馬は真っ直ぐ歩くだけじゃありません。
斜めに動いたり、定置旋回したりする事だって出来るんです。
で、ここではそれらのお話をばさせて頂きます。(^^ゞ
横運動
まずは横運動と呼ばれるものから。
横運動は馬場馬術の運動として行うことが多いですが、それ以外でも障害の準備運動やフラットワークでも横運動を使います。
馬をほぐす(柔軟にする)為には欠かせない運動です。
ここでは、斜め横歩(ななめよこあし)、肩内(かたうち)、腰内(こしうち)、横歩(よこあし)について触れます。
斜め横歩(ななめよこあし:レッグイールディング) これは横運動の基本となり、横運動を始めた方はここからスタートします。 馬の姿勢: 馬の項がわずかに曲がる程度であとはほぼ真っ直ぐです。 騎手からは馬の内方の眉毛と鼻孔が見える状態にする。 この屈曲は進行方向とは逆になり、内方前肢が外方前肢の前を通って交差する。 扶助と姿勢: -姿勢を正す。 -内方脚は腹帯の近くで使う。この脚をメインで使い、馬を前にやるだけではなく内方の後肢を馬体の下へ移動させて外方後肢のやや前方を踏み込ませる。 -外方脚は腹帯の直後に置き、前進気勢を促す。 -内方手綱は騎手から馬の内方の目と鼻孔が見えるように少し項を曲げさせる。 -外方手綱は馬の屈曲度合いを一定させて、馬の平衡を助けて馬の外方肩が外へ逃げるのを防ぐ。 斜め横歩は尋常速歩で行います。 |
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肩内(かたうち 肩を内へ) 肩内は輪乗りや蹄跡行進時に行います。 馬の姿勢: 肩内は、馬が進行方向に対して30度の角度で全身を内側へ屈撓させ、頭を進行方向とは逆へ向ける運動です。 馬の内方前肢は、外方前肢の前で交差し、内方後肢は外方後肢の前を踏みます。 扶助と姿勢: -姿勢を正す。 -半減却を使用して、推進力を増しながら収縮する。 -内方脚を腹帯のやや後ろで圧迫する。 -馬が真っ直ぐ前に進まないように、余分な推進力は外方手綱で制御する。 -馬の後躯が外へ移動しないように外方脚を内方脚の位置よりも更に後ろにしておく。 -騎手の肩は馬の肩と平行になるようにする。 -体重を内方座骨に移す。 -内方座骨を前に保つ。 |
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腰内(こしうち 腰を内へ) 馬の姿勢: 腰内は馬体が騎手の内方脚を中心にわずかに屈撓し、蹄跡から約30度の角度で姿勢を保ちます。 蹄跡行進時の腰内では馬の後躯が蹄跡の内側にむきます。 姿勢と扶助: -姿勢を正して、右手前運動時は右内方姿勢を保ち、左手前運動では左内方姿勢を保つ。 -内方脚を腹帯上に置く。 -前進気勢を失うことなく後躯が前肢より馬場の内側へ入るように外方脚を強めに使う。 -内方手綱で屈撓を促す。 -内方手綱で推進を調整し、馬の方が内側へ傾いてこないようにする。 -体重を内方座骨へかける。 -内方座骨を前へ押し当てる。 |
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横歩(よこあし ハーフパス) この運動は腰内を斜線上で行う形になります。 馬の姿勢: 馬は内方脚を中心に軽く均等に内方へ屈撓し、できるだけ、長蹄跡と平行しながら前躯を後躯よりやや先行させて進む。 外方の肢は内方の肢と前で交差します。 馬の頭は進行方向へ向き、前への行進と横への行進が同時に行われます。 姿勢と扶助: -姿勢を正し、内方姿勢をしっかりとって推進する。 -内方手綱で屈撓を促す。 -進行方向を見る。 -内方脚は腹帯の上に置き、推進の維持とともにないほうへの屈撓の支えとする。 -リズムに合わせて、やや後ろに引いた外方脚で圧迫して、外方の前後肢が内方前後肢の蹄跡を横切りつつ前方へ出るように促してゆく。 -内方手綱で常に推進を調整しながら馬の肩が脱線しないように保つ。 -内方の座骨を前に移して、その上に全体重を乗せる。 横歩は3種の歩様全てで使用できます。 |
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旋回
図形運動では馬を回転させるための旋回運動の事について書きましたが、ここでは定置旋回、すなわちその場での回転運動について触れていきます。
ここで触れる回転は前肢旋回、後肢旋回、ピルーエットです。
前肢旋回(ぜんしせんかい) 前肢旋回は馬の前肢を中心に後躯が旋回する運動です。 左前肢旋回では、馬の左前肢を中心にしますので、回転運動終了まで左前肢の位置はかわりません。 右前肢旋回は左前肢旋回と全く逆になります。 姿勢と扶助: -姿勢を正す。 -常歩や停止状態を一時的に保つ。 -内方へわずかに曲げることによって誘導する。それと同時に、外方脚を腹帯のやや後ろへ移す。 -内方脚を腹帯の位置に置いて、断続的に圧迫する。 -前進を抑制するためには外方手綱を使う。 -座骨は常に鞍の真中へ位置し、馬の腰と平行するように動作を合わせて旋回する。 |
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後肢旋回、ピルーエット(こうしせんかい ピルーエット) 後肢旋回は内方後肢を中心に行う定置旋回です。 両前肢と外方後肢は軸肢として働く内方後肢の周りを旋回し、その内方後肢は同じ位置で軸として旋回する形となります。 騎手は横歩と同じ扶助で外方脚を強めに使います。この運動はもっとも小さな円周上で行われる横歩です。 停止状態から行った場合は後肢旋回と言い、収縮常歩、収縮速歩など運動している状態で行う場合はピルーエットと呼びます。 |
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