Oldies But Goldies

世に「名盤」なるものはたくさんある。どの雑誌を見ても名盤探検のコーナーがあるが、実際には聴いてみるとがっかり、というようなものもだいぶある。レコード会社と結託した批評家もアテにはならない。収集だけが目的ならいざ知らず、本当にいい音楽を聴きたい人にとっての名盤探検は、いぜんとして砂浜から砂ひとつぶを探しだすようなものだ。
 そこでわれわれは真の名盤を少しでも多く紹介してみたい。黙ってすわればピタリと当たる。ぜんぶ聴いて損のない「当り」だけだ。書を捨てよ、レコ屋に走れ!
















  Gomez  "Bring It On"

’98発売の彼等のファーストアルバムである。
今年の9月発売のセカンド「Liquid Skin」を聴いたら結構良かったのでこれも聴いたら数倍良かった。
  基本は70年代のDr.Johnを思わせる南部スワンプ系のサウンドなんだけど、 ヒップホップ的センスもあり、初期ピンクフロイドのようなサイケな感覚も  持ち合わせている。写 真を見るとほとんど学生バンドってかんじだけど。(圭)
Nick Drake "Five Leaves Left"

 美しいアルバムである。絶望的な暗さと甘美な弦のひびき。
 ブリティッシュ・フォークの精髄というかんじがする。曲もいい、アレンジもいい。歌もどうしようもなく暗くていい。このあと2枚のアルバムを残して、彼はクスリで事故死するが、これを超えるアルバムをつくることはなかった。遺作集もでていて、これ もいい。本当に死が惜しまれる。
 まだレコ屋に在庫があるかもしれぬ。諸君、急げ! (海老マサ)

Dr.John "In The Right Place"

ゴメスの時にも触れたが'73春発表の6枚目のアルバム。
一般的に評価が高い前作の"GUMBO"でみせたニューオリンズR&Bの陽の部分と、彼が初期作品でみせていた独特のおどろおどろしい陰の個性が絶妙に混じりあい、DrJohnオリジナルのサイケデリックロックが完成している。Beatlsの"Sgt.Peppers"や、Slyの"Fresh"のように、ミュージシャンのキャリアの中期にうまく発酵して出来上がるタイプの名盤である。しかもバックはMetersが全面 参加で、その演奏も素晴らしい。(圭)

Lou Reed "Ecstasy"

ルーリード久々の傑作である。何しろ音の一つ一つが躍動している。オープニングの低く うねるベースやぶっきらぼうながら鋭く切れ込んでくるリズムギターを聴けばわかるように、それは決して陽気なものではなく密林の中でうごめく猛獣たちのもつエネルギーのような底知れぬ 力を持ったものである。なかでもこの人の持つ声のパワーがすごい。特に力一杯シャウトするわけでもなく声量 があるわけでもないが 、圧倒的な存在感を持っている。歌の内容にみんなが共感するタイプではにないので好き嫌いが分かれるだろうが、自分の身を削って紡ぎ出される彼の唄声は誰しも耳の奥にこびりついて離れることがないだろう。ストリングとアコギでせつせつと語るように唄われる11曲目の"BATON ROUGE "などまさにルーリード節全開である。ヴェルベットアンダーグラウンドの時からのファンの僕でもここ数年はアルバムの出来も今ひとつで寂しかったが、今回は熱いぜ。(圭)

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