STAR TREK : DEEP SPACE NINE ─スタートレック ディープ・スペース・ナイン 3rd SEASON |
#47 "THE SEARCH, PART I"─ドミニオンの野望(前編)
ガンマ宇宙域で遭遇したジェムハダー、そしてその背後にいるドミニオンの存在はアルファ宇宙域の各勢力の脅威であった。
対応に苦慮するDS9スタッフの前に連邦の新型艦ディファイアントと共にシスコが帰ってきた。
連邦初の「戦艦」であるディファイアントを駆りガンマ宇宙域のドミニオンの創設者とのコンタクトを試みるシスコたちであったが…
第3シーズンは第2シーズン最終エピソードの続きともいえるエピソードであり、
これまでのスタートレックシリーズではありえなかった「戦艦」、それもロミュランの遮蔽装置まで備えたディファイアントが登場し、
強敵の前に禁断ともいえる力をもって対抗しようという緊迫感が漂うものとなっています。
その強力な装備をもってしても抗いがたいドミニオンと突如見えぬ力に導かれるオドーとその前に現れる流動体生物、
と盛り上がったところで前編終了。第3シーズンからジェイクの声が石田彰に替わってまして、
その違和感よりもジャッジア・ダックスの髪型が替わっていたほうが驚きました。
TNGでライカーにいきなりヒゲ生えたのよりショックなのは何故でしょう?
オドーと同類の流動体生物、「可変種」とも呼ばれる存在と遭遇したオドーは
その歴史と自分に与えられた使命について知らされる。
一方、シスコとベシアは無事だったダックス、オブライエンとともにDS9に戻ると、
そこではドミニオンの「創設者」との和平交渉が行われようとしていた…
流動体生物あるいは可変種、即ちオドーの同類との遭遇で、オドー自身の素性が
明かされるとともに、謎に包まれた「創設者」の正体が明かされるというすごい展開
となっています。
DS9に戻ったシスコたちが巻き込まれた陰謀…これには秘密があるわけですが…が
これに並行して描かれて、緩急のついたドラマになりそうなものなのですが、
どうもう今ひとつぱっとしないような気がしました。
特に気になったのは「和平交渉」を行おうとする提督とその部下の保安士官で、
「現場のことはわかってない」というより「ただの無能」的な描写がなされている
ところです。話の中でガラックをして「連邦首脳はどうかしてしまった」と言わせてますが、
もうすこしそれらしい描写ができなかったものか。
尺が足りないせいかのかもしれませんが、非常に盛り上がるところなので残念です。
ともあれ来るべきドミニオン戦争の予兆がかんじられるエピソードではありました。
クワークが店で飲んだくれていたクリンゴンから代金をとろうとしたとき、誤ってそのクリンゴンが死んでしまった。
クワークはその事件をいいように脚色して言いふらすがそれが思わぬ事態を引き起こすというエピソード。
DS9になってから、どうもコメディリリーフ的な存在となっているクリンゴンがその風習が題材ですが、
今回はクワーク大活躍です。絶体絶命の危機をクリンゴンの「名誉」を逆手にとって切り抜けるというあたりがいい。
クワークとロムの兄弟愛(?)もありましたし、クワークの部分はメリハリが利いていて面白かったです。
ドミニオンの出現によってDS9から人が減り、結果としてケイコの学校が閉鎖され、オブライエンが妻のことを慮るという
話もあって、シリーズ全体としての「縦糸」の効果も果たしいるわけですが、クワークの事件とはあまりにも
関連がなさ過ぎて少し興がさめる部分もあります。
無理に関連付ける必要もないのですが、オブライエン夫妻のエピソードは別に回して、もう少しアルファ宇宙域の
政治状況を俯瞰するような「縦糸」を用意することで連携をみせてくれたほうがよかったような気がしました。
