所長からのメッセージ ![]() ■ 上場株式の源泉分離課税はあと二年 ■株式市場がフィーバーしています。前から申し上げているように、店頭市場においては昨年の安 値から90%以上上昇しています。日経平均もこの2ヶ月で2000円以上上がりました。ドルの 価値が下落し、世界のお金が日本に向かってくれば、株式相場はこんなものでは済まないとは思い ますが、その辺の予想はさておき、今後の株式の需給関係を考える上で決して忘れてはいけない3 つの要素があります。 一つは税制、個人の所得税制です。平成11年の税制大綱には上場株式の源泉分離課税の期限が 平成13年3月31日までと明記されました。これ以後は、たとえ上場株式といえども譲渡益に対 して原則的な課税、すなわち所得税、住民税合わせて26%の課税が行われることになります。こ れでは個人投資家はたまったものではありません。分離課税で売却できるうちに売却しておこうと いう動きが強まるのは必至です。 また、もう一つの需給悪化要因は国際会計基準の導入です。今後は持ち合い株式についても時価 評価が必要になります。正式には2001年4月以降に開始する事業年度からですが、来年の4月 以降、一部適用になります。単なる売買目的で所有する有価証券以外にも時価評価が要求されるよ うになると、企業は持ち合い株式の売却に走ります。ただでさえ財務上の理由から持ち合いの解消 の動きが強くなってきているこの時期に、まさに追い打ちとなります。この3月期には長銀や日債 銀以外にも、保有している金融機関の株式について、企業は多大な評価損の計上を余儀なくされま した。株価上昇の見込みのない企業ばかりでなく、関係の深い銀行株についても今後は売り圧力が 強まると思われます。現在、上場企業が所有している持ち合い株式は54兆円と言われています。 これがどんどん市場に出てくれば、せっかく持ち直してきた株式市場に大きく水を差すことになり ます。 また、これとは別に、需給関係によい影響を与える動きが出てくることも予想されます。それは 企業の自社株買いです。最近、経営に積極的な企業は自社の株価に大変強い関心を持っています。 山一証券や長銀が株価に殺されたように株価が高いことが優良企業の証となっています。また、もっ と企業拡大を積極的に考えてM&Aなどを行っていく場合には、株価はもっと重要な意味を持ちま す。最近は単なる他社の株式を買い取ることによるM&Aよりも、株式の交換制度を利用して、買 収する相手先の株主に対して自社の株式を交付する形のM&Aがはやってきています。その場合に は自社の株価が高くなくては話になりません。先日報道されたソニー本体の子会社の吸収合併も高 株価を意図したものと考えられます。これらの会社では積極的に自社株買いを進めることによって 高株価を維持ないしは目指そうとしています。従って成長株の株価はますます高く、低成長株の株 価はますます安くなるのではないかと思われます。 ![]() ■ 地域振興券は課税 ■このタイトルを見て「何のこっちゃ」と思われた方も多いと思います。地域振興券はまさに自民 党と公明党との妥協の産物ですが、この意図するところは「減税では消費に回らない恐れがある、 地域振興券ならばダイレクトに消費に結びつく」ということでした。つまり減税替わりに交付され たのが地域振興券だったのです。これが何と所得税でも住民税でも「課税対象」になるのです。 どこにもそんな説明はなされていません。私もある人に教えられて自治省のホームページを見て 仰天しました。「地域振興券は課税されるのですか?」という質問に対して「地域振興券の所得税・ 個人住民税上の取扱いは一時所得とされ、これには50万円の特別控除額があります。今回の事業 は、可処分所得の比較的低い層を対象としており、これにより課税されることはほとんどないもの と考えられます。」と回答されています。 「これでは何のための地域振興券か?」という大きな不満の声が挙がってきそうですが、今更文 句を言ってもしょうがありません。今後こんな馬鹿なことが起きないようにするためにはどうすれ ばよいか、じっくり考える必要がありそうです。私も早速知り合いの議員さんに聞いてみます。 確かに課税されるとはいっても一時所得ですから、現実に課税される方はそう多くはないでしょ う。ただし一時所得の代表ともいうべき生命保険の満期金には注意が必要です。もし満期金に対し て課税が発生する場合には、地域振興券分が上乗せされることになります。もちろん満期金全額に 課税されるわけではなく、支払った保険料との差額に対して課税されるので、たとえ生命保険契約 が満期を迎えたからといっても全員が課税されるわけではありません。 結論として地域振興券で課税される人は少数でしょうが、全然納得出来ません。 ![]() ■ 携帯電話やPHSで金融情報を無料提供 ■これだけ株式市場が活況になると「そろそろ株式投資を再開するか」と考えている方も多いと思 います。株を買えば株価が気になります。とは言っても、しょっちゅう証券会社に電話するわけに も行きません。