2008年 シジュウカラの子育て 観察日記    
 古い巣箱を修理しても、昨シーズンは入ってくれなかったので、昨年秋に新しい巣箱を買いました。
 冬の間から下見に来るシジュウカラがたくさんいて、入り口をつついてみたり、中に入って中からトントントン・・・・とつついて確かめてみたり。
 今シーズンは入るかな?という期待に応えてくれました。
 
 巣作りから巣立ちまでの様子をお伝えします。
第1週

3月23日〜

 

 

巣箱に入る

  昨秋から巣箱を覗いたりつついたりしていたシジュウカラが、
2〜3日前から本格的に営巣場所として選んでくれたようです。
 今回の巣箱は、穴が少し小さかったようで、小柄なメスは自由に出入りができますが、オスが出入りするには少し狭い様子で、しきりに穴の周りをつついて、広げようとしています。
 それでもシジュウカラの嘴で簡単に穴が空くわけもないので、来ない間を見計らって、やすりで穴を古い巣箱と同じ直径3cmに広げてあげました。
 すると、オスも出入りしやすいようで、まず、オスが中に入って点検。
 その後、メスが巣材を運び込むようになりました。
 オスがもたもたと入り口にいると、メスが「あなた、じゃまよ!」と言わんばかりにオスを蹴ってどかして中に入ります。
 卵を産む大事な場所づくりは、シジュウカラの場合はメス主導のようです。

      
              メスが巣材を運び込んで巣箱の中にいる間、近くの枝で待っているオス。

第2週

4月1日〜

 

   3月中旬から巣箱に出入りして、コケ類を運び込んでいたシジュウカラ夫妻。
 といっても、オスは見張りのみ。せっせと巣材を運び込むのはもっぱらメス。
 時期的にそろそろ卵の台座を作る頃かな、と思ったので、我が家の犬をブラッシングして、抜け毛を庭に置いておきました。
 すると、さっそく取りに来ました。身体と同じくらいの大きさの抜け毛を運びます。
何回か犬をブラッシングしてたくさんの抜け毛をプレゼントしました。良いベッドと掛け布団になるといいな。^_^ 
さあ、もうすぐ抱卵かな。

 

第3週

4月8日〜 

 

 
  強い風雨が続いていて、巣箱に出入りする様子が見られず心配です。
せめて栄養をつけてもらおうと、餌台に置いた胡桃は食べに来ている様子。
 3年前よりも営巣が一ヶ月早いことや、メスが小柄なので、卵を無事に産めるのかな?卵はちゃんと孵るかななんて気になったりしています。

第4週

4月15日〜

 

 どうやら卵を産んだようで、時々メスが巣箱に出入りする姿を見かけます。
 キョロキョロ辺りを見回してから巣箱から出て、餌を食べたり、羽繕いをしたり。
 そのあとやってきたオスと一緒にどこかに行ってしまったり。
 カラスがそばに来たときには、葉のかげでじっと様子を伺い、カラスがいなくなってから、そうっと巣箱に入っていました。
 あまり長い時間、卵を抱いてはいない様子。
 卵を抱いているメスにオスが餌を運ぶ、なんていう姿も見られないので抱卵の時間は短そうです。
 抱卵の時間の長さが孵化までの日数に関係するとのこと。
 まだ気温が低いから、ゆっくり孵化でもいいのかもしれません。

 巣箱から出て行く様子。

第5週

4月22日〜

 抱卵  

 仕事があるので、限られた日や時間しか巣箱を観察できないので様子がなかなかわからないのですが、25日、午前中の用を済ませて戻ったときに巣箱を見上げると、出入りしている姿が見えました。
 そっと見ていると、巣箱に入ったシジュウカラが何かを咥えて出てきます。
 「あっ!ヒナの糞!孵ったんだ」と、昼食そっちのけでカメラを構えていると、小さな虫を咥えてやってきました。
 

 計っていると、およそ9〜11分間隔で餌を運んできます。 入ってから3〜5秒で出て行くときもあれば、30秒くらいたってから出てくるときも。
 メスは次にオスが餌を運んでくるまで入ったままのことも多く、まだ、孵らない卵があるのかもしれません。

 

 

 

 

 入っておよそ3秒後に出てきた嘴に咥えていたのは雛の糞です。
 こうして、ヒナの糞を咥えて運び出し、巣から離れた遠くに捨てに行きます。

  糞を運び出す時は躊躇無く、あっという間に出て行きますが、運び出さないときのオスは、巣箱を出るのがとても慎重です。 
 
 
 1分くらい、左右をしっかり見渡してから外へ出ます。

 年前の記録をみると、最初のヒナが孵ったのを確認してから2週間後に巣立ちでした。 ということは巣立ちは5月8日頃かな。 なんとか無事に育ってもらい、巣立ちに立ち会いたいものです。
 
