もっと強く生きられる? きっと夢は叶う?

#5 ロマンス


「(はぐはぐ)そんでもってアメリア。(ごきゅごきゅ)あたし達どーやって帰れるっての?」
「ちゃんと食ってから話せリナ」
「そうですよ、まだサンドイッチ沢山ありますし。」
「母さんの手作りはおいしいです〜」
口々に言うアメリア達。
「さて。本題に入りますけど、リナさん」
かちゃ。
カップをおいて、真面目な顔で話すアメリア。……な、なになに?
「正直言いますと、リナさん達が元の世界に戻る方法はまったくありません」
ぶびひゅっ!!!
あたしはあまりなアメリアの発言に、飲んでいた紅茶を吹き出す。
はっきし言ってキタナヒ。
「げほげほげほっ!! こほっ……って待ってよ! じゃなんでさっき……」
「神託にあったんです。
『過去よりの来訪者 赤き堕天使、闇から救い 天使の歌声にて在るべき時代へと戻らん』…と」
………天使ぃ?
「天使って……あのラッパ吹いてて羽のついてる?」
「まあ……そんなものですけど…。神託にあったものは、代々大まかなものですし…。
『天使』……という単語は、なにかを例えていると考えて……」
う〜ん……天使ねぇ…。知り合いにそんな奴いなかったし…。
しかも……赤き堕天使だぁ? どこぞのパツキン大魔王じゃあるまいし…。
「天使…か」
ゼルが小さく呟いた。

ヒョオォォォォォ……。
全てが炭と化した国。
家は黒く汚れ、あちこちからもまだ小さな炎が覗いている。
教会や城の塔は倒れ、静かに、滅びを訴えている。
その塔のてっぺんに。白い影があった。
「フン……これがあの栄華を誇った王国──ディルスか」
対して面白くもなさそうに吐き捨てる。
「つまらんな……負けるということは…」
「りぃぃぃぃぃでぃぃぃぃすぅぅぅぅぅさぁぁぁんっっ!!!」
ひゅんっ。
虚空を切り裂く音と共に、額に青筋マークをつけた青年が出没する。
「フン…ゼロスか」
「どぉぉぉぉしてくれるんですかぁぁぁぁぁ!!! 大きな国はなるべく滅ぼさないで下さいって、今朝も
言ったじゃないですかぁぁぁぁぁ!! 僕怒られちゃいますよぉぉぉぉ!!」
ほとんど涙声の青年──ゼロス。
パシリ魔族には、涙がお似合いである。(意味不明)
「すまん。ストレス解消にと思ってな。フン」
ストレス解消で国滅ぼすな。
「だーかーらー!! そういうのは小さな町か村にして下さいってば!」
そーゆーモンダイぢゃねーだろ?
「で、何の用だ?」
ふいっと顔を反らし、廃墟の国を見つめる黒い瞳。
はぁ…。
ため息をついて、器用にも空中で足を組む。
「ついさっき、あなたに獣王様より勅命が下りました」
ぴくりと反応するリディス。それに気づいているのか、否か。ゼロスは話を進める。
「セイルーン攻略──出陣は三日後、だそうです」
「……………」
無言。
「……わかった。もうそろそろしたら、帰る」
「そーですか。あんまり遅くならないようにしてくださいね? 夜遊びは不良の始まりですから」
ゼロスがそう言って、大きく伸びをし、消える。
ふわりと、冷たい風がリディスの金属の髪を揺らす。
「………聞こえたか? レイン」
『はっ』
リディスのぽつりと漏らした言葉に、くぐもった声が響く。
腰につけている、ブロード・ソードから。
『獣王様が言っていた、過去よりの来訪者も……おそらくそこに』
「ああ……。私に脚を向けたあの娘……セイルーン王族のアミュレットをつけていたからな」
フン。
「セイルーンか………」

「へぇ〜。ガウリイはシルフィールと結婚したんだ」
「ええ。シリィって男の子がいて…確か今年で19、だったわね」
「セイルーンの赤の竜神のお祭りももうすぐだし……。今年も来ますよね、母さん」
おいおい。あんたら帰りたくないんか? んなゆーちょーに…話してて。
「ねえ、じゃあたしは?」
何気なく聞いたリナの言葉に、アメリアとアミエラが硬直する。
「…どーしたの? まさか……こっちではもう死んでるとか言わないでしょーね…」
「リナが死ぬんだったら、世の中終わりだぞ」
どこっ!!
ゼルガディスのみぞおちに、リナの短剣の柄が入る。(素手で叩くと痛いじゃん byリナ)
「いえ……もう18年も…………便りがなくて…。行方不明なんです………」
…………………………。
は?
「行方不明……って…18年もっ!?」
こくりとうなずくアメリア。
なるほど……だからあんなに喜んで、飛びついてくれたんだ……。
「セイルーンの探査部隊を使って調べてもみたんですけど…。
故郷にも立ち寄った形跡はおろか、ある地点からぷっつりと姿が消えているんです」
「この間成敗した盗賊団の人たちも、リナ様が死んだらしいとか言ってましたし……」
う〜みゅ…。
『フン。こんなところにいたのか』
唐突に。
声が響く。
続いて、ヴン…と虫の羽音にも似た音が鳴り、辺りが闇と化す。
「な、なに!?」
「空間を歪めたのよ」
リナが、困惑するアミエラに言い放ち、迎撃体制に入る。
アメリア、ゼルガディスも同じく。
そして。
ひゅん。
闇の中に、ふわりと降り立つ白い影。
不敵な笑みを浮かべる、異形の少女。
獣将軍(ジェネラル)リディス。
「フン──」
 

                         #5・了



浅島 美悠様よりのコメント

いやぁ〜。あたしは自分の出したオリキャラで、リディスが一番気に入ってますわ。
理由・・・・・・ってーか。冷静なタイプが好みなもんで、ですわ。(だからゼル君らぶらぶなんですわ)
まだいますわ〜オリキャラ。あと一人か二人くらい・・・かな? ですわ。
では。
     
                           Miyu Asazima


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