1999年1月
所長からのメッセージ

■ 99年を予想する ■
今年は、ノストラダムスの予言によれば、7月に空から恐怖の大王が降ってくるそうですから頭の上には気をつけましょう。また、年末にはキリスト生誕2000年行事が華やかに行われることでしょう。カトリック信者は今年のクリスマスからしばらくの間、禁酒禁煙になるそうです。周りの信者さんに注目してください。
新年はユーロの始まりとともに急激な円高で始まりました。常識的に考えれば中国、台湾等の外貨準備高の豊富な国はその何割かをドルからユーロにシフトするでしょうから、ユーロとドルの関係で行けばドル安になると思われます。とすれば、円とドルの関係でもドルが弱くなると考えるのが妥当でしょう。昨年後半から私はずっと円高を唱えてきましたが、本当の円高になったらこんなものではすまないでしょう。
最近為替というのは、それぞれの国の経済状態ぐらいで動くものではないような気がしてきました。これまで為替が変動すると経済の好不況のためだとか、貿易収支が増減しただとか説明されてきましたが、そうではなくもっと大きな世界のお金の流れによって為替は動いているようです。話が漠然としてしまいましたが、暮れのイラクに対する空爆による円安もほんの一瞬であったことを見ると円高傾向は強いと思います。1ドル110円を切ってくるとまた違った世界になるでしょう。
□ 株式市場 □
株式市場については何とも言えませんが、私自身は世界に通じる銘柄については強気で良いと考えています。私の情報源の3人の師匠はいずれも円高論者ですが、株式市場については1人は強気、2人は弱気です。もっとも店頭市場については、昨年のNTTドコモ公開以来活況が続いています。昨年の9月、10月に公開した企業は悲惨な状況で、殆どの企業が公募価格割れでしたが、11月半ば以後はフィーバー状態です。年始になっても店頭市場のフィーバー状態は止まりません。先週はストップ高が続出しています。もっとも店頭市場だけがフィーバーしている相場は本物ではありません。ただ、金融機関やゼネコンが立て続けに破綻してもおかしくない状況の中で、1部市場を買い上がっていくのには無理があるかも知れません。上場している大企業の中にはまだまだ巨額の含み損を抱えている会社が多数あると思われます。日債銀のように関連会社を利用して含み損を隠蔽しているような企業がいくらでもあるでしょう。日本最強の金融機関と言われた野村證券は、昨年米国において2000億円の損失を計上しましたが、まだ1兆円以上の含み損失があると噂されています。大会社ほど気をつけなくてはならない時代になって来ました。
投資の側面から見た上場企業と店頭公開企業
第1部 第2部市場 | 取引規模大 大量の投資が可能 含み損把握不能 |
店頭市場 | 取引規模小 僅かな金額で株価が上下、大金の投資には向かない
多角化を図っていないので、本業が下向いてくると苦しい
取引高の多い企業は最近公開した企業が多く、財務内容の信頼性が高い
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ただし、1999年4月以降は、連結財務諸表に含められる範囲が広がってくるので、海外も含めて関連会社に押しつけていた含み損が明らかになるでしょう。特に今年度の決算から、新連結財務諸表の提出が義務付けられる金融機関の経営者は真っ青でしょう。今年の6月を期待して下さい。もっとも、突然の導入に我々会計士業界の研修会も毎回一杯で、立ち見が出る状況です。
□お薦め本を2冊 □
「金融破綻」佐藤 章著 岩波書店 |
| 金融機関の不良債権がどのように発生したか、ゼネコンや金融機関がどのように追い込まれていったのか、詳細に追及したドキュメントです。一気に読めます。 |
「日本が闇の権力に支配される日は近い」中丸 薫著 文芸社 |
| 以前にご紹介した「”闇”の世界権力構造と人類の針路」に続く第2弾です。 前著より観念的な内容になりましたが、「エイズは人口抑制のために米国の化学細菌兵器研究所が開発してアフリカに投入した」との文章には仰天です。 |

