

■ 今年の流行 ■
今年の話題の東西の横綱は丸ビルとカメラ付き携帯電話です。丸ビルは開業以来毎月200万人以上の人手を記録し、周囲の商店街の売り上げも軒並みアップしています。と言っても、実際丸ビルの中に入ってみると、ショッピングゾーンにそれほど目玉となる店があるわけではありません。飲食店については、確かに35,36階の高層階には寿司幸、天政、福臨門といった名店が入店していますが、5階、6階の一般飲食店に取り立てて見るべきものはありません。それでも人気が先行しているせいか、どの店も満員状態で、店員の尊大な態度が目につきます。お勧めは地下1階の食料品街で、特に「中食」は充実しています。値段は決して安くありませんが、一度覗いて見られると面白いと思います。来月号では12月1日にオープンしたカレッタ汐留に関してご報告出来ると思います。春には六本木ヒルズもオープンします。エンターテイメント施設はありませんが、大崎、品川も一大ビジネスゾーンを形成しつつあります。まだまだ東京の発展は続きそうです。
次に、絶好調なカメラ付き携帯電話ですが、新し物好きの私はもちろんゲットしました。まだ画質についてはたいしたことはありませんが、とりあえず簡単な記録機としては十分使えます。これまでカメラ付き携帯と言えばJフォンの「写メール」でしたが、やはり圧倒的な占有率を誇るドコモシリーズのカメラ付き携帯が発売された途端にカメラ付き携帯の普及率が大幅にアップしました。これまでに市場で販売されたカメラ付き携帯は1000万台を超えました。尤も最近はカメラ付き携帯を悪用するケースも多いようで、先日盗撮で逮捕される人間も現れました。また、書店では携帯カメラの使用に非常に神経質になっているようで、「絶対禁止」の店も出てきたようです。確かにメモ代わりに雑誌記事を携帯電話のカメラでパシャパシャ撮られては雑誌を売る立場としてはたまりません。そのためではないでしょうが、カメラ付き携帯の悪用を防ぐため、シャッター音を非常に大きくしてあり、これを消すことは出来ないそうです。
またカメラ付き携帯でもドコモのiショットを使われている方はちょっと注意が必要です。というのはiショットで写した写真をメールで送る場合、発信者通知をオンにしなければ送信出来ません。色々な事情で発信者通知をオフにされている方は気をつけないと、いつの間にか自分の携帯の電話番号が相手に知られてしまいます。
でも使い方によっては便利なツールです。やはり百聞は一見に如かずで、幾ら言葉で説明するよりも写真ならばはっきり目に焼き付き、印象も大違いです。情報伝達力の高さはこれまでと比較になりません。今後若者達のデートのツールばかりでなく、ビジネスでも色々な利用シーンが生まれてくると思います。
但し、携帯電話のカメラをデジカメと同様に考えるのは大きな勘違いです。いくら最近の携帯電話カメラが初期のデジカメと同質と言われていても、実際の画質はまだまだです。また、カメラがついている分、床に落とさないように一層の注意が必要です。

■ 再び証券税制 ■
株価下落はやはり止まりません。日経平均が9300円台を回復してやれやれと思ったのもつかの間、また9000円を割れてきてしまいました。どうも生保等の金融機関が9月末の9300円台の日経平均を意識しているようで、9月末時点で評価損を出した会社は、それを株価が上回ってくると今度は売り物を出してくるといった状況です。要するに、需給関係が圧倒的に悪く、少しでも株価が上がれば売り物が幾らでも出てくるという感じです。金融機関の保有制限のための売却、持ち合い解消のための売却、資金繰りのための売却といった法人の売りに加えて、あと3週間の命となった源泉分離課税の恩恵を受けるための個人の売りが重なるのですから株が上がるわけがありません。逆に数十兆円と言われるタンス株の売り物が出てきているのに、よく株価がこれぐらいで止まっていると不思議に感じるぐらいです。
証券税制についても、とうとう私が最後まで期待した源泉分離課税の存続は、絶望的な状況です。目下のところ、税率10%の低率申告分離課税の導入の可能性が大です。もっとも、配当課税についても株式譲渡課税と同率とするという議論が進んでおり、これが実現すると配当所得の多い、例えば上場企業のオーナー達にとっては大変明るいニュースとなります。
また、まだ案の段階ですが、所有期間1年超株式の譲渡益100万円までの非課税措置は廃止される予定ですが、今年中に取得した株式を2005年から3年間の間に売却した場合の非課税の措置は継続することとなるようで、複雑な証券税制はまだまだ残ることになりそうです。ただし、もしこの措置が残るとすると、年末までの対応は違ったものになります。もし1000万円までの投資額で、今後とも継続して保有し続けるならば、一旦売却して買い直すことに意味があると思います。ただ、色々な方とお話ししていて、圧倒的多数意見は「面倒くさいから年内に売っちゃお」です。本当に個人が所有している株を売却させたくないなら、更なる措置が必要なことを政治家は理解していません。

