

■ 新世紀を迎えて ■
新しい世紀の始まりではありますが、なかなかよい世の中にはなりそうもありません。政治及び経済、特に金融面においては、お先真っ暗状態です。
森首相の資質がどうあれ、度重なる失言、60数パーセントの不支持率、就任以来一貫して下げ続けている株式相場を見れば、なぜ退任に追い込まれないのか不思議です。また退任に追い込まれない現在の政治体制が続く方がもっと不思議です。このまま行くと日本はどうなってしまうのでしょうか。「憂国」という言葉が現実のものとなってきました。50兆円の歳入に対して80兆円の歳出、際限なく増額発行される赤字国債、ある程度の経済知識のある人なら皆このままではいけないとわかっているはずなのに、何も改善されない状況をどのように考えればよいのでしょう?
新年早々、株式市場は暴落状態で昨年来の安値を更新、為替も1ドル117円台の円安に突入しました。日本の潜在的な成長力に対する評価はともかく、対外資産残高よりも目先の経済不安に対する売り物の方が遙かに強いようです。もしこのまま3月を迎えることになると「逝ってしまう」銀行や保険会社がまだまだ出てきます。株式相場だけなら日本の金融市場に対する影響のみに止まりますが(これだけでも大変な影響でしょうが)円安と言うことになると国全体に対する評価の低下ですから、その影響は計り知れません。もし為替が国力を表す指標であるとしたら、世界最大の債権国である日本の円が安くなるとはどうも納得がいきません。また橋本元首相のように「米国債を売却する」と政府首脳が発言すればNYの為替市場も株式市場もぶっ飛んでしまうでしょう。このようなときにアフリカで「大東亜戦争」だとか「支那事変」とか時代錯誤な発言をしている場合ではないと思いますが・・・・
今後の社会の動きをウォッチする事も必要ですが、目先の経済変動への対応も考えなくてはなりません。と言って今からドル預金をしても良いものかどうか?毎年恒例の日経の経営者アンケートを見ても予想が当たる人は希です。バブル最盛期の1990年年初のアンケートでは全員が総てはずれでした。「そんな先も読めない人間に経営を任せておいて大丈夫か?」という議論は別にして、それほど経済の先行きを予想することは難しいということです。ですから経済がどのように変動しても良いように行動しなければなりません。経済の一方通行を前提とした投資は慎むべきです。一つ言えることは、株式相場で言えば「大底」が確認出来たならば強気で買い進むべきです。
それと同じことが言えるのが金利です。これ以上の低金利は考えられません。低金利を前提にした投資行動は絶対慎むべきです。金融機関は低金利にもめげず、余剰資金を国債購入に充てていますが、高金利あるいは日本の国債の格付け引き下げに伴う価格下落が起きた場合にはまた大損害を被ることになります。個人としては前から申し上げているように長期の債券は絶対買わない、金利安を前提にした借り入れは絶対慎む、株式銘柄についても金利高が不利に働く会社(殆どの会社がそうですが)については投資しない、という態度が必要です。またこのまま財政赤字が膨れればインフレは必至ですから現預金のまま保有する事も望ましくありません。
「それでは結局どうすればいいんだ!」と言う声が聞こえてきそうです。これらの危険性を考えた上でご自分なりの防衛手段を考えていただきたいと思います。現在保有しているストック、毎年稼得されるフローによってそれぞれ防衛手段、運用手段は異なりますので十分お考え下さい。将来の海外生活を考えられる方はドル預金をすれば良いし、物が好きな方は金あるいは絶対確実な不動産投資を、金融資産で持っていたいという方は利回りがよく絶対つぶれない会社の株式を、ということになると思います。
年末年始の間にずいぶんたくさんの本を読むことが出来ました。大きく分けるとネット関係の本は別にして
・日本の財政赤字に関する本
・公共工事を主体としたバラマキ財政を批判する大前研一氏等の本
・ビジネスヒントを与える邱永漢氏等の本
の3ジャンルに分けられますが、考えてみれば前の2点についてはもう分かり切っていることで、「この次はこのような失敗をしないぞ」と思っている人が読めばよい本で、私たちには関係ありません。また今から改善を試みても、議員の顔ぶれを変えられる可能性はありますが古い伝統を引きずる官僚のメンバー交代は不可能です。そうなると先ほどの自己防衛に止まらず「グローバルに生きようか」という人が多くなるのもやむを得ないかも知れません。先月号でお話しした「子供達」も、もうこの点を見透かしているのかも知れません。今のままでは「この国で頑張ろう」という気になりません。
どうも最近悲観的な話が多くて申し訳ありません。本来私たちの役目は皆さんに対して希望を与えることだと思います。励ます役目の私が「これでは駄目だ、お先真っ暗だ」と唱え続けていても意味がありませんので、皆さんが妙な宗教にでも走る前に希望を与える方法を考えてみたいと思います。但し、もし来年に予定されているペイオフが再延期されることになった場合にはこの国には未来はありません。少なくとも今後10年全く期待出来ません。ペイオフの延期はさらなる隠れた不良債権の発生若しくは新たな隠蔽に他なりません。また「先送り」です。そうなった場合には信用できるものは何も無くなります。

