■ ゼロ金利解除? ■


 ゼロ金利解除が視野に入ってきました。短期金利はすでにこれを織り込み始めたとの観測が有力ですが、とりあえず金融資産のポートフォリオを組み替えるほどの動きにはなりそうもありません。但し過去の金利の動きを見ていると金利が上がるときは急激に、下がるときはなだらかにという傾向が見られますので、心の準備は必要でしょう。

 5年間も続いた超低金利政策が終わりを告げると言うことは、新聞で言われているような「デフレの心配が無い」のではなく、何度もお話ししているように「金融機関の不良債権処理が終わりに近づいている」ということです。また「金利を上げれば破綻するゼネコンが続々出てくる」という憶測も飛んでいますが、ハザマの1000億円の債権放棄要請に見られるように、大体のネゴシエーションが裏で終わっているような気がします。

 とりあえず借り入れの予定がある人は大至急実行して下さい。金融商品の預け換えの時期の来ている方は、短期商品ならばチャンス、MMF、間違っても国債等の長期固定金利商品には絶対手を出さないことです。これらの商品は金利が上昇すれば、価格のリスクにさらされます。なお、これまで「数年間取り崩さないのならば公社債投信が最も有利」と言われていましたが、来年の4月から毎年の実績配当になり、予想分配率が大きく低下すると思われますので、当面は見送りです。

 ここでは投資信託という選択肢もあると思いますが、もし投資するならば、ファンドが設定されてから数年が経過したものの方が、パフォーマンスも安定していてお薦めです。




■ 今年の証券株は暴騰? ■


 来年4月に迫ってきた有価証券売却益課税の変更がいよいよ現実のものとなってきました。ファーストリテイリングといってもピンと来ないかも知れませんが「ユニクロ」を知らない人はいないでしょう。そのユニクロの柳井社長一族が、持ち株のすべての単価の洗い替えを行いました。現実には大引け後に野村証券に市場外売買で約5000億円の持ち株を1.05%の売却益課税で売却し、翌日の取引開始前にその全額を買い戻しました。

 何度も申し上げているように、来年の4月1日から有価証券売却益課税がこれまでの源泉分離課税から申告分離課税に変わります。具体的には売却益に対する税率が1.05%から26%に変わります。額面あるいは時価より遥かに低い価額で株式を取得している方にとっては大問題です。そこで巨額の株式を所有しているオーナー経営者が持ち株をとりあえず1.05%の売却益課税で売却し、時価で買い直す動きが出てきています。こうすることによって、買い直した株式の取得価額は時価となりますから、今後の売却益は大きく圧縮されます。

 今後この動きは激増することが予想されます。たとえ売買手数料が自由化されているとはいえ、今回の売却額は5000億円、売り買いで1兆円です。証券会社の受け取る手数料は1億円どころではないでしょう。すべてのオーナー社長がこの行為に出たとき、証券会社の売買手数料は膨大な金額に上ると考えられます。史上最高利益も夢ではありません。

 もちろん、この利益は一過性のものであり、来年の4月以降はまったく影響ありません。この動きに市場が気がついた時、相場はどのように動くのでしょうか?




■ プロフィットマインド ■


 雨後の筍のように生まれるネットベンチャーですが、彼らにあふれているのは素晴らしい着想と技術力、欠けているのは財務知識、特に利益に対する感覚の欠如です。先日の日本経済新聞では、今、米国のシリコンバレーでは「BtoB」ならぬ「PtoP」という言葉が流行っているそうです。
これは「Path to profitability」(利益への道筋)の略で、これまで将来の利益をあてにして垂れ流し投資を続けてきたネット企業に対し、早急な実体利益の創出を求めたものです。米国ではアマゾン・ドット・コムに代表されるネット赤字企業に対する評価が急速に低下しています。これはネット企業のビジネス上の宿命的な構造であるとともに、経営者のバブル体質も一つの要因と思われます。目先の利益をあまりに軽視し、シェア拡大に走りすぎた結果、「どうにも止まらない」現象になっているような気がします。