「7回の人生を生きた」ダックスだが、その中に音楽的才能を持つものはいなかった。
しかし、ホームパーティの席上、見事に楽器を演奏し、そのメロディは一度も聞いたことがないものであることに気付いた
ダックスは戸惑い恐れる…
トリル族の特異性というのはこれまでのエピソードでも幾度か語られていますが、
共生生物と合体したトリル族は数多く候補者から選ばれ、いろいろな意味で優秀というのが定説でした。
しかし、今回明かされた真実によって、必ずしも全てのトリルが有能で誠実というわけではなく、
種族の体制を保つため、上層部により秘密を抱えているということがわかりました。
何度もいっているようですが、TOSやTNGは「御伽噺」という面がありましたが、DS9に至ってそのオブラートが
はがされています。敵だけならともかく、本来味方であるはずの連邦のメンバーについてすら、
必ずしも清廉潔白でないということを示すというのが正直というか、開き直ったというか。
今回のことで下手するとトリルの社会にどういう影響が出たかは明示されていない…一応シスコが黙っていたのでしょうが、
エリート主義が崩壊して変わったのか、それともトリルは体制を維持しえたのか、そのあたりを匂わす描写くらいはほしかった
ところです。
キラはベイジョーの公文書館からの問い合わせで自分がかつてカーデシアの捕虜となっていたといわれる。
身に覚えのないキラは事実を調べようとするが、次に目覚めたときにはカーデシアに居て、
実は自分がカーデシア人であったと知らされる…
目が覚めたら実は自分は自分でなかった…少しヘンな言い方ですが、突如自分の身に起こった事件に戸惑うキラのエピソードです。
第3シーズンにきていきなり「キラがカーデシア人」といわれても「それはないだろう」という感が強くて、
真相が読みづらいというのはドラマとしてはいいのでしょうが、キラを偽装させた理由があまりにも
「いちいち手間のかかることを…」という感じがしてなりませんでした。
カーデシアも一枚岩ではなく、いろいろな動きがある、ということを示すには十分なエピソードですが、
さすがに「無理矢理すぎる」と部分が強すぎました。
最後の最後でカーデシア評議員とキラの間のやりとりは暖かい感じがしてよかったのですが…。
それにしてもガラックは相変わらず謎めいていて面白いキャラクターです。
クワークが買い取ったガンマ宇宙域の難破船には赤ん坊が残されていた。
種族も生態も不明なその赤ん坊は急激に成長し、正体が判明する。彼はジェムハダーだった…
クワークの商売が関わるとそれに関する騒動が起こりますがこれも例外ではありません。
ただし、主役はクワークの天敵オドー。凶暴で凶悪と思われているジェムハダーですが、その生態は不明で、
「実験」するために連邦は確保しようとしますが、オドーは自分の境遇と重ね合わせて彼を救おうとします。
結果としては「無駄な努力」だったわけですが、第1・第2シーズンともどちらかといえば
他人を拒絶していたオドーが同病相哀れむというわけではないですが、似た境遇の存在を救おうとする、
という情況が長いシリーズには可能な、キャラクターの成長あるいは変化の描写のエピソードです。
最後が妙にハッピーエンドになるわけでもなく、悲劇になるわけでもなく、淡々と完結するところが
少し物足りない気がしますが、下手な盛り上げよりは「無力感」を表すには適切だったのかもしれません。
カーデシア時代のファイルを整理していたシスコ親子・オブライエンは削除不可能なファイルを発見する。
それにアクセスしようとしたとき、突如警告が発せられた。それはカーデシア時代の暴徒鎮圧に用いるシステムだったのだ…
DS9は名前はともかく、カーデシアの作ったステーションで、現在はベイジョー・連邦の管理下にあるとはいえ、
そこには未知の部分が多い、ということでそのことはこれに先立つエピソードでもしばしば語られています。
