月下、花咲くまほろばに


「じゃあ、順を追って説明してやる。いいか?一つ、お前の泣き顔にはそそられる。」

 なっ!?あ、あたしが今の今までらしくもなく悩んでいたのに、こ、この男はこんなことを考えていたのか!一瞬にして頭に血が昇った。悩んでいたあたしが馬鹿みたいだ。
 しかし、ゼルの言葉は遠慮なく続く。

「二つ、俺にも理性の限界がある。三つ、理性の限界を超えると無理やりでも抱きたくなる。」

 ・・・・・ど、どーして男ってのこうなのか・・・・・。
いや待て。そう言えばガウリイがあたしと出会った時も、コナかけるつもりだったみたいだし・・・・。っとにもう!!

「四つ、無理強いしてお前を傷つけると俺は必ず後悔する。更に自分が許せなくなる・・・で、最後には自分で・・・」

 そう言ってゼルは自分で首を掻っ切る真似をした。
 前の三つ目まではいい。でも四つ目は・・・・どうして?
 あたしの疑問に答えが返るはずもなく。ゼルはただ話し続けている。

「・・・しかし、俺はまだ死にたくない。まあ、まだ予定だが・・・俺の女を置いて逝く、なんぞご免だからな。」

「だから!!それがなんであたしと関係あるのよ!!!!」

 ゼルは呆れかえった瞳であたしを見ていた。が、とうとう、渋々という口調で言葉を紡ぐ。
 あたしの予想を遥かに上回る言葉を。

「・・・・・お前、そこまで鈍いか?・・・・・ったく!ここまで言うつもりなどなかったんだが・・・・仕方あるまい。これで最後だ。五つ。俺は予定だろうが何だろうが、自分のものを傷つける奴は絶対に許さん。俺自身も含め、誰であろうとだ。」

 あたしの頭はしばらく間、真っ白だったに違いない。何も頭に浮かばなかったのだから。
 幾許かの時が過ぎたのだろう。ようやく思考能力の戻った頭に、今のゼルの言葉が頭の中をくるくる回る。

 ええーーっと・・・・・・・・・・・・今のは・・・・
あたしが泣くと無理強いだろうと抱きたくなる・・・・
でも、ゼルはあたしを傷つけたくない・・・・・
仮に傷つけたら最終的には自殺することになる。
・・・・・・・で、その理由は、自分のものを(なる予定でも)傷つける者は許さない=それはゼル自身も例外ではない・・・・・・?!!
 ってーーことは!!も、もしかして・・・・置いて逝きたくない女って・・・・・あ、あたし?
 気づいた瞬間、体中、真っ赤になったのでは?と思えるほどあたしは朱に染まってた。

「・・・・ようやくわかったか?・・・しかし、お前、鈍いなんてものじゃないな。女としてもう少し修行した方がいいぞ。いや・・・ま、気がついただけまし、か・・・・。」

 やれやれといった風情のゼルはあたしを抱く腕に力を込める。

「で、・・・でも!アメリアは?」

「なんのことだ?」

 あたしにしてみれば当然の疑問だった。彼の大国の王女がいたから、あたしの心はこんなにも一喜一憂していたのだ。
 が、ゼルは一向に要領を得ない様子で、それはかえってあたしの苛立ちに火をつけた。

「だって!!ゼルはアメリアと!」

 ゼルの言葉が嬉しいはずだったのに、どうしてこんなことを言ってしまうのか?素直に喜べばいいものを。自分の気持ちには、あれほど素直に気づいたと言うのに。自分でも不思議だった。

「俺の守備範囲に、子供は入ってない。」

 なんとも、さらりと言ってのけるゼル。しかし・・・・それじゃあ、アメリアが・・・・そう思った瞬間、言葉がついて出る。

「こ、子供って・・・・・・そっ、それって・・・あんまりじゃない?」

「そうか?至極当然だと思うが?」

「当然じゃないわよ!!」

「それに俺は、これ以上、犯罪を犯したくない。」

「犯罪?」

「少女淫行罪。」

「へ?アメリアは16よ。そんなことには・・・・」

「俺の中では十分、犯罪対象だ。」



 そうして、知らぬ間にあたしは笑っていた。ゼルと二人で。
 儚い楽園の中、二人して無邪気に。
 そう、今は笑おう。
 素直に。
 思いはちゃんと花を咲かせている。
 だからもう、哀しさや、切なさは消えてしまったのだから。
 ここには花と月しかいないのだから。


 いつしか、蒼き弦月が中天にかかっていた・・・・・。


完。(TT)


どうして、こうなるのか・・・自分がわからない・・・。
あまりの恥ずかしさにお蔵入りにしようと何度upを躊躇したか・・・・。
おまけに後半、ぶち切ったし。恥ずかしすぎて。
しかし、一番の問題は・・・こ、ここここ、これの何処が、らぶらぶ甘甘じゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!(怒)
それに、アメリアFANに殺される・・・・。
ゼルもリナも別人だし。おまいら何モン???
はぁぁぁ。ほんとに、ラブラブ甘甘は難しいです。ハイ。
真面目な話、誰かに弟子入りしないとな・・・・・・・。

で、これは、1111のキリ番ゲットされました、たもたも様へ感謝とお礼をこめて捧げます。
いらないって場合はご遠慮なくバンバンお知らせ下さい。(くる!絶対くるぞ。いらぬわって・・・。)

三下管理人 きょん太拝


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