インドの『男性』スケッチ 99-12

物乞いの親子1983 Madras

少年 1983 Madras

横顔がうまく描けたので。

 マドラスのパリス地区で見かけた足の不自由な物乞いのおじさん。

 通りかかる度に大きく手を振って、いつも素敵な笑顔を投げ掛けてくれました。似顔絵が似てないと何度も描き直しをさせられたっけ。見下ろすような構図なので、まだこの頃は完全にしゃがんで描いていないようです。

 彼は実に自然体で、妙に哀れみを乞うような態度は決してしませんでした。彼の右手に置かれているのは、歩くときの用具。そして、左に座っているのが、彼の可愛らしい娘さん。とっても恥ずかしがっていましたが、スケッチブックにタミル語で父娘の名前?を書いてくれました。合計7Rs.喜捨。

 

 マドラスの下町にかつてあった巨大な野菜市場コタワリチャワリの一角にある立ち飲みラッシー屋(ヨーグルトも売っている)。

 店長のカラスさんは、とっても気さくなおじさん。この風貌で、ねじり鉢巻きして腹巻きでもすれば、御徒町のアメ横で「らっしゃい!らっしゃい!」と威勢のいいかけ声を張り上げる江戸っ子のおじさんそのものだ。

 僕は市場に来る度にここに立ち寄って、メチャクチャ美味しい濃厚なラッシーを飲むのが楽しみだった。天井からぶら下がっている攪拌モーターを回して、その場で作ってくれる。なじみ客だったので、いつも2杯目をサービスしてくれた。僕が食べ歩いたなかでもここのラッシーは天下一品。店内は狭くて確かに汚いが、時々ラッシーにハエが溺れているのを覗けば、超おすすめの味だ。

C.Thirunaukarasu(35) 1983 Madras