実際、内部にある機構が発動して事件が起こる「BABEL」のようなエピソードもありました。
今回は事故で発動した暴徒鎮圧プログラムで、それはカーデシア人デュカットにしか解除不能であり、
対応しようとすればするほど事態は悪化していくという緊迫感がありました。
挙句に余裕綽々で登場したデュカットがさらに上位の者によるプログラムのため、
DS9クルーと同じ目にあうあたりがひねりが効いていて面白かったです。
結局は努力して問題を解決する、というエピソードなわけですが、ガラックとデュカットの言い合いが一番面白かったような。
ディファイアントによるガンマ宇宙域探索を行っていたシスコ一行は、ある星系で突如出現した惑星に出会う。
その惑星メリディアンは2つの次元に存在し、それらを行き来しているのだという。
メリディアン人の男性と恋に落ちたジャッジアはその惑星に残ろうとするが…
星をも砕き、時間をも自由にする数々のオーバーロード種族やダイソン球すら出ているスタートレックのシリーズですから、
さまよう惑星くらいあってもまあ普通といったところですが、次元を行き来することで、「こちら」側でしか「存在」できず、
「あちら」側では「意識のみ」となってしまうというのはどちらかといえば目新しいように思います。
ただ、その特異性はあまり描写されていなくて、半分幽霊のような存在に加わることにしたジャッジアが
単に恋にのめりこんでいるだけのように見えるので、もう少しセンス・オブ・ワンダーで愉しませてほしかったように思います。
並行してDS9ではキラをホロスィートのプログラムとするための情報収集するクワークがいたりしますが、
最後の最後で「クワークをとっちめる」ためのキラとオドーの介入結果はあれはあの客じゃなくても怒るだろうなあ、
と思いますが、一方で切ない恋の話で他方はあのようなオチだとバランスが少々良くないようにも思いました。
あえて、あのようなギャグオチにしたのだとは思いますが。
DS9を訪れた連邦からのゲスト、ライカー。
キラ少佐と親密となってディファイアントを見学していたライカーが突如キラを撃つ。
実は彼はライカーはライカーでもエンタープライズ副長のウィリアム・ライカーではなく、
転送事故によって生まれたもう一人のライカー、トーマス・ライカーであり、彼はマキのメンバーだった…という導入で始まります。
DS9はTOSやTNGからのスピンオフシリーズであり、同時代でもあることから同じ宇宙でエンタープライズのクルーたちが活躍してるのですが、
1エピソード限りとはいえ、TNGからのゲストがくると出だしからして盛り上がります。
仮にそれがTNGの1エピソードに出演しただけのキャラであれ。
最も演じているのはライカー副長と同じJ.フレイクスだし、吹替えも大塚明夫なわけでライカーはライカーなのですが、
ウィリアムとはちがう、コンプレックスを抱えたキャラクターでそれを生かしてカーデシアと連邦の間の緊張を高めつつ、
おもしろいエピソードに仕上がっていると思います。
連邦が内部にマキあるいはその賛同者という連中を抱え一枚岩ではないように、
カーデシアも軍部とオーダーの間に深い溝があり、それぞれのドラマがいい感じで盛り上がります。
ただ、ドラマ自体はいいのですが、細かいところでウィリアムとトーマスがいかに「同一人物」とはいえ、
区別する手段がないというのは対ドミニオンの最前線であるDS9においてはあまりにも無防備すぎるのでは?というところや、
これは日本語版の問題ですが、ライカー(の正体がばれる前)に「ライカー司令官」と呼んだりするので興がさめます。
W.ライカーの階級はこの時点では「中佐」であり、「司令官」と同じ「Commander」なわけですが、
