1999年3月
所長からのメッセージ



■ パソコン減税 ■

 先月コンピュータ減税についてお話ししましたが、昨年の6月から中小企業者の取得する機械装 置、備品についての特例措置が講じられています。経済対策の一環として設けられた制度ですが、 これによれば取得価額230万円以上の機械装置及び事務処理の効率化等に資する一定の器具及び 備品で取得価額100万円以上のもの又はリース費用の総額が140万円以上のものについては、 取得価額の7%の税額控除が受けられます。「たかが7%」という人もいますが、税額の7%です。 人あるいは会社によっては税引き前で考えれば14%以上にもなります。
 昔からよく申し上げていますが、税額控除こそ唯一かつ本当の節税です。他の優遇税制や節税商 品は税の繰り延べにすぎません。是非とも利用をお考え下さい。また備品については種類ごとの合 計額が100万円以上になればよいので、たとえば20万円のコンピュータ5台でもOKです。極 端な話、パソコンの購入を99万円で止めるのと、100万円購入するのとでは手取りで7万円近 く違ってくるということです、しかもこの制度の期限が今年の5月31日まででしたが、平成11 年度の税制改正でこの期限が来年の5月末まで延長される予定です。 悩ましいのは情報通信機器の一括損金算入制度との比較です。というのは1点20万円以上の機 器でも4月1日以降は一括損金算入できるようになります。仮に20万円のパソコンを5台、合計 で100万円購入した場合、100万円を固定資産として処理し、7万円の税額控除を受けるか、 100万円を一括損金算入するか選択出来ます。理論的にはもちろん前者の方が得ですが、6年に 渡って減価償却の計算が必要ですし、短期的に見れば後者の方が税負担は少なくなります。会社の 中期的な経営状態を判断して選択して下さい。



■ マネーセンスを磨く絶好のチャンス ■

 為替も株も様々な意見が噴出し、誰の言葉を信じていいか判断できない状況です。しかしこんな 時こそ自分のしっかりとした考え方を身につけるのにいいチャンスだとも言えます。私も昨年来、 いろいろな予想を述べていますが、現在のところ必ずしも的中していません。前にも書きましたが  「予想」は逆に読めば「うそよ」ですから、当たらなくても仕方ありません。
現在のように様々な要素を判断して先行きを予想するに当たって、考え方一つで全く逆の方向の 予想になってしまうことはそうありません。自分で是非先行きの見通しを立ててみて下さい。これ から円高になるのか円安になるのか、それは何が原因でそうなるのか、また仮にもし円高になると すると、それによってどのような影響が出てくるのか。すべて物事には原因と結果があります。ま た先行きの見通しに「多数決」は通じません。それどころか他の人と同じことを考えていては大儲 けはあり得ません。こうしている今も、多くの人が「NY市場はいつ暴落するのか、天井を見極め てから売りをかけよう」「NY市場が暴落したら連れ安した日本株を買いに出よう」と考えています が、そのようなときにはなかなか暴落しません。多くの人が考えていることと逆に市場は動きます。 膨大な財力があれば相場でも博打でも必ず勝つことが出来ます。流れと逆方向に資金を増やしな がら投下していけばよいのです。たとえばNY株をどんどん空売りしていけば、必ずどこかで天井 をつけてさがります。空売りの金額を逓増させていけば必ず儲けることが出来ます。これが最大の 必勝法です。ただしこれにはどこまで相場が上がり続けても空売り出来るだけの財力が必要です。
 話を元に戻します。NYの天井はそれほど遠くない、日本株は水準としては上に行っても下に行っ てもおかしくない、為替も同様、日本の金利は史上最低、ヨーロッパでは新しい通貨「ユーロ」が 登場している。これらの要素に基づいて経済や相場の先行きをどう判断するのか、是非やってみて 下さい。今回ははずれても次にはもう少し当たってくると思います。そうやって経済的センスを磨 いていきましょう。