  
第6週

4月29日〜 

 

  親が餌を運んでくると、巣箱の中からかなりにぎやかにチイチイ ニイニイと声がするようになりました。4〜5羽いるのでしょうか。
 親鳥たちは雨でも頑張って餌を運んでいます。
 気温が低い雨の日は、虫も見つけにくいのでしょう。餌を運び込む合間に、親たちは吊るしておく牛脂をなめて、自分たちの栄養補給をしています。

第7週

5月6日〜

  親が餌を運んでくる間隔が、とても短くなりました。2羽が交互に来るので、巣箱に餌を運びこむのは、1〜3分おき。
 こんなペースで運び込むのでは親も疲れてしまいそうです。
 雛たちは、ジュクジュク・・・ニィニィニィニィと短く尻上がりに鳴くようになりました。
 巣立った後、親がつれて歩いているときの声とほとんど変わりないので、いよいよ巣立ちは間近、というところでしょうか。  
 父鳥は餌を持ってくると近くの葉陰にいったん止まってすぐに巣箱に飛び込みますが、母鳥は餌を持ってきてから巣箱に入るまでに周囲を念入りに見回します。そんなに首を曲げなくても・・・


 運び出す糞もだいぶ大きくなってきました。

 そして、5月7日、母鳥のなぞの行動。 
 餌を持ってきて近くの枝に止まると、チー チー、 と短く何度か間をおいて鳴き、様子を伺っていたと思ったら、餌をねだる雛のように、翼を小刻みに小さく震わせます。
 

 そこへ父鳥がやってきて、ツーピーとひと鳴きして巣箱に餌を運び込み出て行くと、すぐに母鳥が巣箱に餌を運びいれ、そのまま出て行きました。

 巣箱の外ですから雛たちには見えないのですが、母鳥のしぐさは巣立ちを促す行動なのでしょうか。 
 ということは、いよいよ巣立ち?

 5月9日

巣立ち
 10:46 雛の声がやけに大きく聞こえるので巣箱を見てみると、雛が顔を出しています。

 少したつと足まで出して

 11:35 いよいよ、一羽目が巣立ちです。

すぐに近くの木まで飛びました。 
 

12:04 続いて2羽目が顔を出し、
12:06 落ちるようにして巣箱から出たこの子は、とまったイヌザンショウの枝からしばらく動くことができませんでした。

  

   12:50 三羽目はベランダに一気に飛んでいって、止まったところはすだれホルダー。
 
 
少し動けずにいましたが、そのうちベランダをピョンピョンと歩いて巣箱のかかる樹を覗いたりしていました。
 その頃から4羽目は、何度も巣箱から顔を出すけれど、なかなか飛び出そうとしません。3時近くなっても、まだのぞいているだけです。
 父鳥がそばで促すように鳴いても出てこないので、父鳥が何度も餌を運び込んでいます。
 母鳥は先に巣立った子達をまもっているのでしょうか。
 父鳥や、兄弟が来ると顔を出すのですが、またすぐにもぐってしまい、やっと出てきたのはなんと17:28でした。
 ベランダに飛んでいくのですが、笠木が大きくすべって止まれないので、落ちてしまいます。危ないので古いすだれを置いたらその上に乗って親鳥を一生懸命呼んでいます。
 

 結局日没までには5羽目は巣立つことが出来ず、18:15の給餌を最後に巣箱は静かになりました。
 明日、無事に巣立つといいな。

  それにしても、巣立ち直後の雛のかわいいこと。
 成鳥と比べると色も尾の長さもこんなに違います。

 嘴や風切り羽根がしっかりとしてくるまでまだ10日くらいかかるでしょうか。
 猫やカラスにおそわれないように、と願うばかりです。

5月15日  

巣立ちから一週間、巣箱を開けてみると、こんなふうにぎっしりと巣が作られていました。

一番下の土台は土がついたままの苔
その上に棕櫚の繊維など、そして、一番上は犬の毛です。

  巣箱から取り出すとこんな様子。
 オレンジ色のものは何かマットから取ってきた繊維でしょうか。化学繊維風でした。以前、公式テニスボールの毛をむしる姿をみたので、そんなふうにふわふわしたものを取ってくるのでしょうね。

 上に点々とある白いものは糞。
 本来は巣の中にあるものではないのですが、巣立ちが一日遅れた子のものかもしれませんね。

   

 そして巣立った子たちは、お隣の植え込みの中で親に連れられていました。
 小さく羽ばたくしぐさをして親鳥に餌をねだります。

 左上が親。右下がなにやら餌の虫をもらった雛。 

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