Hand Book of India

ガネーシ神とサンスクリット語?のマントラ文字?をあしらったデザイン

【インド・祝儀袋コレクション

日本でも結婚式などの祝い事では、出席する人がコンビニとかで祝儀袋を買って

心つけとして現金を入れて、式の受け付けで記帳するときに渡しますよね。

いくら入れるかは、一応割り切れない数として「奇数」が吉とされているような・・・

僕はだいたい1万がいいとこ。いまだに5万とか10万とかを払う身分ではありません。

実はインドにも、このような祝儀袋があります。

ここで紹介する祝儀袋は、2000年11月に北インドのヒンドゥー教最高聖地バナーラスでみつけたものです。

売っていた店は、いわゆる町の文房具屋さん。

学校で使う教科書やテキスト類・ノート類を売る小さなお店の一角に

グリーティングカード類と一緒に陳列されていました。

なんと1ルピーコインが!!

いちばんの驚きは、

祝儀袋そのものに1ルピーコインが埋め込まれていたことです!!

バナーラスのお店で購入した大型サイズ(天地81ミリ×左右166ミリ)の祝儀袋には、1997年発行の真新しいコインが仕込まれていました。

いったい、何故???

1ルピーコインの謎『インドの吉祥数談義』

日本にも縁起の良い吉数がいろいろありますが、

インドでは、位に「1」を加えた数字・・11・21・31・101・1001・10001とかが吉祥数と考えられているようです。宝くじの当選金とか祭礼の際に寺院などに寄進される寄付金、祝いの席でも祝儀などにこの手の「吉祥数」にこだわるようです。バナーラスで購入した1ルピー付きの祝儀袋は、まさに手間入らずのグッドアイデア商品かもしれません。

以下「吉祥数」にちなんだ話題をメルマガ[I.E. PATTRA]への投稿メールから御紹介しましょう。

登場人物は、やましたやすこさん(インド数秘術のプロ)とIndo.to主宰の画家・矢萩多聞くん。

浅野
  あと、インドで縁起の良い数ってあるじゃないですか、
  祝い金とか宝くじとか
  みな、11・21・101・1001のように、
  1を加えている。

やました
   あー!!それ、知りませんでした!
  教えてほし〜〜♪
  どれもこれも+1なのですか?

浅野
  これの由来とか、御存知でしたら教えてください。

やました
  調べてみました。
  「101は大きな概数である100のすぐ次に位置し、特別な重要性を与えられている。
  101は下位の41と次の位の1001と同様に無限の数である。予言者ムハンマド
  に向けた祝寿のような宗教的文言は、101回反復され、インド〜パキスタンには101枚
  の着物と贈り物を満載した101枚の盆を花嫁に贈る風習があった。」

  無限の数=いいですねえ!
  10とか100とかってのは完成を意味する数なのです。
  しかし、それを一個越えてる=完成を超越した という意味に受け取れることから無
  限の数という概念が与えられたのかも。。。。
  特に、花嫁への贈り物が101の盆、というのは、「あなたを永遠に無限大に幸せに
  します」という気持ちの現われかも??? ∞というマークがまだないときの象徴な
   のかも!?

  以上、下記からの引用です。
  『数は何を語るのか?』 F.c.エントレス A.シンメル著 翔泳社
多聞
   縁起のいい数字=11・21・101・1001端数を加えるは、
  逆に10・20・100・1000というきりのいい数字は不吉だ
  ということからの、付けたしですよね。
  感覚的には病気の友だちに鉢植えを持っていくのが
  不吉だ…という日本の不吉感と同じようなものでは。
  花ではなく、鉢植えは根をはり、これから育っていく
  イメージをもっているので病気の人にはもっていかない。
  同じように、結婚式や誕生日など、これから発展していく
  べきものには、0という打ち切りの数字は使わない、
  ということですよね。
やました
  なるほど〜〜〜!
  きりのいい数字は不吉!
  ふーむふーむ。閉ざされた感じ=発展しない、そんなフィーリングを
  インドの人は感じるのかも。。。
浅野
  神道に「天の数え歌」というのがあるのですが、
  『ひとふたみいよいつむゆななやここのたりももちよろず』・・・
  この場合、10は「たり」と呼称されてます。
  10より上は一括して「ももちよろず=百千万ず」と4桁きりあがり方式を暗示してます。

多聞
   数字は色んなものと関係しているから、
  掘り出せば色んなエピソード沢山でてくるでしょうね。
   曜日とかも、すごい気にするインド人いるし。
  縁起のいい曜日は火曜日(マンガラ=幸運)、
  木曜日(グル)、金曜日(スックラ=ラクシュミ)とかですよね。
  縁起のいい数とはちょっと違うかもしれませんが、
  確か数字に神様を割り振る考え方もありますよね。
  単純なものとしてはヴィシュヌの化身。
  クリシュナは8番目の化身なので、8はクリシュナの数字だ
  という話を聞いたことがあります。
  (ヴィシュヌの化身全体数・順番は諸説あるので怪しいところですが)
  この手の数字=神様(orなんらかの要素)との 関連性は結構あるんじゃないかなぁ。
やました
  あーこれは、実は浅野さんとインドでお会いしたとき(2000年10月)、
  探しまわっていた本のテーマでもあるのですう。それによると…
  <数字のdeity・・・対応する神性>

  1 スーリヤ 
  2 シヴァ
  3 ヴィシュヌ
  4 ガネーシャ
  5 ラクシュミ
  6 スカンダ(カールティケヤ)
  7 ナラシンハ
  8 シャニ
  9 ハヌマーン