そういう人にお薦めな情報です。もちろん今話題のドコモの「iモード」を使えば 株価を知ることが出来ますが、わざわざそのような機器を購入しなくとも、携帯電話やPHSで簡 単に株価を知ることが出来ます。現在のところ株価指標についてはリアルタイムですが、個々の株 価については20分遅れのデータです。 利用する場合には、携帯電話かPHSで「#8882」か 「#9899」をプッシュするだけでサービスを利用することが出来ます。通話料以外一切料金は かかりません。最近このサービスがよく知られるようになったためか、かかりにくいような気もし ますが一度お試し下さい。 ![]() ■ 平成11年公示地価発表 ■国土庁が3月25日、今年1月1日時点での公示地価を発表しました。一言で言ってしまえば「下 げ止まったかに見えた地価はまた下落傾向が強まった」というところでしょうか。 今回の発表で特徴的なことは、地理的な特色がはっきり出たことです。 商業地の下落率上位十地点のうち、何と8位までを北海道、それも札幌、それも 中央区が占めています。札幌の中央区と言えば、大通り公園を中心とした 大ビジネス、歓楽ゾーンです。北海道のまさに中心地です。ここが軒並み 30%以上の下落率となりました。やはり拓銀の破綻、東海興業の会社 更生法の申請、地場の大企業である地崎工業の経営不振が大きく影響して いると思われます。「北海道の復活には何十年もかかる」と言う人もいま すが、まさに現実のものになろうとしています。 また北海道ばかりでなく3大都市圏でも商業地を中心に地価の下落が続いています。3大都市圏 の下落率は6.4%と依然下げ止まり感はありません。 地価については大きく見方が分かれています。すでに底入れしたとの見方と、まだしばらく下落 が続くとの見方、双方それぞれ説得力があります。基本的には利回り等の収益還元的な見方から物 件価格の判断をすればよいのでしょうが、個人個人で判断するしかないでしょう。長期的には日本 経済の衰退、少子化とともに地価も下落の一途をたどるのか、海外に流出していた円資産が国内に 環流してくる動きと共に土地にも資金が投入されるのか、また膨大な国の負債に対する負担を軽減 するためにインフレ政策が採られるのか、はたまたデノミでも実施されれば土地価格の高騰は必至 です。 ![]() ■ 2000年問題 ■とうとう日銀までもが、2000年問題に備えて年末に向けての資金供給の準備を始めました。 様々なシステムの破綻によって、金融面ばかりでなく、社会すべてのインフラにトラブルがおきる 危険性があります。電気、ガス、水まで止まってしまうかも知れません。米国では米連邦緊急事態 管理庁や米赤十字社も3日から1週間分の食料や水、生活必需品の備蓄を勧めています。2000 年問題に備えて、「Y2Kサバイバリスト」と言われる人たちの言動が目立つようになって来たよう です。食料の備蓄も話題になって来ました。年末にはかなりの物不足状態が発生するのではないで しょうか。オイルショック時代のようなトイレットペーパー騒ぎが再燃するかも知れません。もっ ともトイレットペーパー騒ぎと違って、今回の買いだめは単なるブームではなく、本当に必要なこ とです。最低限でも1,2週間の食料の備蓄は必要でしょう。また年末にかけて飛行機を使う旅行 は、世界的に自粛の傾向が強まるので、旅行業界、航空業界は大打撃を受けるでしょう。年末年始 の旅行には、旅行保険がきかないという話も出ています。 飲料水では「volvic」が最も賞味期限が長くて3年間です。国内メーカーの飲料水は1年間が多 いようですが、店頭に並んだ時点で既に数ヶ月が経過していますので、これでは少々心配です。 2000年問題で最も重要な点は、これまでの世界中のどんな大災害も総て局地的な災害であっ たのに、2000年問題は全世界的な問題であるということです。もし深刻な事態になった場合に は他地域や他国からの援助は期待できません。自助努力しかありません。自分の生活は自分で守っ ていくしかないのです。もちろん生活に重大な影響を与える事態は全く起きないかもしれません。 しかし何も起きる可能性が無いとも誰にも言えないのが現実です。 もしかしたらもう準備を始めるのには遅いのかも知れません。米国の保存食料品メーカーや小型 のディーゼル発電機メーカーは半年以上のバックオーダーを抱えているようです。しかし2000 年問題に対応した一時的な需要増大は、2000年にはそれらの商品に対する需要後退だけでなく、 全般的な不況に結びつく可能性も否定出来ません。 ![]() ■ 今月のおすすめホームページ ■乗り換え案内(時刻表に連動しており、到着時刻を指定すると最短ルートをはじめ、いくつもの ルートを検索してくれる) 他にも、首都圏約250の主要駅の最新時刻表や終電案内等が参照できます。また、山の手線内1 40駅の駅前スポットの情報も充実していて、駅名や店名、ジャンルから検索することが出来ます。 一度使ったらやめられません。 ![]() ![]() ![]() ![]() |