1998年12月
所長からのメッセージ



■ 茹でガエル現象にならないように ■


 これから年度末にかけて、廃業や倒産に追い込まれるケースがますます増えてくると思われます。皆さんも周りの方から「もう商売を畳もうかと思うんだが・・・」という相談を受けられたこともあるかと思います。このような場合にご注意いただきたいのは「茹でガエル」にならないようにということです。カエルを茹でると最初のうちは「いい気持ちだな」とご機嫌ですが、もっと温度を高くしていって「アチチ」と思ったときにはもう外に飛び出る力が残っていなかったという現象をいいます。すなわち廃業や倒産をするにしても、体力のあるうちでないと倒産も出来ないということを、良く知っておいて頂きたいのです。和議でも破産申請でも裁判所の予納金や弁護士費用にかなりの金銭が必要です。ちなみに裁判所の予納金は右記の通りです。
 この他に弁護士費用として和議の場合には100万円以上、破産でも50万円以上かかります。たとえ倒産といっても夜逃げと正式な法的整理とはまったく違います。夜逃げでは再興は不可能です。将来に可能性を残すためにもきちんとした廃業をしたいものです。苦しい方が周りにいたら、早め早めの対応を、ぜひアドバイスしてあげてください。




■ 株式市場はどうなる? ■


 若干自信喪失気味です。これまで「NY市場は天井をつけた」と言い続けていたものですから、今回のNY市場の高値更新に戸惑っています。7500ドルまで落ちたNY市場は、多少戻りはあっても、高値更新はまったく予想していませんでした。私の予想していたスキームの根本が崩れてしまったような気がします。しかしまだ信念は捨てていません。NY市場はやはり高値をつけたのではないかという気がします。結果は来月には、遅くとも3月までには出るでしょう。
日本市場には別に強い味方がいます。たとえドルに向かっていた資金が日本市場に戻ってこないとしても、日本には膨大な金融資産があります。よく日本の個人金融資産1200兆円と言われますが、その内訳は以下の通りです。

預貯金   732兆円
信託     72兆円
有価証券   90兆円
投信     29兆円
保険    316兆円
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 計   1,239兆円

 この中の郵便局の貯金230兆円うち180兆円と言われている定額貯金。この180兆円のかなりの割合の金額が、この2,3年で満期を迎えます。前回の満期時には政府の策謀で株式市場にお金が回らず、再度定額貯金に回ってしまいましたが、今度はそうは行きません。しかも財政投融資やODAで大穴を空けていると噂される郵貯です。銀行に比べれば安心と思われていた郵貯ですが、その実体が明らかになれば一斉に逃避が始まります。そうした場合に資金が向かうのは、投資信託を含めた株式市場です。大量の定額貯金の満期の直前に投資信託の銀行の窓販が認められたのは大蔵省の陰謀でしょうか。大前研一氏は財政投融資で大穴を空けた郵貯からお金が逃げれば、そのために血税が投入され、結果的にGDPのマイナス成長を招き、円安と株安に至ると主張していますが、私は定額貯金から逃げたお金は株式市場に回ると思います。
 それはともかく日本の株式市場にお金が集まるストーリーが整って来たようにも思えます。10月のNTTドコモの上場をきっかけに、株式市場にお金が戻ってきたようです。日経平均が下がるとすれば8000円、上がるとすれば5万円でしょうか。半分になるか、3倍になるかでしたら3倍に賭けてみたいような気がします。




■ またもやインターネット ■


先月ケーブルテレビのインターネットサービスをお薦めしましたが、私も早速自宅でつないでみました。感想はコギャル風に言うと「マジに超快適」という感じです。僅か1,2秒でインターネットに接続され、速度の方もまずまずストレスなく使えます。何よりも時間を全く気にせず使えることと、混雑してつながらないということがありませんから、インターネットの2大ストレスから解消されたという感じです。事務所の方でも早速申し込もうとしましたが、残念ながら開設予定が来年の4月ということで、もうしばらくの辛抱です。LANでつながなくとも分配器で何台かが利用できるだけで大変便利になると思います。

現在インターネットサービスを行っているケーブルテレビ
東急ケーブルテレビジョン(渋谷・世田谷・目黒・大田・町田)
ケーブルテレビジョン東京(港)
ケーブルテレビ品川(品川)
東京ケーブルネットワーク(文京・荒川・千代田)
台東ケーブルテレビ(台東)
北ケーブルネットワーク(北)
シティテレビ中野(中野)
マイテレビ(立川・国立・昭島・東大和・武蔵村山)
日野ケーブルテレビ(日野)
武蔵野三鷹ケーブルテレビ(武蔵野・三鷹)
八王子テレメディア(八王子市)

来年からサービス開始予定のケーブルテレビ
小田急ケーブルテレビジョン((世田谷・狛江・町田)
豊島ケーブルネットワーク(豊島)
 ※料金体系は会社によってそれぞれ違いますので、詳細はお問い合わせ下さい