■ 平成11年度税制大綱 ■
自民党は12月16日「平成11年度税制改正大綱」を発表しました。一時野党化した時と比較すると再び自民党税調の力が増してきたように感じます。内容については住宅ローン減税はじめいろいろ報道されていますが、主要なものは以下の通りです。
| 所得税及び住民税減税 |
| | ・最高税率の引き下げ |
| | ・定率減税 |
| | ・扶養控除の加算 |
| 法人税減税 |
| | ・税率の引き下げ その結果実効税率は46.36%→40.87%へ |
| 土地住宅税制 |
| 住宅税制 |
| | ・住宅ローン減税 |
| | ・住宅取得資金贈与の特例の拡充 1000万円→1500万円 |
| 土地税制 |
| | ・長期譲渡益課税の税率は総て所得税20%、住民税6%の合計26%へ |
| 投資促進税制(個人及び法人) |
| | 4/1から来年の3/31までの1年間に100万円未満のパソコン等の情報通信機器を取得した場合には取得価額の全額の損金算入可 |
| その他 |
| | ・小規模宅地についての相続税の軽減について事業用宅地については対象面積を拡充 200u→330u |
所得税減税については税率についての抜本的な見直しではなく、最高税率の引き下げと定率減税の組み合わせという妙な減税になってしまいましたが、法人税とともに確実に減税の道を歩み始めています。住民税まで合わせての最高税率が50%まで引き上げられたことは大変意義があると思います。これまで私もたびたび主張してきたように、年貢は5公5民が限度だと思います。これで一揆の起こる心配はなくなりました。
法人税については実効税率が諸外国並みの40%まで引き下げられましたが、これまで税率の議論ばかりで課税標準についてはあまり議論されてきませんでした。我が国の税制では、各種の引当金など、諸外国と比べると課税標準の計算において各種の優遇が行われてきました。これに触れられずに「税率が高い高い」とばかり言われて来たので、今回の減税で法人税に付いては諸外国よりも税負担が軽くなったと思われます。
また住宅ローン減税については、最後の最後で支払利息の所得控除が認められる制度が消えてしまいました。我が国の税制において画期的な制度であっただけに、見送られたことは残念です。
昨年一時遡上にあがったパソコン減税が期間限定でやっと実現しました。100万円未満ならば、一括損金算入です。残念なのは施行が4月1日なことです。逆に3月までは買い控えが起きて、せっかくのパソコンブームに水を差さないか心配です。
事業用小規模宅地の拡充については、要求されていることも知りませんでしたから、まさに「寝耳に水」の減税です。事業者にとっては朗報ですが、住居と併用している場合には、200uとの調整計算が面倒くさそうです。
多少前評判倒れのところもありますが、80点ぐらいの税制改正ではないでしょうか。それよりもこんな大判振る舞いをやってしまって財源が心配です。簡単に30兆円の赤字国債の発行と言っていますが返済の裏付けはありません。国民が目先の大判振る舞いに浮かれないようにしっかり見つめていく必要があります。

■ インターネットのすさまじさ ■
今年は特に音楽関係におけるインターネットの利用が特に進むと思われます。例えばこれまでならば、暮れの紅白歌合戦を海外に送ろうと思えば、どんなに早くとも1日、遠方ならば4,5日かかりました。それがたとえ私たちでも紅白歌合戦を見た直後にインターネットを用いて南米やアフリカにまで音楽と画像を送ることが出来ます。どれぐらいの時間がかかるかはわかりませんが、技術的には十分可能なことです。今年はインターネットを通して簡単にヒット曲を入手出来るようになると思います。
ぜひ2月号の「日経トレンディ」をご覧頂き、インターネットの便利さを実感して頂きたいと思います。4月からは、私の事務所でも専用回線でインターネットにつなぎ放しになる予定ですから、是非見学にお越し下さい。
今後は毎月、インターネットの便利な利用法を一つずつ連載していこうかと思います。
今月は「JR サイバーステーション」のページをご紹介しましょう。
JR サイバーステーション
○旅客案内情報
・空席案内(JR新幹線及び特急列車の空席案内)
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朝6時から夜10時半まで、新幹線や特急の空席状況が一目で分かります。登録すれば、予約も出来ます。旅行や出張前には、大変便利なホームページです。 |
・運転情報(新幹線の運転情報)
・指定券の購入・予約の方法
・運賃・特急料金早見表 ・きっぷの変更・払いもどしについて
等のメニューが利用できます。

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