

■ 何か起きるか6月 ■
まだまだ小泉らしさが出てこない今日この頃ですが皆さんいかがお過ごしでしょうか?東京地方も梅雨入りしましたが、梅雨入りとともに私たちの業務も緊迫感がほぐれてきます。これから1ヶ月は税務調査はありません。税理士がゆっくり出来る唯一の月です。もっとも公認会計士の忙しさは今月いっぱい続きます。これから株主総会が続々と開催されます。未公開企業でも株式公開を志向している企業はきちんと株主総会を開催しますから、監査している公認会計士や幾つもの会社の役員を兼ねている人は大忙しです。また株主総会を前にして、監査法人と激論を戦わせた企業もたくさんありました。主として不良債権に対する引き当てに関わる意見の食い違いです。
先日東京三菱銀行が不良債権の引き当て基準をこれまでと変更し、予想外の不良債権を公表したところ、他の金融機関の間に激震が走りました。東京三菱銀行と同様の基準で不良債権を計算すると総額が100兆円をも上回る可能性もあるようです。GW明けには破綻すると言われていたD銀行はまだ破綻しません。今月中には生保会社が1社破綻すると噂されています。まだまだニュースからは目が離せません。

■ インターネットに潜む危険 ■
メル友殺人が相次いでいますが、CATVやADSLの普及による常時接続の日常化で、インターネットを巡るセキュリティの必要性は高まるばかりです。顔の見えない相手とのコミュニケーションには十分注意する必要があります。私の子供たちも家庭のパソコンで友達とメールのやりとりをしていますが、知らない間にネット上のゲームに参加し始めてしまいました。子供の友達の何人かが自分のホームページを持っていることにも驚かされます。その無防備さに対するリスク警鐘を誰かが行わなくてはなりません。真夜中に玄関の鍵をかけないどころか、玄関のドアを開け放ち、家の中の電気を煌々とつけているようなものです。ただインターネットに繋ぎっぱなしにしておくだけでも危険なのに、自分のHPを公開し「皆さん、さあアクセスして下さい」と言っているわけですから、危険極まりありません。私の娘も「自分のHPを作りたい」と言っていますが、まだまだやらせるわけにはいきません。
また多くの会員向けサイトではセキュリティを高めるために、IDNo.やパスワードを入力させてサイトに入場できるようにしていますが、もし自分のコンピューターに不正侵入された場合には、それらが他人に知られ、自分になりすまされてしまうかも知れません。クレジットカードの番号も他人に盗み見られる危険性があります。
インターネットのセキュリティにはウィルスに関するものとハッキングに対するものがあります。前者についてはワクチンをインストールしておけば9割方防ぐことが可能ですが、後者については家庭においては殆ど対応できていないのが実情です。ところが極々最近発売になったコンピュータウイルス対策ソフトにはハッカーに対抗するファイアーウォールソフトが組み込まれていますので、是非ご使用をお勧めします。もちろんそれを用いても完全ではありませんが、何もしないことと比べれば大違いです。家庭にプロのハッカーが侵入してくることは考えられませんから、ある程度の対策をとっていればかなり有効だと思われます。

■ 超低金利は最大の儲けのチャンスかも ■
低金利はその国の通貨の信用度であるとも言えます。中南米のように国情不安、インフレ懸念の高い国では十数パーセントの金利が当たり前です。しかし何度もお話ししているように、過去にこのような低金利がこれだけ長期に続いた例はありません。過去400年間に長期金利が2%を下回ったのは1600年代のジェノバと1940年代の米国しか例はありません。ジェノバの場合にはその後1年間で4%台にまで反騰しています。
確かに5年前にも私は「このような低金利で国債を買うのはバカだ、たとえ低金利でも短期の金融商品でつないでいくべきだ」と言っていました。結果的にその後5年間で見れば、その時国債を買っておいた方が金利は多かったかも知れません。しかしこんな異常な低金利がいつまでも続くと考える方が異常です。これまで国債を買い続けた人はこれからも買い続けて国債の暴落局面で大損害を被るはずです。昭和60年代の高金利時代には6.1%の金利をつけた国債でも80円台に暴落し、悪名高き「ロクイチ国債」と呼ばれました。もし現在の低金利の国債が長期金利が5,6%の時代になったらどこまで暴落するのでしょうか?
現在の10年物国債の利回りは1.26%です。単純利回りで行けば、金利が倍になれば価格は半分になります。もちろん額面との差額が償還利回りとして上乗せされますのでそこまで下がることはありませんが、金利が5,6%になれば国債価格は70円以下にまで暴落します。もちろん国債を山ほど抱えている生保も銀行も、国債先物相場に積極的に参加している金融機関のファンドマネージャーも現在の債券市場がバブル化しているのはわかっています。金利が反転して国際相場が暴落した場合には巨額の損失を被るのもわかっています。ただ、プロの投資家は「何もしないで休む」ということは許されません。たとえば株式投資にしても個人の投資家ならば「1年に1回の投資チャンスが来るまで何も買わないで休もう」ということが出来ますが、運用担当者にはそれは許されません。小刻みでも常に運用して利を発生させることが求められます。そして、暴落寸前に引き上げようと誰もが思っています。「今が史上最低金利だ」ともう4年以上も思い続けながらこわごわとゲームに参加しているわけです。しかも今回は史上最低金利を僅かですが更新しています。今から極端にこれ以上金利が下がることはあり得ませんが、この超低金利が3年も5年も続かないとは誰も言えません。
理論的には景気が好転し、資金需要が発生すれば金利は上昇するはずですが、いつ景気が良くなるかは誰もわかりません。自民党政権は8年間も景気対策に関して無能でした。また、人類史上の2回の低金利は、景気の好転によって低金利の幕を閉じたわけではありません。ジェノバの場合には隣国スペインの債務不履行によって、1940年代の米国の場合には戦争の始まりによって金利が反転しました。今ほどの低金利ではないにしても、我が国でも昭和の初めには資金需要が乏しく債券相場が活況を呈していましたが、英国の金本位制の停止に伴って債券、株式相場が大暴落しました。
過去の歴史から見ると、今回の低金利も景気の好転によって徐々に金利が上昇してゆくといった平和なストーリーは描きにくいと思います。何か突発的な出来事によって、突然金利が急上昇するのではないでしょうか?それがいつ起こるかは誰にもわかりません。しかしそれを信じて(狙って)債券相場に売り物を建てておけば大儲けが出来る可能性があります。余裕のある個人資金だからこそ出来ることなのですが・・・・・
今回さらに下落し1.6%という低金利となった長期プライムレートでも低金利以前の平均は6%台であるということを忘れてはいけません。事業をなさっている方も、いつ何時金利が過去と同様の5,6%になってもよい覚悟をしておくべきです。返済額が一挙に増えることになりますが、それが当たり前なのです。現在の低金利を前提としたビジネススキームを組むことはもちろん危険ですし、現在の金利水準でぎりぎりの資金繰りを組んでいる方はあっという間に破綻してしまう危険性を秘めています。何度も言いますが、そろそろ資金計画の見直しをしておくべき時期だと思います。

