インドの『生き物たち』 2000-01 特集「2000年の干支」

寺院の柱に刻まれたヤーリーのレリーフ

 サブサイトPicturesque Indiaのカニヤークマリで登場した『時の怪獣ヤーリー』は、「龍」とは姿がかなり違いますが、僕は勝手に今年の干支にしました。ヒンドゥー教の寺院には、実に様々な動物の彫刻が施されています。日本の神社の入口に座っている狛犬に似た獅子もいたりて、それら不思議な動物たちが中国や東南アジアを経由してくるうちに、イメージが変容して日本に定着したとは考えられないでしょうか。

 上図は、我が家の今年の年賀状の元絵をPhotoshopで仕上げたものです。これを5版に分けて、プリントごっこで年賀ハガキに印刷しました。

 色はまったくの創造です。どなたか、ヤーリーについてのカラー資料をお持ちの方がいらっしゃったら、是非メールください。

『時の下降』

 左図は、年賀状の元となったスケッチです(少しデッサンが狂っていますが、勘弁して下さい)。

 このヤーリーは、寺院の柱ではなく、御本尊が祀られた本殿の『ひはし=水吐き)』に設えられていました。どこの寺院かは不明なのですが、下方にオウムがぶら下がっているので、もしかしたらマドゥライのミーナークシ寺院で見かけたものかもしれません。

 これはただの排水口ではありません。御本尊にミルクや諸々の香水をかける儀式を「アビシェーガム」といいますが、これら「聖なる排水」が外側に流れ出る『ひはし』部分にこのような彫刻が施されているのです。

 人々はここからしたたり落ちる「聖なる排水」を、手に受けて飲んだり、身体にふりかけたりします。壷にいれて持って帰る人もいます。

「時間」そのものを食べるといわれるヤーリーですが、この場合は吐き出された「時間」が下降するモチーフになっています。

「時間」が下降するとは、いったいどのように考えればいいのでしょうか? やはり、ヤーリーは「時を食べ、吐き出す?」、ブラックホールなのでしょうか?