 我が国においても、先行投資もあって、巨額の赤字を出し続けているマザーズ第1号のリキッドオーディオ社の影響で、ネットベンチャー経営者が「当面赤字でも公開できるのだ」と錯覚してしまったきらいがあります。しかし、何といっても重要なことは利益を計上することです。微々たる売り上げに対して、膨大な投資を続けても、必ずしも投資に見合う回収が行えるとは限りません。

 今後は、経営者にどれほど「プロフィットマインドがあるか」が大きな評価要素になると思われます。また、仮に大きな投資をしても、投資とリンクした収益計上の可能性があるかもポイントとなります。WEB上の広告収入だけをあてにする企業が、いたずらに広告宣伝を行っても、それに見合う効果が上がるとは限りません。今後は収益に直接に結びつく投資のみが歓迎される時代になるような気がします。

 また利益率が高いことも重要なポイントです。証券会社もいたずらに売り上げ拡大をねらうのではなく、いかに利幅を多く取れるかを重視してきています。証券会社から「まず、足下を固めて」と言われるシーンが多くなりました。
 以上最近のネット企業の評価についてお話ししました。投資の参考にして下さい。




■ 言葉は使いよう ■


 以前、私が所属していた団体では、セミナーをよく開催していましたがなかなか参加者が集まりませんでした。セミナーのサブキャッチコピーも工夫してみました。「滅多にないチャンス」であるとか「きっと役に立つ」とか色々試してみましたが、パッとしませんでした。しかし、ある時ちょっとしたコピーを使うようになってからは参加者がよく集まるようになりました。それは「聞かないと損する」というコピーでした。人間はもちろん「得したい」という気持ちは強いのでしょうが、それ以上に「損したくない」という気持ちの方が強いようです。

 先日地下鉄の赤坂駅でトイレに入ったら、壁に「いつもトイレをきれいに使っていただいてありがとうございます」と書いてありました。(スーパーの西友でもこう書いてあります)「トイレは皆のものです。きれいに使いましょう」と書いてあるのと比べて、何となくほのぼのとしたものを感じてしまいます。昔から私がよく行く日本橋の料理店の男子トイレに面白い張り紙がしてあります。

「Stand up closer please, Your … is not so long as you expect」

 他人を指導する言葉にも注意が必要です。以前にもお話ししましたが、コンサルタントには二つのタイプがあるといわれています。一つはセブンイレブン型、これは欠点を徹底的に指摘するコンサルティングです。もう一方は船井総研型、これは良い部分を徹底的にほめるコンサルティングです。前者が短所指摘型、後者が長所伸展型と言われるものです。若い人にも切れやすい人が増えてきました。「逆切れ」の事件も多くなりましたので、人の上に立つ人は、あまり短所を指摘しないようにご注意下さい。




■ 計算間違いを早く見つける法 ■


 最近コンピューターが発達したせいか、手で計算した場合に計算間違いがよく起きます。初めから計算し直すよりも、計算間違いを見つける方が手間がかかります。そこで私たち計算のプロが使う「計算間違い発見法」をお教えしましょう。まず「計算間違い」と言われるものの多くが「転記違い」「記帳違い」です。

 現金出納帳の記帳を考えてみましょう。もし記帳時に一桁少なく記帳した場合、現金残高に比べて出納帳残高が9の倍数だけ少なくなります。一桁大きく記帳した場合にはその逆です。また「計算違い」と言われるもののほとんどは実は数字の逆記、すなわち27を72と書いてしまう(読んでしまう)、54を45と書いてしまう等です。計算が合わない場合、まず誤差を出してみて、その誤差が72以下の9の倍数なら、原因は逆記です。例えば19を91と書いてしまった場合、誤差は72、これが逆記の最大の誤差です。また、先ほどの54を45と書いてしまった場合は誤差が9ということになります。

 なお数字の見間違いも多く見られますが、見間違い易い数字は2と7,4と9、5と8が最も多いと言われていますので、覚えておかれるとよいでしょう。






■□■ 夏期休業のお知らせ ■□■


 
 大変勝手ながら、当事務所は下記期間、夏期休業とさせていただきます。

8月12日(土)〜16日(水)

 皆様、どうぞよい夏をお過ごし下さい。






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