■ 日本の財政は大丈夫? ■


 先月のメッセージで「日本の国債の格付けがもう一段階下げられたら、ボツワナと同じになってしまいます。」とお話しましたが、5月31日一挙に2段階、シングルAまで引き下げられてしまいました。G7最低国のイタリアよりさらに3段階も下、イスラエル、ギリシャ、ポーランドらの国々と並びました。

 財務省は再び、格付け引き下げに反論していますが、反論の根拠も対外債権やら、個人金融資産やら国家財政の基礎としては「?」のものばかりです。国債の格付けは日本経済の格付けではなく、国債の償還能力です。幾ら個人金融資産が1,400兆円あっても、国債が債務不履行になるかどうかとは関係ありません。財政だけを考えてみれば、日本の公的債務残高は地方財政も含めれば700兆円近くあり、GDPの1.4倍もあります。こんな国は世界中どこにもありません。
 しかも税収は悪化の一途を辿っており、財政が好転する見込みはありません。6−3号の日経ビジネスでも、慶応大学の池尾和人教授が「日本国債の格付けはあくまでも日本国政府の発行する債券の信用度を評価したものであって、本来の日本経済の総合的評価ではないはずだ。」「日本経済が大丈夫であれば、自動的に日本財政も大丈夫ということにはならない。」と述べています。正論です。

 現在、日本の国債の殆ど、約95%が日本国民と日本の金融機関によって引き受けられていますから、今回の引き下げがいきなり大きな問題にはなりませんが、もしこの引き受け手に変化が起きれば大変なことになります。30兆円に制限された国債さえ引き受け手がいなくなれば、一挙に国際相場は暴落します。利払いのための国債の発行がストップしてしまえば、債務不履行(デフォルト)です。

 先日、元国会議員で、今度ある国の大使になった方と会食しましたが、「経済政策が上手くいけばハイパーインフレ、そして上手くいってもいかなくても、どちらにしても円安」とのお話でした。
となるとやはり金投資ということになってしまいます。

 先月のメッセージで外貨預金と金投資をお勧めしましたが、皆さんマクロ的にはわかっていてもアメリカ経済の下降傾向による円高、一時1万2000円にのせた株価を見ていると、一気に円逃避及び実物投資という気持ちにはなれないようです。と言って、株価が一気に1万円割れ、1ドル140円への円安に進んだからと言って、外貨への逃避行動に移れるものでしょうか?危機予測に対して、事前に何らかの行動に出られる癖をつけておく必要があると思います。

 私も現実に円逃避を考えて、外貨預金をするべくシティバンク銀行に足を運びましたが、事ある場合には外貨で引き出せる預金への預け入れはなかなか困難なようです。また預金保護の対象にならない外銀口座ですが、一度預金封鎖となれば、やはり外銀の口座といえども、封鎖の対象となってしまうようです。

 出来れば、海外に口座を持てれば良いのですが、出国せずに海外の銀行口座を開設することは不可能です。従って、国内で出来る限り円安に対処するためには、外銀の外貨預金口座に外貨定期預金をし(指定しないと満期時に円の預金口座に振り替えられてしまいます。)口座からキャッシュを引き出すときには外貨のトラベラーズチェックを用いれば、円安ヘッジになるようです。色々調べてみましたが、とりあえず日本国内で出来る円逃避はこのくらいのようです。



■ 注目される株主総会、決算報告 ■


 株主総会シーズンがやってきました。表には出てきませんが、5月中には多くの会社で監査法人と会社との間で決算書に関して大変なせめぎ合いが行われたはずです。まだ正式に決定したわけではありませんが、今後会計士監査において「ゴーイングコンサーン条項」と言われる企業の「継続可能性」に関する項目が監査項目に正式に加わります。しかし、既に今3月期の決算においてもそれを先取りする形で、これに関するコメントが続出しています。例えば、「会社が予定している新事業が予定通りに進まない場合、事業の継続に大きく影響する虞がある。」「会社が予定している借り入れが計画通りに行われない場合、会社の資金繰りに重大な影響を与える虞がある。」等、投資家が見れば「とってもこんな会社には投資できない。」と思えるような文言が決算書に「追加情報」あるいは監査報告書の文章の中に盛り込まれるはずです。ですから、会社としては出来るだけこのような文言が記載されないよう最大限の努力をしますが、監査法人の強い要請で泣く泣く表示するケースが多いと思われます。

 フットワークの粉飾決算に関して、某監査法人の公認会計士が2名逮捕されましたが、この監査法人の監査契約が続々と解約されています。ミニエンロンショックです。エンロン事件一つで、従業員10万人とも言われる、世界の会計ファームのビッグファイブの一つにもあげられる、アーサーアンダーセンが崩壊の危機に直面しています。既に顧客の50%以上が他の監査法人に流れたと思われます。監査法人にとって、失った信用を回復することは殆ど不可能です。監査法人に対する世間の目はますます厳しくなっており、監査法人側もリスクの軽減を強く意識していますから、不安材料については出来る限り開示させようとします。会社と監査法人の間で、これまでにない強い緊張感が漂っているのが今年の決算の特徴です。

 というわけで、今年の各社の決算書、出来れば有価証券報告書をご覧になると大変興味深いと思います。有価証券報告書についてはネット上で閲覧できる会社も多くなってきていますので、是非ご一覧下さい。