■ 定期預金の金利史上最低に ■

 日銀の短期金利低め誘導のあおりをくって、1年未満の定期預金の金利が何と0.12%と普通預金 並みになってきました。50万円を1年間預けて源泉税を引かれると手元に残るのは僅か480円、 雀の涙とでも言えばよいのでしょうか。ここには需給関係理論は存在しません。物の取引ならば、 買いたい人がたくさんいれば値段が上がります。逆に需給関係が変わらないのに値段を上げれば、 皆買わなくなります。そうすると困って値段を下げます。預金は違います。金利を下げても預金は 逃げ出しません。ほかに有利な商品がない、あるいはリスクが大きいと考えられているからです。 これはそもそも金融機関が単に私たちの預金を貸し出しに回しているわけではないという貸し出し の構造にその原因があります。もしそうならば高い金利をつけてでも預金を集めなければ貸出資金 が無くなってしまいますが、そんなことはありません。銀行の貸出資金あるいは金融市場で運用し ている資金のうち個人や法人の預金の割合はきわめて僅かなものです。もう銀行員の小口の定期預 金集めの光景は見られなくなるのかも知れません。銀行員の方も5年前には予想もできなかったぐ らい業務が激変しているのではないでしょうか。
 というわけで、本来ならば4〜5%金利がつくはずの700兆円近い日本の金融資産が、ただ同 然の金利しかつかなくなってしまいます。利回りには「72の法則」というものがあります。これ は今あるお金を2倍にするのに何年かかるかという法則です。72を利回りで割ると2倍になるの に必要な年数が出ます。仮に利回りが7.2%ならば2倍になるのに10年かかるということです。仮 に利回りが1%ならば2倍になるのに72年かかるということです。もし0.1%の利回りなら2倍に なるのに720年かかってしまいます。こんな金利なら金融機関に預けておく必要はなく、銀行に 置いておくことは全くの金庫代わりということになってしまいます。鍵のかかる頑丈なタンスがあ ればそれで用足ります。まさに「SHALL WE TANSU?」です。
 と言って、低金利時代にあせって高利回りの商品に手を出す必要はあまり感じません。一般の方 は低金利の時は短期金融商品でじっと我慢。金利が7〜8%を上回ってきた高金利の時に固定金利 商品、特に債券等に集中投資し、高利回りと値上がり益の一石二鳥を狙うのが良いのではないでしょ うか。確かに今回は全く予想外の長期間、低金利が続いていますが、ここまでくればじっと我慢だ と思います。国債の金利が7%を上回ってくるまでは債券に用はありません。過去に「ロクイチ国 債」と言われた利率6.1%の国債が、高金利になったときに暴落して大問題になったことを忘れては なりません。




■ 確定申告を終わって ■

 まだ平成10年分の確定申告が終了したわけではありませんが、峠は越しましたのでざっと感想 を申し上げます。
 全体として収入の伸び悩みが目立ちますが、特に大きな落ち込みは見られません。不動産賃貸業 に関して言えば、賃料も若干下がり気味ですが、それ以上に空室が増えて来たように感じます。ま た金利が多少下がりましたが、返済額が変わらず、必要経費に参入される利息が減少したために逆 に税金は増加の傾向があります。もっとも今年は建物の耐用年数が短縮されましたので、大きな建 物をお持ちの方は減価償却費が増加し、税金が安くなった人も多かったようです。
 圧倒的に多かったのはゴルフ会員権の損出しのための売却です。今年からゴルフ会員権の売却損 を他の所得と通算出来なくなるのではとの憶測もあり、売却を急がれた方が多かったようです。そ れと前後してゴルフ会員権相場が上昇してきたのは皮肉です。もっとも今回の会員権相場の上昇は 本物とは思えません。昨年来の融資額が13兆円を突破した、今問題になっている保証協会の特別 融資の資金がゴルフ会員権市場に回っているのではないかという、うがった見方もあるようです。
 また今年は本人38,000円、扶養家族1人につき19,000円という特別減税がありましたが、殆どの 方が給与の源泉徴収あるいは予定納税で減税されていたために、減税を意識された方は少なかった のではないでしょうか。
 ところで何年か前にサラリーマン減税が叫ばれて、給与所得者にも必要経費を認めよとの声に答 えて、特定支出控除という制度が設けられたのをご記憶でしょうか。現在もこの制度は生きていま す。特定支出として通勤費、研修費等の一定の支出が給与所得控除を越える場合に、給与所得控除 に代えてその支出額を控除出来るとの制度ですが、平成9年分のこの制度の利用者は何と全国で1 人でした。8年は3人でした。こんな制度があることを多くの方が忘れているようです。養蚕業者 に対する補助金のように、過去の遺物として細々と生き続ける制度になってしまうのでしょうか。



■ 便利なホームページ ■


インターネットタウンページ

 インターネット上で検索できる職業別電話帳。電話帳の本家NTTのページであり、情報源は 冊子のタウンページそのものです。ホームページ上で業種・店名・地域を入力し検索を開始すると、 該当する店名、住所、電話番号を一覧表示します。冊子のタウンページは扱うエリアが狭いのに比べ、 全国から検索できるこのページは電話番号調べの本命でしょう。


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