 情報収集と並んでインターネットの主要機能である電子メールについては、常時接続状態である大企業と必要な時だけ接続する我々とでは大きな差がついている感じです。大企業では専用回線を引いていますから、インターネットは常に接続状態です。したがってメールが来てもすぐに返信出来ますが、私たちはメールが来ているかどうか、よほどまめにチェックしない限りはなかなかメールに反応出来ません。丸1日外出していれば、メールを読むのは夜になってからということになります。よほどのモバイラーならば出先でも携帯電話やグレーのデジタル公衆電話を使ってメールのチェックをやるのでしょうが、そこまでは、という感じです。ですから常時接続環境とその都度接続環境ではメールの利用価値が全く異なって来るのです。
「インターネットで何をやればいいんだ?」とまだ言っている方は、11月の末に日経BP社から発売された「社会人のためのインターネット活用ガイド」が御参考になると思います。なにしろこの半年で日本のホームページは1000万ページから1800万ページにと、8割も増加したそうですから。  将来、販売形態が店舗販売からインターネット通販に変わるような商品もたくさんあるでしょう。情報収集のために図書館に行くようなことはもうすぐなくなるでしょう。音楽もインターネット経由でパソコンに取り入れられます。




■ まだ間に合う小規模企業共済 ■


  もう暮れです。税制大綱の発表も間近です。住宅ローン減税についてはいまだすったもんだしていますが、大筋は見えて来たようです。来年度の所得税、住民税の最高税率の引き下げは、ほぼ決まり、法人税の実効税率の引き下げも確定しています。これだけとっても、同じ経費を使うにも今年使う方が来年使うよりよほど割がいいことに気がつかれるでしょう。医療費についても今年中に支払った方が有利です。歯医者に急ぎましょう。そのせいか年末になって病院の混雑がひどくなったような気がします。
 毎年お話している「加入しない人の顔が見たい小規模企業共済」ですが、今ならまだ本年の加入手続きが間に合います。たとえ会社役員や個人事業主でなくとも不動産貸付を行っている方でも加入が可能です。お知り会いの方にもぜひお薦めください。限度額は年間84万円、所得税率と住民税率を考えれば、最低利回り20%です。




■ 続くデフレ現象 ■


 11月のイトーヨーカ堂の5%還元セールをきっかけに、消費が多少盛り上がってきたようです。デパートや商店街の割引制度も氾濫しています。今後消費者は定価で物を購入することに拒否反応を起こすようになるかも知れません。西友は11月の末に、衣料品は20%、他の商品は10〜15%の割引セールを行いました。東急百貨店も先月の末から今月の8日までほとんどの商品が2割引になるセールを行いました。東武百貨店も現在2割引セールを実施中です。特に1月に閉店する東急百貨店日本橋店は怒涛のようなバーゲンセールを行っています。11月末にも得意先向けの20〜50%の割引セールを実施するとともに、10万円以上購入者に1万円の商品券をプレゼントしました。
 私も百貨店の閉店というのは昭和30年代の「丸物」以来記憶にありません。「丸物」と言っても知らない方が多いと思いますが、池袋にあったデパートです。今の池袋パルコの場所にありましたが、昭和30年代の半ばに閉店しました。閉店セールは私の記憶にありません。東急日本橋店と言えば元の「白木屋」、女性下着の普及のきっかけになった例の大火事で有名です。開業以来336年、由緒ある百貨店として有名でした。白木屋の株の買い占めで名を馳せたホテルニュージャパンの横井英樹氏がこの時期に亡くなったのも何かの因縁でしょうか。
 この東急百貨店も来年1月から全館30〜50%の閉店バーゲンセールに突入します。こうやってみると物の値段とは何なのかと考えさせられます。よく皆さんにパソコンの購入のお薦めをしますが、これも値段はピンキリです。秋葉原の量販店は大体2割引、ビックカメラやヨドバシカメラはこれに10〜12%のポイントが付いて実質的な割引となります。これが神田や上野の裏通りの現金問屋になりますと、割引率はぐっと上がって35%近くなります。ただしもちろん商品にはさわれませんし、説明もしてくれません。店の保証制度もありません。それにしても僅か数百メートル離れただけで15%も値段が違うというのはどうかと思います。
 先日の夕刊でも紹介されましたが、パソコンの安売り情報だけを集めたホームページを作った青年がいます。安売り各店のホームページを見ながら作っているそうですが、人気機種の各店の価額が一目瞭然です。
 何しろ世の中、消費者がデフレ感覚になってきましたので、安くて当たり前というつもりで売らないと見向いてももらえなくなりますのでご注意下さい。






■ 年末年始休暇のお知らせ ■


下記期間は、年末年始休暇とさせていただきますので、あらかじめご了承下さい。

12月29日(火)〜1月4日(月)

本年も色々とありがとうございました。良いお年をお迎え下さい。





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