2008/12月
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夕暮れの風景 左に見えるはS家の牛舎

 
 
12月1日   

画廊巡りの途中、御茶ノ水駅の改札に入ると、駅構内に香りが充満している。
鬢付け油だ。
その香りを深く吸い込みながら、どこかにお相撲さんがいるのか、とキョロキョロ見回すが、どこにも見当たらない。誰かが紛らわしくもこの香りの整髪料でもつけているのか‥と落胆しつつホームへ降りて歩いてゆくと、あぁ、見つけた。足袋をはいておられる。羽織を着ておられる。お関取さんだ。
目的地の浅草橋までなんとなくそばに佇み、その暖かい香りを堪能する。
ふと街で、こんな幸せな気持ちに出会うことがある、それも相撲の魅力だ。

●簡単ふろふき大根

 
 
12月4日   

友人から教えてもらった、Simplify Media(お互いの iTunes の中の曲を共有して聴くことができる)を試してみることにした。ついでに、自分の iTunes を整理する。しばらく聴いていなかった曲なども聴きながら、私の選曲はなんと素晴らしいのだろう、と悦に入る。自分の好きな曲だけをたくさん入れているのだから当たり前なことなのだけれども。

●わかめ湯豆腐

 
 
12月7日   

強い風が吹きまくることの多いこの地域では、風のない晴れた日には「今日は静かだねぇ」という挨拶になる。

静かな日の今日、畑に残った里芋を全部掘る。
前回掘った一ヶ月前より、ずっと大きく育っているぞ。
重くなった芋を掘り起こして、芋に生えたヒゲ根を取り除く作業を畑にて黙々と行う。
なにせ「静かな日」なので、芋掘りには好適なのだが、午後3時を過ぎると、道路を挟んで南西にある大きな木の陰が伸びてきて、ぐっと寒くなった。

里芋の煮もの

 
 
12月11日   

寒くなると、母が白菜を漬ける。大きな樽に塩のみで漬ける。
旨いのだ。
ちょろっと醤油を垂らし、ごはんと共に食すとさらに旨く、近頃は昼食にごはんを3杯も食べてしまう。
この旨味は、ある程度寒くならないと出てこない。寒さに感謝である。

●煮やっこ

 
 
12月12日   

5本指の絹の靴下、絹のレッグウォーマー、ユニクロのヒートテックタイツ、アンゴラの毛入り足首ウォーマー、と足元は万全に固めているものの、上半身は私にしては薄着で過ごしている。数年前と比べるとずいぶんと寒さに強くなったようだ。しめしめ。
と思っていたが、例年より暖かい12月なのだそうだ。

お歳暮の季節である。私の実家からS家へ届くのは毎年「鮭」である。吉祥寺はハーモニカ横町の魚屋のもので、鮭一尾分が扱いやすい切り身にされ、丁寧に一切れずつラップで包まれている。アラもいくつかに分けられ丁寧にラップされている。
今夜はその鮭のアラを使って、石狩鍋を作る。
骨や皮の周辺はトゥルトゥル、トロトロだ。いつまでもしゃぶっていられる。
いやぁ、んめぇ。

●石狩鍋

 
 
12月13日   

東京から友人が訪れる。
お土産に素晴らしいものを持ってきてくれた。
私の最も好きな浪曲師、初代・京山幸枝若『秘蔵浪曲特選集』。
CD 全11巻だ。
(くれたのではなく、貸してくれたのだけれども)

久しぶりに幸枝若を聴く。実に気持ちよい。空にどこまでも広く響き渡るような音色に「やっぱり幸枝若はいいもんだなぁ」と、うっとりとする。

 

ボックス 小冊子付き
 
 
 
    

友人はビデオも貸してくれた。晩酌時にありがたく鑑賞する。
動く初代・幸枝若を見るのは始めてだ。かっこいい、鮮やかだ。幸枝若は本人のみならず、彼の曲師さんも軽やかな素晴らしい音を奏でる。

今日もまた作ってしまった。
●石狩鍋

 
 
12月14日   

朝から暗く、冷たい雨が降っている。これが本来の12月の気温なのだろう。
と思っていると、昼過ぎに急に太陽が照る。日が差すとやはり嬉しい気持ちになるものだ。
榛名山を見ると、広範囲に雪が降り積もっている。こちらは雨だったので、驚いた。すぐそこの山に雪が降るくらいだもの、ぐっと冷え込んできた。

 
 
    


雪の積もる榛名山

 
 
12月25日   

年末ならではのしなければならないこと(おもに家事)があり、渋々‥というほどでもないが、する。一方、しなければならないことを「年末だから」という理由でしないまま先延ばしにしている。結局、だらだらと過ごしている時間が多いようだ。
ただの月末なのだが、年末はどうしてだか特別な気分になる。
本日より、S家のカーテンを一日一枚ずつ洗濯する。

●わかめ湯豆腐

 
 
12月27日   

私の仕事部屋のストーブは大忙しだ。白湯を頻繁に飲むためにヤカンで湯を沸かしたり、足元や布団の中を暖めるために湯たんぽを再加熱したり、土鍋でおでんを煮たり。
今日はご近所からもらった黒大豆で、黒豆の甘煮を作ることにした。
昨夜一晩、錆びた釘と重曹と共に水に浸し、今日はストーブに乗せてコトコトと煮る。わんさかと出てくるアクをすくってゆくのが楽しい。黒豆の甘煮は初の試みであったが、うまくいった。
夜には、お正月に備えての紅白なますを大量に作る。作業に入る前に包丁を研いだ。おかげで効率よく大根やにんじんを切ることができて気持ちがよい。いや、気持ちよく大根やにんじんを切ることができて効率がよい。

●石狩鍋

黒豆の甘煮の作り方はこちらを参考に。

 
 
12月28日   

味をしめて、黒豆の甘煮を再び煮る。

●煮やっこ

 
 
12月29日   

もちつきと大掃除。

●厚揚げのしょうがあんかけ

 
 
12月30日   

疲れが出て、一日寝込む。

 
 
12月31日   

大掃除の続きをしつつ、畑へ行き葱と白菜を収穫し、きんぴらごぼうを大量に作る。
夕暮れに、牛小屋で働いている両親に「よいお年を」と、かしこまった挨拶をし合い、笑い合う。

 
 
    

我が家ではテレビの「紅白歌合戦」をつけ、音を消し、“紅白ならばこんなのを聴きたい”という曲を流してみる。三橋三智也、小林旭、北原ミレイ、八代亜紀、都はるみ、沢田研二、など。
居間にある夫の自慢のオーディオであらためて聴いてみて、とくに素晴らしいと感じたのは、都はるみの『涙の連絡船』だ。この音(声)の響きの転がりよう、めくるめくこと! 何故だか初期のアルバート・アイラーを連想した。

  1965年
はるみちゃん17歳
 
 
    

●鴨鍋

年越しそばは、鴨鍋の残り汁を濃くしたものをつけ汁にして食べた。