■ リストラで浮く消費税 ■


 11/3付けの朝日新聞で、「リストラで浮く消費税」という記事が掲載されました。内容はこうです。人件費を支払う場合に、正社員に支払う給与は消費税の課税対象とはなりませんが、派遣社員報酬は課税対象なので消費税の控除対象となるため、正社員を派遣社員に切り替えることにより節税となる。(図添付)これは本当に正しいでしょうか?



 まず、内税か外税の議論が必要だと思います。人件費の金額が30万円とした場合、正社員給与はこれが支払額となります。(もちろんここから所得税や社会保険料が控除されますが)次に、派遣社員に「30万円支払う」という場合は、派遣会社からの請求書では30万円に消費税5%すなわち1万5千円が記載されており、合計31万5千円支払うことになります。これでは、たとえ課税仕入れとして控除できたとしても何の得にもなりません。支払額が税込み30万円だとしたら、これは派遣労働者の方が30万円に含まれる消費税分だけ人件費が安いことに他なりません。

 そもそも、この減税はミクロの議論でマクロ的には成立しません。消費税はババ抜きのようなものですが、たとえ1社がこのような形で消費税の税額を減少させても、誰かが給与という形で労働者に人件費を支払わなければなりません。この場合にも派遣会社では、派遣社員の人件費は給与として支払うので、消費税の課税仕入れとはなりません。

 一見、正社員を派遣社員に替えることによって簡単に節税できるかのような記事でしたので、勘違いなさらないようにして下さい。




■ 残り1ヶ月半 ■


〜 ゴルフ会員権の損益通算規定 〜

 今年も残り1ヶ月半となりました。税金の面から年内に実行しておくべきことをチェックしておきましょう。「医療費は年内に支払っておきましょう」等の古典的なことはさておいて、今年特に注意すべき点は、やはりゴルフ会員権の売却でしょう。以前に雑誌記事をご紹介したように、ゴルフ会員権の損失の損益通算については、かなりきわどい線まで来ているようです。何度もお話ししているように、不要不急の資産であるゴルフ会員権の売却損が他の所得と通算できる現行の規定の方が税の精神からするとおかしいのです。狼少年のようにこの規定の廃止については年末が近づくと人の口に上っていましたが、今年は信じる人が多いせいか、会員権市場も暴落状態に近くなってきました。もし、新設のゴルフ会員権を以前に購入した方で、高額の預託金の返還を期待されている方がいたら、すぐに売却して他の所得と売却損を通算すべきです。もしその会員権を手放したくなかったら、再度購入すればよいのです。損益通算規定が残る可能性もあると思いますが、もし廃止されてしまったら目も当てられません。今一度所有されている会員権の購入価額と時価を比較されてみてはどうでしょう。

 ただし、政治的な判断が加えられたら、損益通算規定は廃止されずに存続する可能性があると思います。もし損益通算規定が廃止されたら、所有者は一斉に預託金の償還に走るでしょう。どこのゴルフ場でも預託金の償還に応じる余裕はありません。そうなると多くのゴルフ場が民事再生法を申請して倒産状態になるでしょう。そうなった場合には新たな金融機関の不良債権が顕在化してきます。そうなれば何年もかけて日本の金融機関の不良債権を少なく見せようとしてきた当局の思惑から大きくはずれてきてしまいます。従ってこのような政治判断が働いた場合には、損益通算規定は存続する可能性があると思います。

〜 株式譲渡益課税 〜

 すったもんだしている譲渡益課税ですが、最近の政府税調委員の発言を聞いていると源泉分離課税廃止論者が多いようです。体制の流れとしては申告分離課税の一本化は見送られ、新たに選択制が浮上してきているように見えますが、まだ予断を許しません。特にここ数日の加藤元幹事長の動きで突然混迷の度を深めてきた政局を見ると、何が起きても不思議ではありません。源泉分離課税存続派の多くは守旧派に属しますから、加藤政権にでもなり一挙に若返りが進んだ場合には、再び申告分離課税への一本化に大きく前進することになるかも知れません。これも年末の税制大綱に十分注意する必要があると思います。源泉分離課税の廃止が決まってから慌てて手持ちの株を売りだしてもかなり値下がりしている危険性があります、マスコミ報道に十分ご注意下さい。




