「ゼルガディスさん、今、好きな人がいるんですか?」
いつもの明るいアメリアの声。だけど、その唐突な質問にゼルは答えない。
「・・そうですか、分かりました」
アメリアはす〜っと、息を吸い込むと
「ゼルガディスさんはリナさんが好きなんですね!!!」
びししっっぃと人差し指を突き出し、アメリアお決まりの
ポーズでゼルを差す。ゼルも私も目を丸くする。
「いきなりっ、なぜそうなるんだ!」
ゼルは突然のことにおどろきながら、逆に聞き返す。
「答えて下さい!その方が、はっきり言ってくれた方が気持ちいいですから!」
ー何言ってるのよ!だからなんで私を引き出すの?
ゼルが私のこと好きなはず・・
とはいえ、私はその答えを聞くのが恐いだけなのかもしれない・・。
ーやっぱり覗きなんかするんじゃなかったな。
今更ながら後悔する。
どうせ、ゼルの返事は決まっているのだから。今ここで聞きたくはない。
「ああ、そうだ」
ゼルは今日のアメリアにはかなわないと言わんばかりにあっさり答える。
ーほらね、やっぱり。違うっ・・・・て。え?
「俺はリナが好きだ。あいつと出会った時からずっとな。」
・・・・・・・・私は自分の耳を疑った。
今、目の前で起きていることがいまいちよく分からない。
アメリアがゼルに告白して、ゼルはアメリアの告白を断って、それで、
今ゼルが好きなのは・・・私?
ぼっ
私の顔が一気に完熟トマトになった。
「リナさんかぁ〜、やっぱり。ゼルガディスさんが好きなのがリナさん
ならいいです!私じゃなかったのは少し残念でしたけど。
私は、ゼルガディスさんのこともリナさんのことも好きですから。」
「・・そうか」
アメリアにそうひとこと言ったゼルの声は、すごく優しい。
いつもクールに構えている彼のたまにみせる笑顔。
やられた。
あぁだめだ、もう、顔が見れない・・。
くそぉ〜ゼルガディスのやつ。
なぜ、そう思うのかは分からない。
だけど人の気もしらないで、歯の浮くようなセリフをさらりと先に
言ってしまったゼルに、無性に腹が立った。
続く!
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