インド食べ歩きの旅 BUDDH-GAYA

TARA HINDU HOTEL

 TARA HINDU HOTELは、表通りからちょっと奥まった菩提樹の大木の裏にある典型的な村の食堂。屋号に「HOTEL」と書かれているのだが、御覧のとおり宿泊施設ではない。

 家族経営で、両親が調理して2人の息子がウエイターとして働いていた。彼らの学校は朝6:00〜9:00、夜21:00〜23:00に授業があり、昼間は店を手伝っているとのこと。皆、働き者だ。息子たちとはなぜか、会話をした覚えがほとんどない。

 テーブルに居座っているのは、この地に着いたとたんに親しくなった子供たち。彼等は流暢な日本語を使いこなして、日本人の団体ツアー客を相手に商売をしているしたたかなガキンチョ。でも根は素直な人間だ。食堂の看板がヒンディー語で書かれていたので、彼等に翻訳してもらった。

 もしかしたら、現在はおみやげ屋の後を継いで大儲けして、大きなビルでも建てているかもしれない。

この地で友だちになったお土産屋の息子ゴータム・プラサドがこの店に案内してくれた。御主人のマヘーシ・パルサードさんは、はじめはオドオドしていたが、ゴータムが僕の趣旨を説明してくれたので、途端に協力的になった。軒先きに並べられた料理のフタを開けて「イエ・キャー・ヘイ?=これは何ですか?」と片言のヒンディー語で尋ねると、親切に説明してくれた。その場で上のようなイラストを描きつつ、ドシドシ記入してゆく。いよいよ、本格的な食物調査のはじまりだ。

 薄暗い店内には、長いテーブルと椅子が窮屈に並べられ、汗とホコリにまみれた男たちが肩をすり寄せるようにして黄色い汁のかかったボソボソの長粒ご飯に食らい付いていた。彼等はガヤーの町とブッダ・ガヤを往復する馬車使いで、昼食はいつもここで食べるという。その他の常連客は、定期バスやサイクル力車の運ちゃんやお土産屋の従業員などで、巡礼者やインド人観光客も訪れるそうだ。

 客に供される飲み水は、店の奥にある水かめに汲んできた生水。旅も長いことだし、早く身体を現地に慣らす必要があるので、ガブガブ飲んだ。