TNGの情況(この頃は「叛乱」のあたりか?)をちょっと調べればわかりそうなものなので、あまりにもいい加減だなあ、と思いました。
ベイジョーの年に一度の「感謝祭」。誰も彼も楽しみにしているその行事にラクサナ・トロイがやってくる。
困惑するオドー。そんな時、ジェイク・バライル・キラ・ベシアそしてダックスらの面々が、
それぞれ突如あらぬ方向へ恋の焔を燃やし、DS9の面々は混乱に陥る…。
徐々に人間の感情を覚えつつあるのか、キラへの淡い想いに戸惑うオドーの姿が痛々しくも微笑ましいのですが、
そんな情況をもふっとばすほどのラブアフェアの嵐が大笑いです。
向きがあってればいいのですが、多くの場合、それぞれベクトルがずれていて大騒動。
第2シーズンの終わりから、ドミニオン関係やそうでないものも含めてで重く沈みがちな話が多かったので、
たまにはこのようなバカバカしい展開のエピソードもいい気分転換になります。
どうでもいいんですが、騒動の原因となったラクサナの能力なんですが、ベタゾイドのテレパシーはフェレンギには
通用しないはずなのに、今回の騒動では思いっきりクワークに影響を与えていたのは何故なのか気になりました。
ガンマ宇宙域の情況に関する会議のため地球に赴くDS9司令部一行。
地上に転送されるはずだったシスコ・ダックス・ベシアは思いも寄らない所に降り立った。
そこは2024年のサンフランシスコであり、人類の転換点となる暴動の起こった年と場所であった…
ということで、スタートレックシリーズではおなじみのタイムスリップネタです。
艦隊規約というだけでなく、歴史を守るためにも不干渉を貫こうとする面々ですが、
隔離地域に放り込まれ、事故の結果暴動の首謀者となってしまったシスコとベシア。
2話続きのエピソードのため、じっくり作ってあるのか、PART Iは完全に導入部といった感じになっています。
いわば起承転結のうち起承だけなのでいまいちもりあがっていませんが、評価はPART IIまでみてから下すべきでしょう。
ただ、連邦の艦隊士官であるシスコらはともかく、副司令官のキラ、保安主任のオドーまでDS9を離れて大丈夫なんでしょうか。
話の都合もあるでしょうが、さすがに両方任地を離れるのはまずすぎるように感じました。
少なくともキラとオドーのどちらかはクワークのようにモニタの通信画面だけのほうがリアリティがあったような気がしました。
暴動の首謀者の一人で人質を守りきって後の歴史に名を残した男の代わりを務めることになったシスコ。
人質と共に歴史の流れを守ろうとするが歴史ではシスコ演じる男はSWATの突入時に死ぬことになっていた。
一方、地球軌道上のディファイアントでは地球及びアルファ宇宙域における歴史の改変を感知し、
歴史を修正すべく活動を開始した…という後編。
いきなり歴史が変わってしまってディファイアントのみが取り残されるというのは多少違和感がありますが、
前例のないことでもないし、多少はご都合主義は許容すべきなのでまあいいんですが、
全体的に詰め込みすぎでドタバタしていたような感じをうけました。
ただ、タイムスリップと歴史改変という非常にスタートレック的なネタを悪くはない形で消化していて、
さらにDS9的な政治風刺というか社会問題提起というか、要するに独自の色を出していたということは評価できると思います。
それだけに最後があっさりしすぎていて、シスコとベシアの「どうしてああなるまで…」といった語り合いだけでなく、
もう少し2話続きのエピソードに相応しい演出が欲しかったところです。
あと、どうでもいいといえばどうでもいいのですが、このエピソードの日本語版では
妙に登場人物の喋り方が横柄というか、特にオブライエンはいつもはキラに対して多少は丁寧語を使っているのに、
このエピソードに関してはヘンにタメ口で違和感がありました。訳者がちがったのでしょうか?
