

■ 21世紀を迎えるに当たって ■
いよいよ20世紀最後の月になりました。ネット株バブルは僅か1年で弾けました。不動産バブルの処理はまだまだ終わらないどころか、会計ビッグバンによる時価会計の導入により、不良債権問題は更に根深いものとなりつつあります。来世紀に向けて明るい展望のもてない我が国の経済と政治です。本当のリーダーのいない日本において、自分たちだけの生き残りを考えるのも虚しい気がします。多くの人々が50万、100万円の所得のために、多くの企業が1000万、2000万円の利益のために努力を重ねている陰で、何百兆円ものお金が不健全な世界に回ってしまった事実をどのように受け止めればよいのでしょうか?大切な預金の金利は雀の涙、一生懸命支払った税金が誰も使わない公共工事に回るか、野放図な不動産投資に対する貸付債権の救済に充てられるのを見るのも限度のような気がします。
都市部ばかりでなく利益誘導型の選挙運動が強かった長野県や栃木県でも民衆派の知事が生まれています。この国民の自浄の動きによって日本の政治が変えられるものか、ユダヤ資本にとって本当に都合の良い今の政治が今後も続くのか分かりませんが「何かしなければ」と考える方が確実に増えてきているようです。何か一つの方向性が示されれば日本は一気に変わる可能性があります。殆どの人が「このままではいけない」と感じているのですから。私もその一人です。
大変化を期待して来世紀を迎えることにしましょう。

■ 気をつけなければならないデータセキュリティ ■
先日新聞にパソコンのハードディスク内のデータセキュリティに関する記事が載りました。
皆さんはパソコンをどのように処分されているでしょうか?そのまま粗大ゴミで出すのは最悪です。中のデータは誰でも読み放題です。通常ではハードディスクをフォーマットすなわち初期化して捨てられることが一般的です。しかしこれでも大したガードにはなりません。専門の業者の手に掛かれば、いとも簡単にデータが復活できてしまいます。自衛隊では、ハードディスクは総て粉々に粉砕して捨てているそうです。もう少しおしゃれな捨て方として、他のどうでもいいデータを上書きする方法もあります。これからはパソコンの代替スピードもどんどん早まっていくでしょうから、データの消去方法に関して何らかのルールを決めておくことをお薦めします。
メールに関してもデータ流出防止に注意する必要があります。時々メールでダイレクトメールが届きますが、まれに送信先が総て表示されてしまっているメールが届きます。自分の他に誰にメールが送られているか皆にわかってしまうわけです。たいていしばらくするとお詫びのメールが届きますが、一回送られたメールは取り消せません。先日も東京証券取引所がこの大失敗を犯しました。しかもあろうことに「暴力団等への対策について−あなたの会社を反社会的勢力から守るために」というセミナーの参加者リストを全員に流してしまいました。リスク管理の為のセミナーの参加者名簿を垂れ流すという大失態です。ネットに関するセキュリティは「やり過ぎ」ということはありません。お気をつけ下さい。

