1999年11月
所長からのメッセージ



■ インターネットビジネスのこつ「通販業者は成功しない」 ■


 インターネット通販で実績を上げている会社は、総てオーダーメイド感覚を打ち出している会社です。インターネットだからこそコストをかけずに個別対応が可能になります。従ってこれまでの通販業者がただ参入しても、成功しません。
 よく企業が「うちの会社も早くホームページを作成して、サイト上で買い物が出来るようにしなければ」と焦っている話を聞きます。しかし、こうして作成されたHP(ホームページ)は誰にも見向きもされません。インターネットならではのサービスが提供されないHPは意味が無いのです。それなのに「サイト上の販売実績が全く挙がらない」と嘆いている人のいかに多いことか。
 インターネット上ではみなさんがイメージしている以上に人と人のつながりが強いのです。ただ店を開けておけば通りがかりの人が商品を買っていってくれるわけではありません。またサイト上の注文に関してはデータの蓄積、管理、分析が容易ですから、それぞれの顧客に対して新たなビジネス展開が可能になります。最もマスセールスに見えるインターネットビジネスこそ最もオーダーメイド感覚のビジネスなんですから不思議ですね。インターネット通販の世界では在庫が入りません。最近パソコンのダイレクト通販が盛んになったのもここに理由があります。ですからインターネット上では、店頭では滅多に見かけない珍しい商品も定番商品と全く同様に販売できます。この点を利用すれば素人でもこのマーケットへの参入が可能です。
 またこれはインターネットビジネスに限ったことではありませんが、脱サラ等で新たなビジネスを始める場合、これまで自分が関わってきたビジネスのスケールよりも小さなものをやっても成功しません。これまで何億円、何十億円のビジネスにしか関わってこなかった人がコンビニを開業してもうまくいきません。これはビジネスの利幅の世界でも同じです。不動産業界や宝石業界に身を置いた人が日銭商売に転じても決してうまくいきません。それでは逆の場合にはうまくいくかどうかはわかりませんが、スケールダウンした新たなビジネスへの展開は止めた方が賢明です。
 現在はインターネット市場や金融市場において大きなビジネスチャンスの時期ではありますが、中年以降の世代にとっては大変つらい時期であるかも知れません。いくらインターネット関連事業が有望であるとわかっていても、自分自身がどのようにそれに参画していくか、全く展望が開けないと思います。ハードやインフラに関連したビジネスはもちろんヤフーやライコスのようなポータルサイトを立ち上げようとすれば数百億円の資金を必要とするでしょう。もし可能性があるとすればショッピングモールやショッピングサイトの立ち上げですが、これとて何をどう集めてアピールするか闇の中です。かろうじて可能性があるとすれば、インターネット関連の有望企業に投資することでしょうか。これではあまりに寂しい気がしますが・・・。
 とりあえずインターネットにどっぷり浸かってみることでしょう。そしてあなたが何か不便さを感じた点がソリューションビジネスとしてビジネスに結びついていくのではないでしょうか。
 あまり語句の解説なしに思ったことを書き連ねてみました。理解できなかった部分が多かった方もいると思います。ただこれからはアパートの空室探しや中古車の売却までネット上で行われることが当たり前な時代に入るという感覚をお持ち頂ければよいと思います




■ 2000円札はデノミに通ず ■


 突然発行が決定した2000円札ですが、図柄が問題です。予定では守礼の門と源氏物語と紫式部となっていますが、過去の我が国のお札の図柄は人の顔が必ず使われていたそうです。(紫式部はそれ自体が単独の図柄ではありません)
 従って人の顔が図柄に使われていない今回の2000円札は暫定的、すなわち近い将来、デノミの実施を考えているのではないかと言われています。自由党も党をあげてデノミの実施を唱えていますし、登場当初は「冷えたピザ」と言われていましたが、予想外にパフォーマンス好きの小渕首相(今回の2000円札も自分の名前を歴史に残すためだとも噂されています)ならやるかも知れません。
 昭和40年代の福田首相のデノミ発言以来、何度となく世間を騒がせてきたデノミ問題ですが、1ドル100円に近づいた現在の為替水準は絶好の時期とも言えます。1ドル=1ユーロ=1円ついでに元も引き下げられて、1円=10元となれば本当にわかりやすいと思います。と勝手なことを考えてみました。