秘密裏に行われていたベイジョーとカーデシアの和平交渉。
その中心的役割を担っていたヴェデック・バライルがDS9へ向かう途中、事故で負傷した。
ベシアらの尽力で一命は取り留めたものの、交渉の席に立つことはできなかった…。
久しぶりにベイジョーの内政ネタのエピソードなわけですが、ネタバレしまくっている邦題がちょっと難あり、といったところでしょうか。
ベイジョーとカーデシアの和平交渉という大事を宗教的指導者が行うというのもどうかと思いますが、
その最上位のカイであるウィンが部下…それも自分が追い落としたバライルなしでは交渉も何もできない、
いわば「ただの無能者」として描かれ、自分の功名心のために彼を死に追いやるのも以前ほどの腹黒さが感じられず、
ただおろおろして保身を図るだけに見えるのは少々興ざめです。
ある意味リアルですが、ベイジョーも腐ってるというかこれであっさり和平が結ばれたような描写があるのがお手軽すぎるように感じました。
並行して描かれるジェイクとノーグの友情はいいのですが、ノーグが急に保守的なフェレンギになってしまい、
妙に「ただのバカ」にみえるようになったのも違和感がありました。一体なんだったでしょう。
任務を完了し、DS9への帰途についていたキラとオドーはマキの船を見つけて追跡に入る。
着陸した星系の衛星でマキのメンバーを追うキラとオドーであったが、キラが謎のクリスタルに取り込まれ窮地に陥った。
彼女を救おうとするオドーだが…というエピソードでして、危機的状況に陥ったキラとオドーの関係がクローズアップされる、
とみせかけて実は…という感じになっております。
キラは"LIFE SUPPORT"の回でバライルと死に別れたばかりなのにいきなりオドーとの関係が大きく描かれるというのは、
少し首をかしげるところがあるのですが、もう少しシリーズ構成はなんとかならなかったのでしょうか。
それはおいといて、キラとの会話の中で自分の心の奥の思いを叫んでしまい、それにキラが応えたことで実はそのキラが
自分の同種族の可変種であり、自分を固形種から切り離そうとするの策謀であると知った上で、
最後の最後でDS9に戻ったときにキラには曖昧な言葉で誤魔化して自分の心は明かさないオドーが切なくて、
いい感じの出来のエピソードだったと思います。
並行してノーグが宇宙士官への道を歩もうとする姿が描かれておりますが、これまた"LIFE SUPPORT"で、
あまりに保守的なフェレンギな姿が描かれた直後だったので唐突感ありまくりでした。
それにフェレンギであることより艦隊士官を目指すのはいいのですが、DS9になって以降の艦隊及び連邦のあり方が
必ずしも「理想」の存在ではなく、どうも「隣の芝生は青」くてそれに憧れているだけのような気がしなくもないです。
ただフェレンギの多様性と少年の成長ものの発端としてはまあ悪くないのかもしれません。
ガンマ宇宙域を探査するための連邦とカーデシアの共同作業が行われることとなり、
DS9に2人のカーデシア人がやってきた。これに先立ち、ベイジョーの予言書の中の一つの予言を元に
作業を中止するように進言しに来たヴェデックがおり、シスコは困惑する。
果たして予言の通りとも思える事態が発生し…
ベイジョーの文化にはワームホールの中にいる生命体、いわゆる「予言者」たちに対する信仰が大きな影響があるのは
1stシーズン、というよりDS9の発端からして言及あるいは描写がなされていますが、今回はそれに関するエピソードです。
予言というものが非常に抽象的に書かれており、それをどのように判断するかはその人次第というのは現代でも同じことですが、
ベイジョー人であるキラはともかく、「選ばれしもの」といわれているとはいえ、艦隊士官それも司令官であるシスコまでが
それに振り回される姿に少々違和感を感じました。
本筋のエピソードよりもカーデシア人科学者との文化摩擦の果てに間違って惚れられてしまう、
というショートコメディが少し笑えました。
DS9にグランドネーガス・ゼクがやってきた。新しい金儲けに関することかと考えるクワークとロムであったが、
ゼクは弱者への奉仕や公正な取引など、フェレンギの常識からは考えられない行動をとる。
