その「食堂」はマドラスの下町にあった。ここは普通のレストランではない。看板もレジもない。吹き抜けの中庭に井戸があり、炊事場となっている。2階の部屋が食事ホールで、朝・昼・晩の三食が食べられる。客はすべてチェティヤールという氏族とその関係者だけの常連さん。皆、都会で働くサラリーマンが多い。彼等は大量生産で味が落ちる一般のレストランを嫌って、チェティヤールの『手作りのマサーラー=故郷の味』を求めて食べに来るのだ。 いわば、ここは「社員食堂」ならぬ「氏族専用まかない食堂」なのである。
その「食堂」はマドラスの下町にあった。ここは普通のレストランではない。看板もレジもない。吹き抜けの中庭に井戸があり、炊事場となっている。2階の部屋が食事ホールで、朝・昼・晩の三食が食べられる。客はすべてチェティヤールという氏族とその関係者だけの常連さん。皆、都会で働くサラリーマンが多い。彼等は大量生産で味が落ちる一般のレストランを嫌って、チェティヤールの『手作りのマサーラー=故郷の味』を求めて食べに来るのだ。
いわば、ここは「社員食堂」ならぬ「氏族専用まかない食堂」なのである。