■ 生保予定利率引き下げ ■


 相沢金融再生委員長がまたとてつもない発言を始めました。「生命保険の既契約の予定利率の変更が出来るよう検討したい」と言い出したのです。これに関しては「憲法違反である」と法制局の見解(これには異論もあるようです)が出ているにも関わらず、です。次々と破綻する生保の破綻理由が「過去の高い予定利率と現在の低金利による逆ざやのため」とされているので、短絡的に「それでは逆ざやが出ないようにすれば」と考えられたのでしょうが、これでは契約行為に対する国民の信頼を一挙に失ってしまいます。金融庁も当の生保業界も困惑しているようです。例えば国家が財政危機に陥ったとしても国民の同意無しに過去に発行した国債の利率を引き下げることなど出来るわけがありません。

 別の例を挙げましょう。皆さんが現在の低金利の中で固定金利の住宅ローンを借りたとしましょう。将来金利が上がってきたときに「銀行の経営が苦しくなってきたので住宅ローン金利を上げさせてもらいます」と言われたら認めますか?こんな馬鹿な話はありません。私が騒いでもどうにもならないとは思いますが、大蔵省のホームページに反対意見でも書いてみましょうか?




■ 最近の若者気質 ■


 人材募集を積極的に進めるベンチャー企業の経営者とお話をすることが多いせいか、募集の苦労話をよく聞きます。「新人類」とは随分古典的な言い方になってしまいますが、最近の若者の仕事に関する感覚は、ますます私たちの理解の範囲を超えてきました。最近の若い女性に「どんな職種を希望しますか?」と聞くと「一般事務」という答えが返ってきます。実は今春就職した私の姪もそう言っていました。それを聞いたときは「何を考えているんだ、まともに働く気は無いのか?」と思いましたが、最近の若い女性はこのように考える人が多いようです。

 また転職に対して全く抵抗が無いのも最近の若者の特徴です。いわゆる「バーチャル世代」「ゲーム世代」は就職とゲームを同じ物と考えているのかも知れません。テレビゲームやパソコン上で麻雀やトランプゲームをやった経験のある方ならお分かりと思いますが、最初に配られた札があまりにひどい場合には、ゲームを先まで進めず、いきなりリセットすなわちそのゲームを終了してしまい、次のゲームを始めるケースが多く見られます。相手のいない、まさに一人ゲームだからこそ出来る身勝手なゲーム方法です。最近の若者にとっては就職もゲームも同じなのかも知れません。気に入らなければすぐ「リセット」すればよいのです。そこには転職を重ねることの不利益など全く気にしない現代若者気質があります。彼らにとっては人生それ自体がRPG(ロールプレイングゲーム)なのかも知れません。年長者は若者に仕事に対する我慢強さを求めますが、我慢して一つの職場にしがみつく方が若者のカルチャーにマッチしないのではないでしょうか?また若者は損得を非常に短期的に考えます。「10年我慢すればこれぐらい偉くなれるし、収入もこんなに増える」というトークは若者には通用しません。「10年後の1千万円より今の100万円です」そこら辺を理解した上で採用と使いこなしを考えていく必要がありそうです。




■ 皆さんの反応 ■


 先月号のスタバ特集には色々ご意見を頂きました。「スタバも店によって味が違う」というご意見が2名、「頭がおかしいのでは?」というご意見もありました。

 また最近反響が大きいのがご紹介した「痩身エステ」です。私は4ヶ月でウエストが3センチ細くなり(それで何センチになった?というご質問にはノーコメントです)体重も2キロ減りました。(これについても数値はノーコメントです)そろそろ背広のサイズ直しの必要が出てきました。何といっても痩身エステの楽なところは自分では何にもしなくても良いことです。ダイエットは精神的なつらさを伴うし、ジムは体力的に消耗します。本当は皆さんにお勧めしたいところですが、あまりたくさんの人が押し掛けると私の予約が取れなくなってしまうかも知れませんので、「行った方がいいでしょう」と私が思う人だけに教えることにしましょう。と言ったら大顰蹙(これで「ひんしゅく」と読むようです)でしょうね。尤も人の脂肪にも堅い脂肪と柔らかい脂肪があって、堅い脂肪はまず柔らかくするのに時間がかかるようです。また施術自体はかなりハードなので、最初は筋肉痛に悩まされます。それでも行きたい方はご一報下さい。




■ おすすめホームページ ■


 ○e株net

     月刊エコノミストのウェブページで毎日の生の情報が見られます。
     権威者のコメントも多いので参考になります。

 ○Web六法

     Web上で公開されている法律条文へのリンク集。これはお勧めです。
     アクセスすれば六法全書の全文を見ることが出来ます。



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