■ ネットでなければ人でなし ■


 毎週月曜日には経済誌が3誌発売されます。
 最近の3誌のトップ記事は殆どインターネットのことかパソコンのことです。因みに先週号の目玉は週刊ダイヤモンドが「ネット株バブルの真実」東洋経済が「モバイル仕事術」エコノミストが「ネットビジネスモデル大爆発」といった具合です。多くのビジネスマンの関心がそちらに向かっているからに他なりません。
 このメッセージでも毎月のようにお話ししているネット株のニュースは今月も花盛りです。今週18日には「筆自慢」という毛筆ソフトで有名なメッツがマザーズに上場します。前期までは黒字ですが、今期は販売方法の転換のため赤字です。にも関わらず、公募株価は700万円に決まりそうです。50円額面に直せば7000円ということになります。1〜2年前までは、市況はともかく公募価格が7000円と言えばよほどの高成長企業というイメージでしたが、マザーズが出来てから、50円額面に直せば何千円から何万円という株価が珍しくなくなってきました。
 ここ2,3年の間に公開したネット企業は「これならばもう少し待ってマザーズに上場すればよかった」と切歯扼腕しているのではないでしょうか。店頭市場の本則銘柄と言えば、利益水準はマザース銘柄とは比べものにはならず、最低でも2,3億円ですし、組織もできていれば申請書類の量も何倍もあります。それだけの難関をくぐってきたのに、ここ半年であっという間の準備でひょこっと上場した連中に、自分たちの何倍もの株価がつく、すなわち会社に入る金額も何倍と言うことになれば頭に来るのも当然でしょう。

 最近のネット企業の若者達は「孫さんや重田さんにお金を出してもらって億万長者になるんだ」と公言してはばからないそうです。このガキを甘やかした責任は誰にあるのでしょう。確かに、毎週のように、下手をすると毎日のようにベンチャー企業、特にネット企業への投資ファンドの設立の記事が新聞を飾ります。いくら今がネット株バブルの時代だからと言っても、これから投資を始めるファンドのパフォーマンスが期待できるでしょうか?
 もちろん長いスパンで見れば、これからもとてつもない成長企業がどんどん出てくるでしょう。しかしこれらのファンドの多くは、設定されればすぐさま手当たり次第にネット株に投資してくることは火を見るより明らかです。
 ここ1,2年の間に上場してくるネット株の第三者割当は殆ど終了していますし、新設の売却益目的のベンチャーキャピタルやファンドには株は回ってきません。私も現在何社かの増資のお手伝いをしていますが、公開されれば必ず売却してくることが明らかな「××投資事業組合」と言ったベンチャーキャピタルには株をあげません。ここ半年で第三者割当市場は様変わりです。今は「出資してもらう」から「出資させてあげる」時代です(こんな尊大なことを言っていると後で何を言われるかわかりませんが、これが現実です)。ですから最近はこれらのベンチャーキャピタルは「ネット地上げ」(週刊ダイヤモンドより)をやっているそうです。

 もう一度不動産バブルとネットバブルの性格分析をやっておきましょう。

 共通点は双方とも実態以上に買い上がっていった結果、異常な価格形成が行われました。
 一番大きな相違点は不動産バブルは信用創造すなわち金融機関の融資を原資としてバブルが形成されました。それに対してネットバブルは現実の資金によってこれが形成されています。次に不動産バブルは日本全国くまなくこれが浸透しました。北海道の山奥はともかく、信州や伊豆の別荘地ばかりでなく、相続税対策のために釧路や大分のアパートの価格まで棒上げしました。
 これに対して、ネットバブルは株式市場のごく一部の銘柄にだけ起きた現象です。新日鐵も鹿島建設も安値に放っておかれたままです。これは大きな違いでしょう。すなわちネットバブルは株式市場全体の異常なフィーバーではないのです。
 また先ほどのバブルの原資の点ですが、ネットバブルの場合にはお金の回転が効いてきています。前にも申し上げた「利食い百人力」と言われる株式市場の格言のように、利食った資金の強さは誰にも止められません。「どうせもうけた金だ」と、いけいけどんどんです。

 次に、崩れたときのもろさはどうでしょう。不動産には一つとして同じものはありません。それに対して株は同じ銘柄ならどの株券も同じです(もちろん株券の番号は違いますが、それを気にする人はいないでしょう)。これをどのように考えましょう。一つとして同じものが無いのなら「何でもいいから買ってやれ」ということは不動産には無いように思えますが、不動産バブルの時は違いました。業者にとっては売り物ならば何でもよかったのです。それがある時一斉に売りに出ましたから、誰でも欲しいと言う物件以外は値が付かなかったのです。
 もう一つ不動産と株式の大きな違いを忘れていました。土地以外の不動産すなわち建物は時の経過とともに老朽化しますが、株式は古くなりません。(怒らないで下さい)もっとも不動産には利回りに支えられた下値があります。どんなに不動産が下落しても利回り20%になることはあり得ませんが、ネット株の場合には赤字企業も多く、利回り感覚はありませんので、下値は底なしです。

