はじめに

 食品工場の廃水処理法として活性汚泥法や接触ばっ気法などの生物処理が広く用いられている。しかし、従来の微生物処理では廃水中に油分が含まれていると処理が困難になる事が多い。
 活性汚泥法ではフロックの膨化や糸状菌の発生によるバルキングが起き易くなり、接触ばっ気法でも接触担体に油分が付着して微生物の活動を妨げ、処理性能が低下する事がある。廃水中の油分が微生物処理に与える悪影響はn−H成分が難処理性物質であり、油膜形成等により通常容易に分解できるBODについても処理性を悪化させるため、排水処理装置全体が運転不能に陥るといった大規模なトラブルを引き起こす原因となっている。
 そのため油分が多い廃水に関しては、グリーストラップや加圧浮上装置などの前処理工程を設け予め油分を取り除いて微生物処理を行うのが一般的である。しかし、グリーストラップは比重差で油分を浮上分離させるためエマルジョン化した油分には全く効果がない。一方、浮上した油分も廃棄物として処理する必要があり臭気や衛生面での問題も多い。
 加圧浮上装置はPACなどの薬剤で油分を凝集させ、できたフロックに微細な気泡を付着させて廃水中から浮上分離させる方法である。装置がコンパクトでエマルジョン化した油分に対しての効果があるため、広く用いられている技術だが問題点も多い。

  @ PAC・高分子など多量の薬剤を使用する事。

  A 多量の凝集汚泥が発生し、
    廃棄物として処分が必要である事。

  B 薬剤の補充、添加量の調整など
    運転操作が煩雑である事。

  C 動機器が多くメンテナンスも煩雑である事。

  D 凝集汚泥から臭気が発生する事。


以上が代表的な問題点である。
 特に薬剤費と汚泥処分費によるランニングコストの高さは多くの食品工場において悩みの種になっている。汚泥処分費については廃棄物関連法規制の強化に伴い年々高騰しており、多量に廃棄物を排出することはSDGsの理念にも反しISO14001の思想からも大きく外れるものである。
 弊社では油脂分解力を有する特殊な微生物を利用した『オイルバクターシステム』の開発し1999年に1号機を納入、現在まで順調に稼動している。本システムは微生物の働きにより油脂を分解処理するため、凝集汚泥を発生させる事なく低いランニングコストで油脂廃水を処理する事が可能である。
 ランニングコストの低減以外にも臭気の抑制、運転操作の簡略化など多くのメリットを有するものである。
 既に特許を出願し全国の食品工場を中心に100箇所以上の納入実績があり高い評価を得られている。

ジャパンフードサイエンスより 引用

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