■ 日本版401k法案、衆議院通過 ■
とうとう日本版401k法案が先ほど衆議院で可決しました。これまで企業年金と言えば企業が給付額に責任を持つ「確定給付型」だけでしたが、今回確定拠出年金法案が成立したことで企業年金は大きく変化することになります。
今後の企業年金は「企業型」と「個人型」の二つに大きく分けられることになります。一般の個人事業者の方はこれまでの基礎年金に加えて年間拠出限度額81万6千円の確定拠出年金が上乗せされることになります。「確定給付型」年金が、資産を一つにまとめて管理・運用するのに対し、日本版401kは、払い込まれた掛け金を個人ごとの口座で管理します。また企業型401kも積立金を個人ごとに管理するのは個人型と同じですが、転職や退職の際も積み立てた資産を持ち運ぶことが出来ます。また企業型の場合には、拠出限度額は、企業年金がある場合には21万6千円、無い場合には43万2千円となります。積立金の運用対象は各個人が選択するため、今後は金融機関の壮絶な顧客獲得競争が発生すると予想されます。先月末にはソフトバンクグループが法案成立に先立って、いち早く確定拠出年金導入を発表しました。尤も、ソフトバンクグループはグループ内に格付け会社モーニングスターや各種の資産運用会社を有しており、従業員のためだけを考えた採用とはちょっと違うかも知れません。すでに採用を表明しているトヨタ自動車や日立製作所ばかりでなく、今後は金融機関を中心に続々と採用する企業が出てくると思われます。また401kの導入によって企業年金の悪化にも歯止めがかかることが期待されています。

■ ビジネスマンとしての男の生き方 ■
先日から日本経済新聞の「私の履歴書」でセコム創業者の飯田 亮氏の「履歴書」が始まりました。前々回の京セラ創業者、稲盛和夫氏の「履歴書」も読み応えがありましたが、飯田氏の発言も大変重みがあります。特に次の2点は大変印象的でした。
「企業は常に新しい事業に挑戦しなければ存在価値がないと思う。未知の事業はリスクを伴うが、株主がそれを分かち合うために株式会社という制度があるのではないか。企業にとって安住は衰退だ」「混乱は人を成長させる。日本は先行きが見えず閉塞感が漂っていると嘆く人は多い。しかし私に言わせれば今こそ日本は面白い」やはり稀代の経営者というものは常に前向きな考え方をしていることがわかります。この他にも味わい深い言葉が随所に散りばめられた素晴らしい経営指南書だと思いますので是非皆さんもじっくり読まれることをお勧めします。
また最近中年サラリーマンに大好評のNHKの「プロジェクトX」、時代に生きた男たちのドキュメンタリーです。シャープの電卓やスバル360や霞ヶ関ビルを造った男たちの物語に感動させられます。また番組の音楽の中島みゆきの「地上の星」もじわじわと売れてきています。80歳近い私の父まで「CDが欲しい」と言い出しました。この番組を見ていると仕事に生きた男たちの生き様に感動させられるとともに、子供を理科系に進ませたくなります。やはり事務系よりも技術系のビジネスマンの方が充実感、達成感は大きいようです。

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