挙句に新しい「金儲けの秘訣」を記して、それを読んだクワークはさらに困惑するが…
フェレンギの最高指導者、ネーガスが突如、人におごったり、適正価格で商売したり、奉仕活動をしたりして、
「普通のフェレンギ」であるクワークが困惑するという話なわけですが、ネーガスに振り回されるクワーク兄弟という姿は
なかなか面白かったと思います。ただ、全体に間延びしているというかテンポがいまいちで、
クライマックスである「予言者たち」とクワークの会話がもうひとつもりあがらないのが難ありです。
あの「予言者」たちはDS9の1話で散々シスコを困らせて自分たちも混乱していたというのに、
自分たちに気に入らないからという理由でゼクを変えてみたり、クワークを変えようとしたりと
どうも重みがなくて、全体に緊迫感がなくなっています。
せっかくのオーバーロード種族を相手に渡り合うクワーク、という図式であったのですから、
もうすこし脚本が練れていたらものすごい傑作になっていたのでは、という気がしました。
作業中の事故である種の放射線を浴びたオブライエン。
彼はその影響で突然タイムスリップして未来の自分の姿をみるようになってしまった。
一方、DS9にはロミュランの使節団がやってきて、ドミニオンの情報を得ようとしていた…
オブライエンが身に着けたタイムスリップ体質に伴うトラブルと、DS9を訪れたロミュランとクリンゴンそれぞれの
思惑に関するドラマが結構うまくかみ合っていて面白かったです。
ただし、タイムスリップ(原語では"timeshift"なんですね)体質による未来への移動が少し偶然に頼りすぎていて、
それがドラマの中での盛り上げる演出に一役買っているのは分かるのですが、もう少し練りこんでおけば
もっと面白くなったのではないかと思いました。
あと、難点を挙げるとすればネタバレしている邦題ですか。
オブライエンの「入れ替わり」と「時間理論は苦手なんだよ!」の台詞は非常に面白かったです。
レシア人に形状記憶ジェルを要求されたベシアはそれを拒否する。
ベシアが医務室に戻るとそのレシア人がジェルを探しているところで、止めようとしたベシアは逆に攻撃される。
次に目覚めた時、ステーションの様子は一変していた…
ネタバレそのものな邦題がついたエピソードがしばしば見られるDS9ですが、
今回の邦題はなかなかひねってるというか微妙にずれてていい感じに混乱させてくれます。
それはそれとして、突如変わったステーション内を彷徨うベシアがメインとなるエピソードですが、
ベシアの俳優さんが徐々に老化していくベシアの姿をうまいこと演じているなあ、という印象をうけました。
事実上の一人舞台のようなものですが、場面ごとに変わっていく姿と動作を演じてみせるあたりが役者さんの
腕の見せ所で、Siddig El Fadil氏は十分それに応えているように思います。
苦労の末に復活し、アバンタイトルと同じようにガラックと食事していたベシアにガラックが
「Dr.は私をまだ信用していない…見所がありますよ」というところが謎めいたガラックらしくて、面白いオチを作っています。
それはそれとして、アバンタイトルでベシアが30歳になることに戸惑うあたりで大爆笑してしまいました。
「30歳」という年齢は洋の東西、時代を問わずに人類にとっては大問題なのですね。
シスコは司令部に現れたオブライエンに銃を向けられる。彼と共に転送された先はかつてキラとベシアが訪れた並行世界。
1年前、支配からの脱却を目指した「テラン」のリーダーとなった並行世界のシスコは船を爆破されて死んでいた。
シスコは敵の秘密兵器の開発を阻止するためにつれてこられたのだが、その開発者はシスコの妻、ジェニファーだった…
第2シーズンの「"CROSSOVER"─二人のキラ」の続編ともいえるエピソードです。
並行する世界同士が互いに影響を与えるのはともかく、与え過ぎるのもいかがなものかと思いました。
ただ、話としてはかつて亡くした妻と同じ存在を救うため活躍するのは結構面白くて、
さらに並行世界の存在としては初登場のロムやベシアが「こちら側」の彼らとは違い、
片や熱血漢のよう、片やシニカルというキャラクターの味付けはよかったと思います。
しかし、並行世界のシスコ夫妻の関係がああいったものなら、あの世界にはジェイクはいないんでしょうか。
