乗馬では騎手の姿勢がとても重要です。
ブリティッシュの場合、鞍が小さく作られています。
これは、騎手の重心移動を馬に対してダイレクトに伝える為です。
なので、馬の上では騎手は常に正しい姿勢を維持している必要があります。
しかしコレが意外とタイヘン。(^^;;
姿勢
姿勢についてはビギナーの乗馬の方でも触れました。
ここではもうチョット掘り下げてみます。
まず、乗馬の姿勢には馬場馬術用の姿勢と障害馬術用の姿勢があります。(それ以外でも調教する時に使う姿勢などもありますが、ここでは触れません。だって人間が馬に乗るためのコンテンツですから)
馬場馬術用の姿勢(ばばばじゅつようのしせい)
ビギナーの乗馬の方で触れた姿勢は馬場馬術用の姿勢です。 馬場馬術は馬の美しい動作と前進気勢を限界まで高めますので、馬場馬術の姿勢は馬の全てを完全にコントロールする形となります。 また、人と馬が一体となって演技を行うので両者が溶け合ったいわゆる「人馬一体」となった美しい姿勢でなければなりません。 まず、大事な事は騎手は常にリラックスする事です。 力んで体が硬い人間を背中に乗せても馬だって動き辛いものです。 例えば、皆さんが40kgの荷物を背負うとしましょう。その荷物が40kgの岩か人間かでだいぶ背負いやすさが違うと思いませんか? 馬も同じですよ。 我々騎手は馬の運動の邪魔にならないようにする事が大事ですので、その第一歩としてまず、力を抜きましょう。 |
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次に馬の上では真っ直ぐに乗ることです。 鞍つぼの真中に腰を下ろし、膝を後ろへ引くようにします。 そうすると、骨盤が起き上がってくるので座骨がしっかりと馬にあたります。 この座骨は乗馬において非常に重要な役割を果たすので、座骨をしっかり立てるようにしましょう。 座骨がどこだか分からない? 腰を張って椅子に腰掛けて両手をお尻の下に入れてみてください。 左右にとがっているホネがありませんか? 無ければ少しダイエットしませう(^^ゞ そのとがったホネが座骨です。 上半身は気をつけの姿勢になります。 背筋を伸ばして、胸を張って肩を開く。 そして、背骨が自然なS字湾曲を描くようにしてリラックスします。 背中や腰に力が入って硬い状態だと、馬の反撞を抜く事も出来ませんし馬も動きづらくなりますので、必ずリラックスして柔らかい状態を保つようにしましょう。 また、有りがちなのが右図のような間違った姿勢です。 一番多いのは腰が丸くなって骨盤が寝てしまい、座骨が真っ直ぐに当たらなくなる乗り方です。 これは、馬の上に座る感覚でいると陥りやすい状態です。 馬の上には座るのではなく、跨るのです。 また、背筋を伸ばそうとして、腰がくびれてしまい、結果として骨盤が後方へ流れてしまい、座骨が入らなくなるパターンです。 これ以外にも、頭を前に突き出して頚椎の根元で反撞を抜く乗りかたをする方もいらっしゃいますが、これも正しくありません。 |
前から見た感じ![]() 横から見た感じ ![]() 間違った姿勢1 ![]() 間違った姿勢2 ![]() |
膝は力を抜き、柔らかくしてふくらはぎと踵を馬のお腹に優しく添えるような感じにして下さい。 |
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そして、肩や肘からは力を抜き手綱は親指と人差し指でしっかりと持ち、中指と薬指は力を抜いて柔らかく持ちます。 手綱は軽く自分に引き寄せるようにして、弛まないようにしますが、あくまで軽くです。馬が頭を前に出したら拳は馬の動きにつられて前に出るように力を抜いておかなければいけません。 |
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障害馬術用の姿勢(しょうがいばじゅつようのしせい)
障害馬術を行う際、特に障害飛越時に取る姿勢に着いて触れます。 馬が障害を飛越するという行為は馬にとって非日常行為です。 馬は放っておいて障害を飛んだりなんかしません。 騎手が飛べと言うから飛ぶわけです。 障害を飛ぶということは馬にとっても大変な重労働ですから、障害を飛ぶ時に騎手は馬の邪魔をしないように心がけるべきです。 その第一歩としてまず、障害飛越時の姿勢をちゃんと習得する必要があります。 |
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障害飛越時の馬の姿勢 馬が障害を飛越する際に取る姿勢は背中を丸くして弧を描くような姿勢です。 背中が反った状態では障害をうまく飛べませんし、万が一飛べたとしても無理な体勢ですので着地した際に無理な姿勢になって故障してしまう事になります。 |
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まず、障害飛越練習を行う前に鐙革の長さを普段より短くします。 馬場馬術の練習に比べて約3〜4穴は短くする必要があるでしょう。 そうする事で騎手は鐙に立ってバランスを取る事が出来ます。 騎手は、まず前傾姿勢を覚える必要があります。 障害飛越時は腰を浮かして前傾姿勢をとらなければならないからです。 図のように停止した状態で脚を引き、上半身を軽く前傾させます。 次に、軽速歩をとりながら、この練習を繰り返し、駈歩でも行います。 |
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障害飛越時は鐙に立って腰を浮かせ、上体は前に屈めて拳を前方へ送り出します。 そうする事によって馬が障害飛越姿勢を取った時に邪魔にならなくなります。 |
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