
だから・・それは、つまり・・・なんだかんだと言っても結婚『式』してリナを独り占めできるんであるからして、


もうすぐだ。
柄にもなく緊張してしまうな。
だが、これさえ乗りきればリナは・・リナは俺だけのものに(握り拳!/ ̄ー ̄)
フッ・・・・そうすれば、好きなだけ傍に居ようと、抱きしめようと、キスしまくろうと、○×▼しようとどこからも文句は出ん!
いや、出させん!!
ん?・・・ムっ、いかんな、知らず知らずの内に顔の筋肉が緩んでいる!
こうならないようにさりげなく思考をこっちから反らしていたというのに。
・・・・まあ、今は誰も居ないからいいか( ̄ー ̄)


とまあ、↑ (具体例を挙げると)こんな脳内反応が起こるからだ。
そんなバラ色の脳内反応を起こしたまま、俺は幾度となくニンマリ鼻の下を伸ばしては手を止める(今思えば不気味この上ないんだが。)、という亀のようにトロイ着替えをするはめになった。



だが、そうこうしている内に、ようやく着替え終わった俺が、ド派手に腹の虫を鳴らし始めた頃、「時間だ」といきなり、アメリアのオヤジが花婿控え室に突撃して来るや問答無用で俺を教会へと引き摺っていった。
ええいっ、自分で歩くから手を放せ!
くそっ!
こんな親父の手も振り払えんとは・・・栄養不足もここに極まれりだな。


花婿控え室から式場まで直線距離約50メートル。
現実歩行距離約200メートル。(控え室から式場までは階段やら何やらあったからだ)
その間、アメリアのひげ親父に引きずられつつ、当然のコトながらある意味貴重な話を延々と聞かされ続けた。



・・・頼むから、人がシアワセを噛み締めたい時に、耳の端で『よりよい結婚式・正義の味方編』なんて脳細胞がスネそうな講釈をするのは止めてくれ。

(続く 2007.2.18)


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