ガラックの店が突然爆発し、彼は負傷した。狙われる覚えはない、というガラックに対してシスコ、オドーはそれを疑い捜査を
開始する。容疑者と目された殺し屋を追跡しようとした途端、彼が乗った船が爆発する。
そこにロミュランの影を感じたオドーはさらに調査の手を伸ばすが…
ガラック殺人未遂に始まり、オブシディアン・オーダーのかつてのエージェントたちの不自然な死、
謎が謎を呼ぶ先でオドーとガラックのみたも、そしてガラックの選択は、というところで「次回に続く」となっておりますが、
不穏ながらも沈静を保っている(ようにみえる)ガンマ宇宙域のドミニオンに対して、ロミュランとカーデシアがついに行動を
起こすという話です。それとは別に謎めいたガラックの秘密が明かされていくようで、そちらも興味深い。
しかし久しぶりの「艦隊」という感じでSFドラマであるからにはたまには宇宙船それも複数というのがいいですね。
それにしてもガラックを演じるAndrew Robinson氏というのはあのメイクでありながら目の動きや動作などで
ガラックをうまうこと演じており、結構感動。
オビシディアン・オーダーとタル・シアーの連合艦隊がDS9付近に現れた。
ワームホールを通り、ドミニオンの創設者への攻撃を行うために。
一方、オドーの身を案じるシスコらはディファイアントでガンマ宇宙域へと向かおうとするが…
DS9近傍で遮蔽解除して次々と現れるロミュランとカーデシアの連合艦隊が圧巻。
ドラマの内容もアルファ宇宙域とガンマ宇宙域を巻き込む行動をとるカーデシア・ロミュランとそれを傍観しようとする連邦、
そのためにオドーを見捨てなければならなくなるがあえて命令を無視して出撃するシスコ、
そして明かされる秘密…と盛り上がる要素が満載で前後編であることが十分に堪能できるエピソードでした。
「故郷へと帰りたい」という思いをそれぞれ胸に抱くオドーとガラックの個人としての場面も十分に面白く、
台詞も非常に気の効いたものばかりでして、最後のガラックとオドーの会話もいい締めとなっており、
大変良いエピソードでした。
シスコはベイジョーに新たに開設された図書館で800年前のベイジョーの宇宙船の設計図をみて、それを再現しようと考える。
その船は太陽からのエネルギーを受けて進む一種の「帆船」であり、昔のベイジョー人はそれでカーデシアまで辿りついたという。
シスコはそれを証明しようとジェイクと共に船に乗った…
前のエピソードは打って変わって「ちょっといい話」的なエピソードでした。
シスコ親子の親子としての、そして「男同士」の会話もハートウォーミングでいい感じでした。
長く続くTVシリーズだと子役が徐々に成長するものですが、それをうまく活用しているように思いました。
ベイジョー人が800年も前にカーデシアに到達していた、というのはベイジョー人にとっては壮挙、
カーデシア人にとっては「遅れをとった」というそれぞれの側面があり、
当初否定的だったデュカットが最後の最後でとった行動も気が利いていて、
妙にリアリティを追いかけているDS9の中では多少異色ともいえますが、良いエピソードだと思いました。
ただ、どうでもいいんですがシスコが突如髭面になっていて、ちょっとびっくり。
ライカーのようにシーズンの変わり目ならともかく途中でいきなり髭が生えるとはおどろきます。
クワークは突然フェレンギ会計監査局からの査察を受けた。その罪状は彼の母イシュカが女の身で商売をしたこと。
フェレンギにおいてはその罪は重く、ことによればクワークは破滅。クワークとロムは急遽フェレンギ本星に戻り、
事の真相を突き止めようとするが…
サイドエピソードとして、ジェイクの仲立ちによるシスコの「お見合い」があるものの、基本はクワークらフェレンギ人が主役です
商売の為なら親でも魂でも売りかねない、という印象のフェレンギですが、男尊女卑の強い伝統については非常に頑迷なのが笑えます。
フェレンギ社会の根底を揺るがす大事件であり、そういった方面を付いていけばそれだけでかなり面白い社会派エピソードに
なったことでしょうが、この話ではそうはならずに、クワークとロム、そしてその母の家族のエピソードになっています。
