
上の絵は、クマリ寺院の北門から北へ数百メートル、ホテル街のなかに建つ寂れたお堂の入口。門は閉ざされていて、午後には日陰となるので、行者のお爺さんや野良犬が気持ち良さそうに昼寝している。奥殿の可愛らしいヤーリーとは違って、ここの柱に彫られた彫像は立派だ。
『時の怪獣ヤーリー』は、実在していた動物だそうで、身体は獅子、頭は象。足下に彫られた象さんの大きさからすると、かなり巨大な怪獣である。おチンチンが付いているから雄だろう。
ヤーリーは、時間を支配し、時間を喰うといわれている。時間ばかりかかってしまうという意味の「時間を喰う」ではなく、まさに『時間』そのものを食べるのである。まるでブラック・ホールのように。
ヤーリーの餌の対象となる『時間』とは何か?
食べられてしまった後の『時間』はどこにいってしまうのか?
『時間』を消化してエネルギーに変える生命体とは、いかなる存在なのか?
ヤーリーのウンチやオシッコは、どのような代物なのだろう? それはいまだ『時間』の一種なのだろうか?
実にインド的な問いを喚起してくれる怪獣である。