■ 今年の本命IP電話 ■


「IP電話」と言う言葉を最近よく耳にされることと思います。IP電話とは音声をデータ化し、電話回線の代わりにインターネット回線を使って通話をする電話のことを言います。これまでの電話では、1通話が1回線を占有してしまうのと比べて、音声をパケットと言うデータ単位に変換して電送する方式のため、メールと同様に低料金で音声のやり取りが出来ます。そこで ヤフーのように東京→ニューヨーク間3分7.5円といったビックリするような低料金が可能になります。
 また他の通信会社等でも全国どこでも3分20円とか、アダプターをつけた同士の電話ならば通話料無料とか、2000円の月額通話料を払えば国内どこでも無料という会社まで現れています。
 ここに2月27日、NTTのIP電話への今秋の参入が報道されました。これで現在の固定電話の絶滅が視野に入ってきました。

 インターネット接続においても、これまでプロバイダ料金ゼロを売り物にしたプロバイダがありましたが、各種のサービス、信頼性から、ユーザーにとって今ひとつメインのプロバイダとはなり得ませんでした。IP電話についても方式、会社が乱立しており、ユーザーにとってはどれを選択して良いか迷うところでしたが、NTTの参戦によって、一気にIP電話の普及が進むと思われます。

 もうインフレ誘導等の悠長な対策を打っていては間に合いません。2兆円どころではない10兆円規模の株式買い取り、思い切った不動産流動化対策、ダイエー規模の不良債権処理等を実施しなければ、世界の信用は得られないでしょう。ブッシュ大統領来日中に大きな出来事が起こるような気がします。

まず現在のIP電話を整理してみましょう。

● パソコン使用型IP電話(パソコンとインターネット回線を使用)
 これはパソコンでインターネットに接続できる環境が無いと使えません。また音声を圧縮してインターネット網を経由して伝送するため、回線状態によって音質が様々です。更にヘッドフォンセットを使用して会話するので、これまでの電話とは全く異なる通話方法となってしまいます。
またパソコンを起動していなくては通話できないという不便さがあります。

● 専用アダプタ使用型IP電話
 これは普通の電話機に専用アダプタを接続して通話しますが、最も大きな特徴は同一アダプタで接続された電話間の通信料金が無料になる点です。この春からサービスが開始されるBB Phoneは、同じユーザーへの通信料金はもちろん無料、一般の電話には3分7.5円、これは国内ばかりでなくNYも同料金の予定です。

● Phone to Phone型IP電話
 これは現在使っている電話をそのまま使って通信するもので、最初にアクセスポイントに電話してから、接続します。使い勝手は一番です。フュージョン・コミュニケーションズが有名ですが、国内3分20円、NY3分45円でかなり普及が進んでいます。
 もともとWindowsにはWindows Messengerというソフトが組み込まれており、これを使えばすぐにでもインターネット電話を開始することが可能です。しかし使い勝手から言えばアダプタ型電話かPhone to Phone型電話と言うことになるでしょう。但しIP電話にも欠点が無いわけではありません。
例えばBB Phoneでは携帯電話にはかけられませんし、110番にも現在のところかけられません。
 しかし、今後はこれらの問題もどんどん解決されて、現在の固定電話と全く同じ使い勝手になること は間違いありません。家庭でもオフィスでも通信費は激減するでしょう。これからの家庭では固定 電話を引かない家庭が大多数になります。

 ご紹介したサービスの多くは既に利用が開始されつつあります。興味のある方は是非チャレンジしてみて下さい。

 それにしてもソフトバンクの孫正義という人間は凄い人です。彼の力でここ数年の日本のIT及び株式公開の世界が大変化したことは間違いありません。彼に関しては様々な批判もありますが、彼がナスダックジャパン市場の立ち上げを提唱しなければ、99年から2000年にかけてのネットバブルは起きませんでしたし、昨年も登場した20才台の公開企業の社長もあり得ない話でした。ナスダックジャパン市場の設立に刺激される形で東証マザーズ市場が立ち上がり、公開を目指す企業も一挙に10倍以上になりました。

 また通信の世界における影響はもっと顕著で、彼が月額2280円のYahoo ADSLをぶちあげなかったら、これほど日本において短期にブロードバンドの世界が広がったかどうかわかりません、と言うよりは決して広がらなかったでしょう。現在ではマイクロソフトのビルゲイツ会長をして「日本の方がブロードバンドの普及において先行している」と言わしめた状況になっていますが、それは孫社長がYahoo ADSLの激安宣言をしたことがきっかけとなってADSLや光ファイバーのサービス料金が一挙に低下したために起こった現象です。現在ADSLのサービスは各社から月額、平均2000円から4000円で提供されていると思いますがYahoo ADSLのサービスが無ければ今でも月額5000円以上の通信費を消費者は払わされているはずです。
 それと同じことがIP電話で再び起きようとしています。孫社長は社長室にいるよりも本社3階のBB Phoneのフロアーに殆ど詰めているほど熱が入っているようです。全世界中3分7.5円あるいは限りなく無料に近い電話、そしてそれがテレビ電話となる時代がすぐそこまで来ています。