 もう少しまじめに検証しましょう。不動産バブルが銀行融資を原資としたことは先ほどお話ししましたが、ネットバブルの対象株式は殆ど信用銘柄ではありませんし、証券担保で株式投資をやるような玄人は極めて少数です。従って不動産価額が暴落したときには、値下がりした不動産と値下がり前の金額の借金が所有者に残りましたが、株の場合には値下がりした株が残るだけです。
 また株と不動産の値動きを比べた場合、不動産の価額は上か下かへの一方通行ですが、株の場合には短期間に大きな波動を描きます。たとえばソフトバンクは新年に一度10万円を超えた後、一時は7万円台に下落しましたが、再び盛り返して倍近くの20万円にまで来ています。昨年の秋には3万数千円でしたから、僅か4ヶ月で6倍になったわけです。高値から2/3になった後、3倍になることは不動産では考えられません。

 散漫な比較になってしまいましたが、結局株式の方が不動産に比べて処分しやすく、多少は減っても手元に現金が残るので、今回の不動産不況のように日本全体を冷え込ませる心配はありません。もし大けがをする人がいるとしたら、なけなしの郵便貯金を取り崩して投資信託に投じた人たちでしょう。

 こう言っている間に、マザーズ第4号の銘柄としてクレイフィッシュの上場が承認されました。上場日は3月10日、クレイフィッシュは同時にナスダックへの上場申請も発表したので、市場は騒然としています。社長の松島氏は何と26才、この会社も昨年9月決算は3億9千万円の大赤字で、大株主は重田氏の光通信です。
 まじめに仕事しているのがやんなっちゃう大人も多いことでしょうね。せめてガキンチョ相場に一口のせてもらって、一稼ぎしましょうか?
 最後は下品になってごめんなさい。

 もし相場に乗るだけでは満足できない方は東洋経済で出している「ベンチャークラブ」3月号「30日であなたもできるネットベンチャーの作り方」をお読み下さい。人を馬鹿にした企画ですが、参考になる部分も数多くありますので。




■ 二輪ハイヤーはどうでしょうか? ■


 最近あまりの忙しさに、書類や雑誌を読む暇もありません。私のデスクの上には、経済誌や業界誌が山積みです。ということで、ハイヤーを使おうかと考えてみました。ハイヤーならば、書類も本も開きっぱなしで一日中移動できます。仕事もはかどるでしょう。
 ただし、月100万円は高すぎますよね。

 もっとも、車が渋滞している時にはまったく役に立ちません。そこで分刻みで移動する人のために「二輪ハイヤー」を考えてみました。渋滞する車の脇をすいすい走れるし、ちょっと遠方でも首都高速を使えます。「なぜそんなに急ぐ必要があるのだ?」と思う方も多いと思いますが、同じ時間帯に違う場所で多くの会合が開かれるケースは案外多いものです。
 たとえば、渋谷から新宿といっても、会場がすべて駅の近くにあるとは限りません。山手線の内側といっても、不便な場所はたくさんあります。夕方のラッシュ時に、交通不便で有名な港区の西麻布から白金まで移動することを考えるとぞっとします。バイクで移動すればわずか10分でしょうが、バスと電車を利用した場合は小一時間かかるでしょう。車の場合、混んでいたらどれくらい時間がかかるか想像もつきません。

 ただし、二輪ハイヤーにも欠点があります。二輪の後席では本は読めません。欠点はそれだけかと思っていたら、事務所の職員からびっくりするような指摘を受けました。二輪の二人乗りでは、首都高速には乗れないそうです。これでは、都内の短距離の移動にしか使えませんね。
 二輪で素早く移動してゆっくり読むか、車でゆっくり移動しながら有効に時間を使うか、考えてしまいます。





■ 所員メールアドレスのご案内 ■


 先月のメッセージでもお知らせしましたように、事務所の職員のメールアドレスをお知らせいたします。
 まだ、毎日メールを見るという状況にはなっていませんが、皆さんから電話をかけていただいて、「資料をメールで送ったから」と言っていただければ、まめにメールをチェックするようになると思いますので、よろしくお願いいたします。

平田:hiratat@terra.dti.ne.jp(またはhirata@hirata-cpa.po-jp.com)
植田:ueda@hirata-cpa.po-jp.com
水島:mizushima@hirata-cpa.po-jp.com
並木:namiki@hirata-cpa.po-jp.com
申 :shin@hirata-cpa.po-jp.com
那須(平田秘書):nasu@hirata-cpa.po-jp.com






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