 会社が倒産すると「寝耳に水」という言葉がよく使われますが、このような点に注意していれば、ある程度会社の経営状態について予測できるはずです。何も決算書に注意を喚起していない会社がいきなり倒産したとすれば、それは監査法人の怠慢です。

 ところで、ワールドカップ開催中には大型倒産は起きないという噂は本当でしょうか?本来ならば、上記のような状況の中で、監査法人の指導により債務超過に陥る、あるいは事業の継続を断念する等の理由でこの時期に倒産する企業が多いはずなのですが。



■ 機種変更必殺技 ■


 5月の下旬から、待望のドコモ504シリーズが発売になりました。iモードの通信速度が最大28800Kbpsと現行の3倍になりましたのでiモードの使用感はだいぶ良くなりました。但し、機種変更のためドコモショップへ行くと、最人気機種のムーバN504iの場合、新規でも4万円近い値段となります。私の場合は機種変更と言っても、購入後6ヶ月しか経過していなかったものですから4万数千円払う羽目になってしまいました。もちろんドコモショップでなければもう少し安く購入する方法はあったのでしょうが、発売日当日に入手したいと思ったので、このような価格になってしまいました。また、メモリーの移し替えもドコモショップの方が安全そうです。もちろん携帯メモリーソフトでバックアップは取ってありますが、その場で移し替えてもらった方がなんとなく安心です。

 というわけで私はいつもドコモショップで携帯電話を購入していますが、何ともっと遙に安く購入できる裏技を教えてもらいました。まず出来るだけ新規購入で安く購入できる店を探します。価格比較で有名な「価格.COM」によればN504iの新規契約の最安値は25,800円です。この価格で新機種を購入し、ドコモショップに持ち込み「持ち込みの機種変更」を申し出れば手数料2,000円すなわち合計27,800円で機種変更が出来ることになります。色々な裏技があるものです。



■ 日本初のプロキシーファイト ■


 株主総会と言えば、画期的な株主提案を掲げて東京スタイルの株主総会に臨んだ村上世彰M&A
コンサルティング代表でしたが、3つの株主提案@1株当たり500円配当A発行済み株式総数の
33%の自社株買いB社外取締役2人の選任の総てが否決され、結局敗北しました。

 日本における初のプロキシーファイト(株主議決権の委任状獲得合戦)でしたが、外人株主等に対する票集めの詰めの甘さ等もあり、結局の日本社会のエスタブリッシュメントの壁をうち崩せずに終わりました。以前にもお話ししましたが、現在の状況はともかく、若くして成功者となった元アスキー社長の西和彦氏、ソフトバンク社長の孫正義氏はいずれも長老のバックアップがありました。後見人のいなかった光通信の重田氏は社会的に葬り去られつつあります。

 村上氏の周りにもたくさんの参謀がいるようですが、財界の後見人が居ません。大きな変革を望まない何人かの長老が今回の東京スタイルの一件でも仲介の労を執ろうとしましたが、村上氏に一蹴され、彼に対する反発心を強める結果となりました。株式持ち合い制度に支えられている日本の株式市場において、本当のコーポレートガバナンス、特に株主統治を実現するためにはまだまだ大きな障害がありそうです。

 2ヶ月後の私達の勉強会では講師として村上氏を迎える予定ですので、是非報道されない真実を訊かせて貰いたいと思っています。



■ 叙勲辞退 ■


 5月の話になってしまいますが、5月の始めに春の叙勲者が発表されました。叙勲者の決定にあたって、民間人としては最高位の勲一等旭日大綬章の最有力候補になっていた今井敬経団連会長が辞退しました。新経団連会長となった日経連前会長の奥田碩氏も今から辞退を明言しています。財界の最大物が辞退したということで、今後の叙勲に対する新たな議論が巻き起こることは必至です。今井会長の所属する新日鐵は、日本における重厚長大のシンボルですからその代表者が辞退したことには大きな意味があると思います。これがホンダの社長やソニーの出井会長が辞退したと聞けば「なるほど」と言う感じがしますが「まさか新日鐵の経営者が!」と驚きです。それに対して何とも情けないのは井上前参議院議長です。先日政策秘書の不祥事の責任を取って辞任しましたが、何と在職25年の翌日の辞任でした。議員在職25年ともなれば肖像画が飾られ、様々な恩典が与えられるわけで、これに固執した井上議長の浅ましさだけが印象に残りました。



■ お奨め商品二つ ■


 夏が近づいて、体型が気になる人が増えてきたせいでしょうか。書店の雑誌記事の広告を見ているとダイエット及びシェイプアップに関する広告が目につきます。今年の新製品で目立つのは、科学的なシェイプアップ。具体的には香りで痩せる。あるいは貼るだけで痩せる。等の商品が登場したことです。
 特に資生堂の「イニシオ ボディクリエーター」は大人気で、あっという間に生産計画を3倍に引き上げたほどです。社員のモニターによると、1ヶ月でウェストサイズが平均1センチ以上のダウン。体重も2%近いダウンのデータが得られたそうです。これは「グレープフルーツの香りで痩せる」が売り物ですが、確かに使ってみると肌の引き締め効果があるようで、皆さんにお勧めできます。

 二つ目は、肝臓が悪い人にはお勧めです。商品名は「マリンO2」。深海鮫の肝臓のエキスが成分ですが、私はこれを飲み始めてから、肝機能の数値が劇的に改善しました。160錠で26,000円とそう安い物ではありませんが、肝機能の数値があまり良くない方は、是非試してみられることをお奨めします。



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