■ 株式市場に限って言えば ■
個別の銘柄を見ても、ネット関連と言うだけで総売り状態です。ソフトバンクにしても僅か1ヶ月で半値、高値から見れば20分の1以下です。10日の新興市場を見てみるとマザーズ、ナスダックジャパンそれぞれ値上がり銘柄は1銘柄ずつしかありません。11日も同様な状態です。単に投資判断としての売りではなく目先資金化の必要な人が数多くいるのではないでしょうか?ベンチャー銘柄の殆どが公募価額割れ状態ですから、売っている人は皆、損切りです。昨年からの下げ相場で、信用の追い証がかかっている人がますます増えているようです。投げ売りで一時的に下がった株は逆に買いであるとも言えます。「なぜこの株がこんな値段まで売り込まれてしまうのか?」と思う銘柄も増えて来ました。買いのチャンスであるとも言えます。
インターネット総研、CTC等を見ても高値から20分の1以下になるのが当たり前になってきましたから、もしネット株を買われるのであればこれ以下の買いを考えられた方が良いと思います。ネット株であっても利回り銘柄として買える銘柄も出て来ています。PER10倍以下、利回り3%以上に絞って検討されては如何でしょう。

■ 人は案外長生き ■
私自身も50代が近くなってくると今後の人生について考える時間が多くなりましたが、20世紀の経済人を見てみると予想外に長命の人が多いことに驚かされます。大倉財閥創立者の大倉喜八郎は90歳まで生きましたし、渋沢栄一が亡くなったのは91歳の時です。高橋是清も蔵相在任中に暗殺されましたが82歳でした。真珠王の御木本幸吉が亡くなったのは何と96歳です。
最近の大橋巨泉を目標とした「セミリタイアメント」傾向も、もし50才からの残りの人生が40年もあるとすると考え直さなくてはなりません。単なる長寿の可能性と言うよりも、遺伝子工学を初めとした医学の進歩によって長寿化が進む可能性もあります。リタイア人生もいいですが、一生懸命やった期間よりもリタイア後の期間が長くなると思うと考えてしまいます。これからは「老後」ではなく「第二の人生」という感覚で考える必要がありそうです。「第二の人生」は必ずしも「趣味の生活」を考える必要はなく「第二の仕事」すなわちこれまでと全く異なったビジネスに参加することを考えてみても良いと思います。公務員を定年退職して焼鳥屋のオヤジをやってみるのも面白いと思います。もし客層を特定の層に絞って展開するビジネスならば、規模は期待出来ませんが、収益率の高いビジネスを展開することは可能だと思います。「常識の枠」を取っ払って考えてみて下さい。

…正月にホテルのエレベーターで叶姉妹と一緒になりました。
私は「フェロモン」という言葉を信じます。

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