■ 課税庁の勇み足 ■
11月26日に興味深い判決が東京地裁で出ました。これまで一時所得か給与所得かで争われていた「海外の親会社から付与されたストックオプション」による所得が一時所得と認定されました。ストックオプションとはエンロンやワールドコムのときにも問題になりましたが、社員や役員に与えられた予め決められた価格で株式を購入出来る権利のことですが、海外ばかりでなく、ほとんどの日本のベンチャー企業においてもこの権利が従業員に付与されており、大変強力なインセンティブとなっています。
1997年まで課税庁は海外の親会社から付与されたストックオプションについては一時所得として取り扱ってきましたが、1998年、突如取り扱いを変更し、給与所得として取り扱うこととしました。給与所得と一時所得とで課税額が倍も違いますから、これを不服とし、インテルジャパンの西岡前会長はじめ多くの日本支社の役員が訴訟を起こしました。
そもそもこの取り扱いの変更にしても、公に「これまでこのように扱ってきましたが、これこれこういう理由で今後このように取り扱います」とでも言えばこれほどの問題にはならなかったのかも知れません。課税庁はよく、ひっそりと内部的に取り扱いの変更を行います。また密かに内部的な税の取り扱いを定めた「内部通達」に基づいて課税を執行しますが、公にされていないルールで課税されてしまう納税者はたまったものではありません。たとえばもう8年以上も前に従業員の慰安旅行については4泊5日まで非課税ということが公表されました。またその宿泊についても機内泊は含めず、現地宿泊数であることが明らかにされました。特に金額に関する基準は定められておらず、社会通念上よほど豪華なものでなければ、課税されることはありませんでした。しかしその裏で課税庁は内部的に「会社負担額10万円以内」という規定を定め、それを超える旅行に関しては課税を行っていたのです。あるとき税務調査でこれを指摘されたわたしは思わず「逆上」してしまいましたが、未だにこのような不合理な税執行が行われていることはまことに嘆かわしい限りです。
話がそれてしまいましたが(別に会話ではないのですから、こう思うなら書き直せばよいのですが、面倒くさいのでこのように誤魔化しています)今回の判決は久しぶりに課税庁の全面敗訴となった画期的な判決です。今後の推移を見守りたいと思います。

■ 生保の破綻近い? ■
またぞろ生命保険会社の経営問題が話題になってきました。きっかけは11月25日の「予定利率引き下げ」報道です。これまで経営不安のある保険会社を救済する手段として、予定利率引き下げ問題は何回か話題にはなってきました。しかし、その都度生命保険協会会長の否定発言で立ち消えになってきました。
しかし今回は金融庁が予定利率引き下げに対して前向きな姿勢で臨んでおり、かなり具体性は高いと思われます。しかし、報道によれば次期通常国会に保険業法の改正案を提出し、2003年度の実施を目指すことになっています。金融庁は法案の中に、一定期間解約を認めない条項を盛り込む方針のようですが、そうなれば賢い消費者は法案審議中に一斉に解約に走り、法案が成立したときには救済しようとした保険会社は既に破綻していたという結果になりかねません。まるで「法案が成立したら解約出来なくなりますから、解約するなら今のうちですよ」と大声で叫んでいるようなものです。このような手段は隠密狸に運び、一挙に法案を成立させ、即日施行する以外には方法がありませんが、「予定利率の変更は財産権の侵害に当たる」という法的な面も指摘されており、内密にことを進めることなど不可能です。
そもそもこのようなことがマスコミに報道されれば、メガバンクに気を取られていた国民の目が再び経営不安を噂される保険会社に向かいます。今週号の経済誌も再び生保会社特集になってしまいました。なぜ、週刊ダイヤモンド、東洋経済、エコノミストの3誌は、毎週同じテーマを取り上げるケースが多いのでしょう?まるで、3誌で「来週はみんなこの特集で行こう」と事前に打ち合わせをしているかのようです。(これは自動車雑誌にも言えることで、妙に特集が一致します。「イタリア車特集」「スポーツカー特集」「コンパクトカー特集」など、まるで「談合」状態です)
今週号の週刊ダイヤモンドの記事ではやはり朝日生命、三井生命、住友生命の財務基盤の脆弱さが大きく報道されています。これまで何度も私が警告しておりますので前2社、特に朝日生命の資産性の高い保険契約をまだ続けている方はいないと思いますが、そろそろ解約のラストチャンスかも知れません。格付けを見るまでもなく、朝日生命の財務の脆弱さはメガバンクどころではありません。格付け的にも全く投資不的確、いつ退場宣言が出ても不思議ではありません。ここまで、情報開示されているわけですから、いざ破綻したときに文句を言う契約者がいたら、契約者の方が間違っています。
12月9日、金融庁の高木長官は依然金融庁内部で生保の予定利率引き下げ問題が検討中であることを明らかにしました。このようなことを表明すること自体、信じられません。また「法案が提出されると同時に解約が停止される」という情報もあります。素早い決断が重要です。

最後に・・・・
今年もまた暗い話で1年を締めくくることになってしまいました。しかし、決して悲観的になることはありません。精一杯知恵を絞って、誰もが当たり前と思うことを忠実に、継続的に実行していくことで必ず道は開けてくると思います。
それではどうぞ良いお年をお迎え下さい。なお当事務所は新年は1月6日より業務を開始いたします。
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