父、母、夫、私の4人家族。
昼食は両親を交え4人での食事。 夕食は夫婦のみの食事である。
昼食は忙しい農作業の合間にサッと食べる、味には保守的な両親のことを思った料理。
夕食は夫婦でゆっくりと酒を呑みながら食べるので酒の肴でもある料理だ。
二つの台所を行き来し、二つの食事の傾向を行き来している。
 
 2005/10月
●色のついた料理の名前をクリックすると作り方のページに進みます    
 

 

 

 

11月の個展に向けて制作に励む日々である。今年は個展までに2回グループ展に参加した。作品を展示すると意識が変わる。そのせいか、今、春から夏に数ヶ月かけて描いてきた描きかけの作品が、ダメに見えてしまう。この場に及んで白く塗りつぶしては仕切り直しをしている。夫はそれを「成長」と言ってくれ、私は気をよくもするが、困惑もしている。どうなっちゃうのだろう。個展まであと一ヶ月。

 

10月1日      

NHKの連続ドラマ『ファイト』が終わった。主演の本仮屋ユイカちゃんの演技がうまく、見応えがあった。ただ心残りなのは、登場人物のほとんどが上州弁(物語の舞台は群馬県)を話さなかったことだ。地言葉には魅力があるというのに残念だ。

 

10月2日      

 
 
あれ、この光景はついこの間、見たばかりのような気がするが…、早いものであれからもう一年がたったのか。
稲刈りの季節である。
休日は、ふだん会社勤めしている人も田んぼへ出て稲刈りを手伝っている。稲作農家はたいへんだ。

里芋の煮もの

 

 

 

群馬へ来て5年目になる。越してきたばかりの頃は、荒々しい自然の広がる姿にマイッテいた。農作物、木、花、雑草…の姿に感心しつつも、それらの姿と生長の早さは私をたじろがせるばかりだった。
ところが、昨年末あたりから、それらを描きたい、描いてみよう、という気になってきた。そういう目で見ていると、ここは素材だらけだ。これらを描くのだなぁ、と思うとわくわくして、興奮してしまう。 季節の移り変わりと共にぐんぐん生長し、変化してゆくそれらのスピードに、私の筆は追いつかない。困ったものだ。
なんていうことを、数ヶ月前にも書いたけれども、その気持ちは今も変わらない。
季節は秋になった。秋ならではの描きたいものがまたまた出現している。楽しく嬉しいことだが、私の筆は追いつかない。困ったものだ。

 

10月5日      

毎朝、目覚めると少しの焦りがある。前夜をふり返り「もう晩酌をするのはやめよう」と心に誓う。昼間から夜にかけて制作をする。夕食時、よく働いた後に呑む酒のなんと旨いこと!(あれっ) この繰り返しの日々である。
寒い季節になってきた。油絵の具の乾きが遅くなる季節だ。早々とストーブをつけている。

●れんこんの梅煮

 

10月6日      

今日はとても気持ちの悪い、そしてそれがとてもいい、線と色が描けた。
もうちょっと、もうちょっと…といつまでも絵を描いていて、夕食の時間が遅れがちだ。日付の変わる頃に夕食と晩酌。そして、よせばいいのにDVDで映画『男はつらいよ』を見てしまうここ数日である。映画が始まるとスーッと体の疲れが溶けてゆく。まるでマッサージを受けているようだ。問題はその先だ。もっといいかげんに“ながら見”すればいいものを、気づけば食い入るように見ている。笑ったり泣いたりして、毎晩午前様。こまった、こまったー。
(←これは御前様)

 

10月7日      

昨日今日と、私の秋の任務である「しょうがの甘酢漬けづくり」を決行。
泥を洗い落としたしょうがの表面をふきんで軽くこするように拭き、汚れを落とす。そして、ミョウバンを溶かした水に一晩浸けておく。
今年は母の提案により、薄くスライスしてから漬けることにした。手間はかかったが、作業をしている間、しょうがの爽やかな香りに包まれているのが快感だった。
さーて、今夜の晩酌はどの『寅』とともに楽しもうか。

参考●しょうがの甘酢漬け

 

10月21日      

毎日毎日、制作の日々である。特別に書くことも見あたらないが、今日は母と畑へ出かけ、里芋を掘ってきた。

そして、こんなものを食べる季節になっている。

●かぶのとろ煮
里芋の煮もの

 

10月22日      

10月は雨や曇りの日が多い。洗濯物が乾かないことは、ちょっとしたストレスになる。そしてなによりもギャフンとしてしまうのは、陽の光が足りずに、絵を描いている部屋が暗くなってしまうことだ。
お父さんがまぐろの刺身を買ってきてくれた。今夜は刺身だ! とパッケージを開けた瞬間、イカのようなカニのような臭いが漂った。気のせいだろう、とサクを切り進めるうちに、臭いが気になってきた。試しに一切れ食べてみると、胃に染みた。痛んでいるのかもしれない。こんなときは、この食べ方で。

●つゆまぐろ

 

10月23日      

「よしよし」と思って描いていても、描いているうちにピンとこなくなる作品がある。「ここであきらめてはいけない」と、時間をかけて格闘してみるが、だめなのである。気がつくと小細工のようなことをしている。失敗だ。本当にいいものは、何も考えずに、ポロッと生まれるようだ。失敗作に携わったことも糧にはなっているのだろうが、ずいぶん回り道もしたなぁと、放置されて重ねられたいくつものキャンバスを見て思う。
今日は途中までうまくいっていたキャンバスをボロボロにした。もったいないようだが、スッキリした。

 

10月28日      

夫婦共々、仕事の締め切り間近。連日遅い時間まで作業している。あまりに疲れ果てた晩酌時に「これでも流しておいて、まったりと疲れを癒そう」と、我が家の家宝であるビデオ『ザッツ・河内音頭』を見た。
1990年、大阪・花と緑の博覧会メインホールでの催しの映像だ。唄と演奏がステージ上で行われ、広いアリーナでは大勢の浴衣姿の踊り子さんたちが巨大な輪を作って延々と踊っている。それを観衆が客席から見ている。なんとも奇妙で牧歌的。ちょっと笑ってしまう風景だ。(90年、まだ映っている人々の髪の毛の色が真っ黒なのだ)
かっこいい。唄はもちろんのこと、太鼓や三味線に交じるエレキギターのゆる〜い音もきもちよい。
見ているうちに体がほぐれ、活力が湧いてきた。しまいには、箸でちゃぶ台を叩いたり、踊りだす我々夫婦。気がつけば午前3時。あぁ、またやってしまった。それでも、体の疲れは完全にほぐれて、溶けて出ていったようだ。

●厚揚げのしょうがあんかけ

 

10月31日      

絵の具の乾きを早めるために、ストーブを焚いている。暑くなった部屋の中ではタンクトップ姿だ。値の上がっている灯油がみるみる減ってゆく。
晴れていれば、陽の当たる場所に駐車している自動車の中に乾かしたい作品を入れておくのもかなり効果的だ。

ご近所の農家から白菜をどさっともらうような、そんな季節になった。

白菜と豚肉の重ね焼き