インドの『男性』スケッチ 特集「マニカム食堂」 2000-10

Mr. S.KR.Manickam(47) 1983 Pattamangalam

タミル語のサインは本人の自筆による

1984-6-20 心不全のため死去。

合掌...

パッタマンガラム村のメインストリート沿いにあるマニカム食堂の御主人です。村で唯一の食堂なので、僕はすっかり常連客となり、いろいろサービスしてくれました。

いつも上半身裸でルンギ(腰巻)をまとっただけの格好で店のレジに座っていました。村の世話役のひとりとして皆に尊敬され、風格があって頼りがいのあるやさしいオジサンでした。どことなくタレントのみのもんたに似ていて、似顔絵を描くのがとても難しかったです。何度もやり直しさせられました。

マニカムさんは「俳優」という顔ももっていました。お祭りの夜に催される「ドラマ」(村芝居)では、いつもシヴァ神の役を演じていました。これは、食堂に飾ってあった写真を模写したものです。

翌年の1984年、マニカムさんは心不全のため突然亡くなりました。享年47歳。若すぎる死でした。僕も男泣きに泣いてしまいました。あの勇姿を永遠に見られないなんて! 次の世は、有名な映画俳優に生まれ変わって、皆を楽しませてくれるかもしれませんね。

Mr. M.Nachiappan(21) 1983 Pattamangalam

Mr. M.Nachiappan(22) 1984 Pattamangalam
マニカムさんの長男、ナチアッパン君です。一応、跡取りとして食堂の手伝いを時々していましたが、いつもは妹や弟たちに任せっきりみたいでした。どうも、いまいち食堂経営には乗り気がしなかったようです。 翌年、マニカムさんが急死してから、彼は頭を剃髪して心を入れ替えたようで、見違えるように逞しく働いていました。これで天国にいるマニカムさんもひと安心でしょう。肩の所に書かれているのは「55%しか似ていない」という意味のサインです。お父さんと同じく、特徴を掴むのが難しい顔なんです。

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