  <数字の惑星神>

  1 スーリヤ     日曜(太陽)
  2 チャンドラ    月曜(月)
  3 ブッダ      水曜(水星)
  4 ラーフ         (ドラゴンヘッド)
  5 ブラハスパティ   木曜(木星)
  6 シュクラ      金曜(金星)
  7 ケートゥ         (ドラゴンテール)
  8 シャニ(サトルヌス)土曜(土星)
  9 マングラ       火曜(火星)

  以上、インド占い業界での分類でございました。

多聞
  で、気になったんですが、カンナダやテルグでは、
  (日曜)アディ ワーラモ   アディ…はじまり
  (月曜)ソーマ ワーラモ   ソーマ…月
  (火曜)マンガラ ワーラモ  マンガラ…火星or幸運
  (水曜)ブッダ ワーラモ   ブッダ…水星or仏(とテルグ人談)
  (木曜)グル ワーラモ    グル…木星or師
  (金曜)スックラ ワーラモ  スックラ…金星orラクシュミ(とテルグ人談)
  (土曜)セニ ワーラモ    セニ…土星
  というように曜日を呼ぶんですが、山下さんのとちょっと数え方が違いますね。
やました
  おー、流派によってだいぶん違いが!!
  でもこういうのって、視点を変えてたくさんあったほうが楽しいよね!!
  で、以下のようにまとめてみました。
  
カンナダ                    ヒンディ
■曜日呼称         ■意味       ■惑星神名称   ■守護神
(日曜)アディ ワーラモ   はじまり      スーリヤ     スーリヤ
(月曜)ソーマ ワーラモ   月         チャンドラ    シヴァ
(火曜)マンガラ ワーラモ  火星or幸運     マングラ     ハヌマーン
(水曜)ブッダ ワーラモ   水星or仏      ブッダ      マハラクシュミ
(木曜)グル ワーラモ    木星or師      ブラハスパティ  ヴィシュヌ
(金曜)スックラ ワーラモ  金星orラクシュミ  シュクラ     スカンダ
(土曜)セニ ワーラモ    土星        シャニ     シャニ(サトルヌス)

なにか、たいへん貴重な情報がどどっと集まってきてしまって、うれしい悲鳴です。で、このへんから[I.E. PATTRA]第1号の【想い月】でふれた「インドの九九」の話題になり、めぐりめぐって以下のような展開になるのでした。

浅野
  ●インド版九九 実況生録音募集!!
   ヒンディー版、タミル版、テルグ版、ベンガリ版・・ということで
  バンガロールにいる多聞くーん…
  御近所の方に協力してもらえませんかね。できたら女性がいいけど。
  それぞれの言語の数詞を補完情報として加えれば、
  もう立派な、ひとつの面白いコンテンツになるでしょう。

多聞
  ヒンディー語は日本留学歴のある日本語ペラペラ
  マンダールさん(ボンベイ出身/バンガロール在住)。
  ベンガル語はバルンさんに。カンナダ語はうちの
  大家さんの孫(ちょうど中学生ぐらい)から音を採取できそうです。
  ただ、ほんとに今でも九九を22×22まで言えるのかは謎。

やました
  あー、頑張ってほしい。
  ちなみに私がほんの数回で打ちきらざるを得なくなったヒンディー講座の先生、
  ポピーさんは、数字の呼称を途中で忘れるというナイスな慌てっぷりを見せてくれました。
  「ふだんは英語でしか数字を言わないから〜〜」とごもっともな意見!
  
なんでも、19とか29とか39とかは、
  20より一つ少ない、30より一つ少ない、というような意味で呼ばれているとか。
浅野
  なるほど、英語で覚えているのかも・・・で、
  20より一つ少ない、30より一つ少ない、というような意味!!は重要だと思います。
多聞
  「ふだんは英語でしか数字を言わないから〜〜」とごもっともな意見!
  リーラさんは、それじゃカンナダ語がどんどん失われていく!
  と危惧されて、カンナダ語を(大人にも)大学で教えている
  ような人ですから、色々知っているかとおもいます。
  しかも、いま思い出したんだけど、リーラさんは知覚障害の子たちに、算数、理科、歴史を  教えていたりもするので、正しい九九の覚え方とか知っているかも。
  > > > なんでも、19とか29とか39とかは、
  > > > 20より一つ少ない、30より一つ少ない、
  僕も重要とみた。なんかヨーロッパでもそんな数え方をする国がありましたよね。
  誰かに聞いたんだけど、どの国かは忘れちゃった。
   僕は計算ほんと苦手なんだけど、ソロバンの動きって何故かそんなイメージがあります。
浅野
  ちなみに、
  タミル語の9は、「オンバドゥ」といって、
  たしか、10=「パットゥ」の「ひとつ前」、という意味だったような気がします。
  ドラヴィダ系の言語の特徴かもね。ヒンディー語もたしかそうだったかな?
多聞
  テルグ語では、
  10…(パディ)の前は、9…(トムミディ)、
  20…(エラバイ)の前は、19…(パントムミディ)
  だと思うんですが、言語的に「トムミディ」が
  どんな意味を持つのかは不明。山田さんに聞いてみようかな。

浅野
  9は、10より一つ少ない。九=苦 あるいは過去・・
  10は、「たり」=充足・満足 あるいは解脱・・
  10に1を加えると吉祥数・・・=楽 あるいは未来・・
   このへんの考え方から、ゼロが発見されたのかもしれませんね。
  サンスクリット語でゼロ=空位は「パーラヴリッティ」=「もとに戻ること」
  それに吉祥数1を加えて・・
  0と1からなる2進法と量子力学から生まれたコンピュータ・・・
  というような、プロットが導きだされていくんですね。僕のなかでは・・

以上、ふとしたことからいろいろな話題に発展していきました。

近く、0から増殖していく「インドの吉祥数リスト」みたいなページをアップしてみたいと想います。お楽しみに。 浅野哲哉 2002-07-25 記