どこの世界にも「肝っ玉母さん」といった感じの人はいるようで、親子の相克がありつつも、家族の絆を大事にする、
という日本でもおなじみな感じのドラマとなっています。いずこの国(星)でも親子は親子なんですね。
クワーク兄弟の母もなかなか面白いキャラクターでしたが、このエピソードにおいては、いつもはおどおどしているだけの
ロムがいつになく格好いい、それでいて「いい人」という描かれ方がなかなかいい感じでした。
ベイジョーの首相が心臓発作で亡くなった。その替わりに指名されたのはカイ・ウィン。
ベイジョーの精神的指導者が政治的指導者をも兼ねることになるのだ。
これまでの経緯からそれを喜べないキラは当のカイ・ウィンからかつての仲間への説得工作を依頼される…
前及びその前のエピソードが肩の力を抜いて気楽に楽しめる「ちょっといい話」であったのですが、
このエピソードではフラストレーションが溜まる可能性の高いベイジョーの政治話です。
初登場の時はテロリストをも操り、自分の目的を達成しようとするほどのダークキャラだったのに、
登場回数が重なるに従って、権力が好きなだけのただの無能で不誠実というだけのイヤなキャラと成り下がってしまったカイ・ウィン。
キラが任務で赴いたかつての仲間との仲裁をしようとしたら、自分に反するものは全て悪、とでも言わんばかりに
軍隊さしむけたり、それがだめなら連邦の介入を要求したりと、もう無茶苦茶というか、
いくらなんでもこういうのを政治的指導者にしたらベイジョーの破滅だなー、と思っていたら、
まあオチはそこまで最悪の情況にはならなかったので一安心。
しかし、それだけに第2シーズンくらいまではあった、リアリティは消えてしまい、なんとも不完全燃焼な話となってしまいました。
使いようによってはウィンは相当使いでのあるキャラクターなのですが…
艦隊アカデミーへの入学のためシミュレーションで訓練を続けるノーグ。
一方、ダックスは親しい面々を呼び寄せ、トリルに伝わる「ジャンタラ」の儀式を執り行おうとしていた。
これはダックスの過去のホストたちを一時的に別の人間の体に移し、語り合う儀式だった…
ジャッジアを含め、8つの人生を過ごしたダックス。ジャッジアより前のホストたちが、DS9の面々に乗り移り、
ダックスと会話するという話です。クルゾンの話題はよく出てくるものの、実際過去のホストというのはほとんど出たことが
ないので非常に楽しみにしておりましたが、"EQUILIBRIUM"に出てきた問題のあるホストとオドーと合体することになった
クルゾン以外はほんのちょっと出るだけだったのが残念です。
そのクルゾンに関してはオドーと合体した状態が非常に楽しかったので、それはいいのですが、
それだけに残念さが一入。時間的制約はあるにしろ、もう少しなんとかしてほしかった。
サイドエピソードのノーグの話はよくある話ですが、いつもはおどおどしているロムが息子のためにクワークに
食って掛かるあたりが少し溜飲が下がるというかほっとするというか。
ありがちな親子描写ですが、こういうのは結構好きです。
大佐に昇進したシスコのためにパーティーが開かれる。
ジェイクやDS9スタッフに祝福される中、訪れていたクラジェンスキー大使にかつて連邦と戦争状態にあったツェンケチで
クーデターが発生し不穏な空気が流れていると聞かされたシスコはディファイアントで出動する。
しかしツェンケチに近づいた時、ディファイアントは制御不能に陥り、それが可変種の仕業と判明した…
第3シーズンの最終エピソードはシスコの昇進というハッピーな場面から始まり、
アルファ宇宙域の政治状況を揺るがしかねない情況へと続き、実はそれが可変種の罠だったとわかる、
という話です。迫る危機の中、狭い艦内で疑心暗鬼に陥る面々とそれをあざ笑うかのように徘徊する可変種。
トドメに「too late,we are everywhere」という台詞でディファイアントやDS9どころかアルファ宇宙域は大丈夫か?
という暗い雰囲気を漂わせて第3シーズンは完結しました。
話自体はホラーのような感じで結構面白かったのですが、シーズンラストがこれだと、この先は…という雰囲気漂わせるのが、
TOSでもTNGでもないDS9の味ということでしょう。しかし暗いラストだ…