■ 10万人のリストラ ■


 ここ一ヶ月の間に発表された大企業の人員のリストラはすさまじいものがあります。興銀、富士、DKBの3行統合で発表された人員削減は6000人、東海、あさひの提携で4000人、住友、さくらの合併で9300人、日産自動車の2万1千人、三井海上、興亜火災、日本火災の提携で3000人、高島屋が2000人、NTTが2万人などざっと合計すると10万人規模のリストラになってしまいます。
 日本では遊休資産の売却と人減らしをやれば過去の負の遺産、負の経営に対して免責される風潮があります。その結果犠牲になるのがこれらの人々です。その結果、終身雇用を前提として、自分のキャリアという物を全く意識してこなかった中高年が娑婆(最近私の文章が下品になったと言われるのはこのような用語を使うからでしょうか)に放り出されることになります。残ったものは自分の会社に対する反発、嘆きです。また全社会的な需要の減退につながり、リストラした企業にとっても自分で自分の首を絞めることにもなりかねません。
学生もこの辺の大企業の節操のなさを見抜いているせいか、今年の就職戦線ではこれまでにない動きが見られたようです。「就社」を拒否して自分のやりたいことをやる。会社においていかに自分のキャリアアップを図ることが出来るか、こう考える学生が多くなってきたようです。
 もちろん国が口を出すことではありませんが、企業の最も重要な責任である「雇用の確保」がないがしろにされているような気がしてしょうがありません。





■ 新規公開ブームのフィーバーに注意 ■


 10月中旬に新聞の全面に第三者割り当ての案内が載りました。MTCIという会社が一株256万円で400株の第三者割当株の募集を証券会社抜きで独自に行ったものです。
この会社はやはりインターネット関連ですが、傘下にいくつもの関連企業を都内ばかりでなく、地方にも設立しています。そしてこれらのグループ会社を総て株式公開させるつもりなようで、今回がその第一歩と言うわけです。申し込みが殺到したとの噂もありますが、何となく心配です。この会社については引き受ける証券会社が無いとの噂も出ています。確かに零細投資家が現在超人気の新規公開株、しかもそのアーリーステージな時期に取得できる可能性は全くありません。ですから皆さんが飛びつきたくなる気持ちは分かりますが、インターネット関連株ならば何でも儲かるわけではありません。裏では壮絶な戦いが行われており、誰が覇者になるのか専門家のアナリストでも判断に迷うところです。
 また先月ご紹介したOBC(オービックビジネスコンサルタント)の公開で、新規公開ブームも一段落したようです。公開後僅か1週間で1000株7000万円が3500万円まで暴落したのですから、びびった方も多かったと思います。それ以降、極端に高値で寄り付く銘柄は無くなりました。
 また、これから年末にかけては話題性の高い情報、通信銘柄の公開はありませんので、新規公開ブームは一休みということになりそうです。もっとも、年末には話題の東京証券取引所の新市場、すなわちマザーズの第1号の公開が控えていますから、また盛り上がるシーンが見られるかも知れません。マザーズについては先月29日の説明会の様子が大きく新聞、テレビ等で取り上げられたのでご覧になった方も多いと思います。私も説明会に出席してテレビカメラから逃げ回っていましたが、参加者の熱気と言うよりはマスコミの熱気の方が強く感じました。東証の圧力が大きかったのでしょうか。
新市場は情報公開は詳細に行われますが、企業としての継続性、収益性は問題にされないので、とてつもないベンチャー企業まで公開する気になっています。赤字や欠損は当たり前、売上も殆ど無い企業まで公開対象に上ってきています。まさに投資家の責任で売買される市場です。ただ公開対象がインターネット関連等の先端企業に絞られていますので、投資家が当該企業の業務内容を理解出来るかと言えば、それは殆ど困難だと思います。このような状況の中で、たとえディスクロージャーを大幅に進めるとは言っても本当に個人投資家に参加を認めていいものかどうか疑問に感じます。来月になると株式市場はこの話題で持ちきりになると思いますが、念のためご注意申し上げておきます。
 ただし、これからの株式投資で、いくらリスクが大きいとは言え、マザーズやナスダックジャパンといったベンチャー市場に公開される企業に背を向けていては、大きな投資効果は絶対望めません。






■ 雨降って傘屋どっと混む ■


 amazone.comという会社名を聞かれた方も多いと思います。米国のNASDAQ市場においてYahooと並んでインターネット銘柄の代表として取り上げられている、世界最大のインターネット書店です。
 これは「アマゾンドットコム」と発音します。ドットと言うのは文字通り「.」です。comというのはcompanyの略、すなわち会社という意味ですが、このドットコムをもじった「どっと混む」にひっかけておもしろいサイトを立ち上げた業者が現れました。
 これは個人的な傘屋の店ですが「心斎橋みや竹★Japan Umbrella」といいます。このサイトのヘッドタイトルが「雨降って傘屋どっと混む」となっています。笑えましたか????
 私はこの話を聞き、実際のサイトを見て3分間笑い転げていました。調子に乗ってこのサイトで傘を実際に購入してしまいました。単にユーモアがあるばかりでなく、大変ユニークな傘も販売しています。世界の一品というような手作り調な傘から、超軽量傘まで扱っています。私が購入したのは僅か160グラムという超軽量にもかかわらず、開くと長傘なみに65センチもある傘です。このサイトにはもっと軽量の傘も紹介されていますので一度覗かれてみてはいかがでしょう。





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