■ 税制改正案 ■
〜パソコン減税廃止〜
そろそろ来年の税制改正案がまとまってきました。20日頃には税制大綱として発表されます。最も驚かされたのはパソコン減税の廃止です。現行税制では100万円未満のパソコンについては一括償却が認められており、結果として一括経費処理と同様な効果が得られました。これが認められなくなるとOA機器の購入意欲が一気に衰えると考えられますが、徴税サイドの要求に屈したようです。代わりに電子計算機(古い言葉ですね、こうもり傘みたいですね)については償却年数を短縮することによって、IT投資を促進するようです。とは言ってもこれまでの即時償却に比べれば効果は歴然としています。購入を考えている方は急がれた方が良さそうです。適用されるのは来年3月末迄購入分です。
〜相続税率引き下げ見送り〜
小渕首相の公約であった相続税の最高税率の引き下げはとうとう実現しませんでした。見送られた理由は「最高税率の事案は年間数件しかない」ということのようです。ちょっと信じられない話ですが、税率のテーブルを見直すことによって累進度合いも緩和されることが期待されていただけに残念です。
〜贈与税非課税枠引き上げ〜
20年近く据え置かれていた贈与税の非課税枠がとうとう引き上げられることになりました。これまでの60万円が110万円に引き上げられる予定です。当然税率の適用範囲も改訂されるでしょうから、かなりの減税が期待できます。これまで私どもは「贈与する場合には最低210万円」とお話ししてきました。贈与額から非課税枠をマイナスして150万円までが贈与税率10%だったからです。今回の改正で仮に非課税枠が110万円に引き上げられた場合、来年からは少なくとも260万円が税率10%ラインになると思います。
〜住宅ローン減税圧縮されて延長〜
そんなに多くの方が関係あるとは思えませんが、大盤振る舞いの住宅ローン減税は多少圧縮されて延長されることになりました。当初2年間の期限付き減税でしたが、それが半年間の延長となったので、今回の改正で廃止されると予想する向きもありましたが、何と更に2年半の延長です。期間、金額の圧縮といっても、期間が5年短縮されて10年に金額の圧縮が数十万円ですから、まだまだ減税効果は大です。
〜個人・法人の土地譲渡益課税の軽減規定を延長〜
現在個人の土地譲渡益課税は26%の税率で一本化されています。また法人も土地重課税の適用を停止されていますが、両者とも継続されることになりそうです。
〜最後に〜
こうやってみると直近で考えなければいけないのは、先ほどお話ししたパソコンの購入と贈与ぐらいでしょうか?もちろん今年の贈与は実行されて構いません。ただ、来年も贈与をお考えの方は配分を考える必要があります。また、今年だけで一つの物件を贈与しようと考えている方は来年まで待たれた方が得策だと思います。

■ 何かが変わってきている子供達 ■
国際化という言葉が叫ばれて随分時間が経つような気がします。私も将来子供たちに国境を意識しないで暮らしていける人生を送って欲しいと考えていましたが、とんでもない考え違いだったような気がします。私たちの気がつかないところで子供達のグローバル化がどんどん進んでいるようです。
昨年子供の同級生が小学校を卒業するとイギリスに留学しました。単なる留学ではありません。彼は映画のスターウォーズを見てCG技術者にあこがれました。そしてその映画のCG技術者の大多数がイギリスの専門学校の出身者であることを調べて自分自身でイギリス行きを決めてしまいました。これには大変驚かされましたが、この11月にはやはり下級生の小学校6年生がニュージーランドに留学してしまいました。これはもう留学と言うよりは「個人移住」です。殆ど日本を捨てています。といっている間にも周囲で移住に近い留学をする子供の話が続々と聞こえてきます。親の子離れよりも子供の親離れの方が遥かに進んでいるようです。
「自分の人生を大事にする」とか「一度限りの人生だから」という言葉がドラマでもよく聞かれるようになりました。中年男性向けの雑誌が目に見えて増えてきているのをご存じでしょうか?「男の隠れ家」だとか「一人旅の勧め」とか、仕事に明け暮れてきた男性に対し「ここで今一度自分の人生を見つめ直してみては?」と問いかける調の企画ばかりです。団塊の世代もそろそろ50代半ばに差しかかろうとしています。大橋巨泉スタイルを目指すオヤジは増えるばかりです。しかし若い世代ではもっと桁違いのスピードで「自分自身を考える」発想が進んでいるようです。子供達にとって日本は「しがみつく対象」でなくなっているのは明らかです。
私も「クレア」を広げてアジアンリゾートのエステばかり夢見ている場合ではないかも知れません。

■□ 年末年始休業のお知らせ □■
下記期間は、年末年始休業とさせていただきますので、あらかじめご了承下さい。
12月30日(土)〜1月8日(月)
本年も色々とありがとうございました。みなさま良いお年をお迎え下さい。
…そう言えば私の飽きっぽい性格がまた頭をもたげて来ました。とりあえず来年前半に
事務所を移転し、車を買い換えようと思います。他にも替える物は幾つかありますが、
人的な物はありませんのでご安心下さい。

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