■ バカに出来ない株価の戻り ■


 先月末から株式市場が大反騰しています。主たる原因は空売り規制です。(公的資金の買いも噂されていますが定かではありません)先月末から現在値より下への空売りの規制が行われました。これによって「売り浴びせ」により株価を下落させることが難しくなった訳ですが、これまでの下げ相場が単なる金融不安や不況によるものばかりでなく、外国証券を中心とした売り方の手による物だったために、予想外に大きな効果をもたらしました。空売りが入りませんから、買い物があれば当然株価は上昇します。それに加えて、大量の売り方が、慌てて買い戻しに走りましたので、大反騰となりました。

 また為替相場もこの反騰相場で、にわかに買い出勤した外国人投資家の円買いによって僅か数日で5%近い円高となりました。株式相場と為替相場のあまりに大きな変化にとまどっている投資家が多いようです。但しこのような中でも、目先のきく個人投資家は、積極的に買いに走っているようで、ネット証券トップの松井証券の取引高は、連日過去最高を記録しています。

 考えてみれば今ほど信用の売り残が、買い残を上回ったことは我が国株式市場でも希なことだと思います。株式欄を見ていただくと分かりますが、あまりに空売りが多いため、売る株を「逆日歩」と言う金利を払って調達しなくてはならなくなっている、株式の銘柄数が異常な数になっています。少なくとも私が株式投資を始めた昭和50年以降最高の数になっていることは間違いありません。
 トヨタ、松下といった日本の主要株信用取引の買い残を、売り残が上回っているのです。

 今後の見通しはどうでしょう。新聞等のコメントを見ると「こんな小手先の株価対策の戻りは長続きしない」と言う声が多いようです。しかし、私は今回の反騰は株式市場の持つ本来の指標である「経済の先見性」という点からはかけ離れていますが、まだまだ反騰は続くと思います。それは「空売りの怖さ」が売り方にあると思われるからです。信用買いの場合にはどんなに損をしても、買った株の株価が0円になることで損失が確定します。しかし空売りを行った場合には、損の危険性は無限大です。

「かつがれる」という表現を使いますが、空売りした株が高騰したときの恐ろしさは、経験した者にしかわかりません。その恐怖に堪えられず、或いは信用の追い証によって買い戻しが発生することによって、株価はますます上昇します。「これを踏み上げ相場」と言います。過去に「相場名人」として有名な相場師は何人もいますが、売り方の相場師の多くはその後相場に破れて世間の表舞台から消えてしまっています。
 これほどまでに売り残の多かった相場が過去に例を見ないと言うことは、その反対も過去にない強いものになる可能性があると思います。3月末の日経平均1万3千円説が出ていますが、私はそれ以上になると思っています(はずれたらご免なさい)。

 為替に関しては全く分かりませんが、チャーチストによれば円高に反騰したという説が多いようです。先月号で純金投資に対してご忠告をしましたが、もし再度の円安を期待される人がいたら、絶好の投資タイミングになると思われます。(私はそうは思いませんが)
 基本的に私は円高論者です。日本の国をまだ信じていますし、日本の持つ膨大な対外債権によって、日本単独の金融不安は起きないと考えているからです。



■ ペイオフ ■


 どの経済誌も週刊誌もペイオフ談義が花盛りです。私もことある毎に「ペイオフでどうすればよい でしょう?」と皆さんに尋ねられます。皆さんには「とりあえず普通預金にして様子を見れば」とお話ししていますが、どうも皆さんの動きが鈍いようです。各種の統計を見ても、法人預金については、かなり普通預金化が進んでいますが、個人預金については、未だ定期預金にかなりの預金が残されているようです。大法人の動きを聞いてみると、皆さんかなりドライに行動しているようで、続々と定期預金を解約して普通預金に移行しているようです。東京三菱銀行と言えども、例外ではありません。
 また、退場寸前の金融機関に対する金融監督庁の態度は熾烈を極めているようで、今後も破綻に追い込まれる金融機関がいくつも出てきそうです。皆さんがびっくりするような銀行も出てくるかも知れません。

 「DNA」と呼ばれているダイエー、日興證券、あさひ銀行(朝日生命?) にしても、まだまだ不安感の払拭にはほど遠い気がします。バブル崩壊期にも危なそうな不動産会社が、いくつかの符丁で呼ばれていましたが、その半数以上が実際に破綻に追い込まれました。これまで何度も申し上げてきましたが、信用が商売の金融機関にとって、信用不安説は致命的です。今、あさひ銀行に1000万円以上の定期預金をする人はいないはずなのに、存続していることが不思議でしょうがありません。これだけペイオフに対する報道がなされているのですから、これでもし、4月以降ペイオフ対象となる預金を持っていたら、それこそ自己責任です。

 本当のペイオフによる激動は普通預金や当座預金がペイオフ対象となる、来年の4月前に起こるのかも知れません。
 まだまだ金融機関の試練は続きます。





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