「(はぐはぐ)そんでもってアメリア。(ごきゅごきゅ)あたし達どーやって帰れるっての?」
「ちゃんと食ってから話せリナ」
「そうですよ、まだサンドイッチ沢山ありますし。」
「母さんの手作りはおいしいです〜」
口々に言うアメリア達。
「さて。本題に入りますけど、リナさん」
かちゃ。
カップをおいて、真面目な顔で話すアメリア。……な、なになに?
「正直言いますと、リナさん達が元の世界に戻る方法はまったくありません」
ぶびひゅっ!!!
あたしはあまりなアメリアの発言に、飲んでいた紅茶を吹き出す。
はっきし言ってキタナヒ。
「げほげほげほっ!! こほっ……って待ってよ! じゃなんでさっき……」
「神託にあったんです。
『過去よりの来訪者 赤き堕天使、闇から救い 天使の歌声にて在るべき時代へと戻らん』…と」
………天使ぃ?
「天使って……あのラッパ吹いてて羽のついてる?」
「まあ……そんなものですけど…。神託にあったものは、代々大まかなものですし…。
『天使』……という単語は、なにかを例えていると考えて……」
う〜ん……天使ねぇ…。知り合いにそんな奴いなかったし…。
しかも……赤き堕天使だぁ? どこぞのパツキン大魔王じゃあるまいし…。
「天使…か」
ゼルが小さく呟いた。
ヒョオォォォォォ……。
全てが炭と化した国。
家は黒く汚れ、あちこちからもまだ小さな炎が覗いている。
教会や城の塔は倒れ、静かに、滅びを訴えている。
その塔のてっぺんに。白い影があった。
「フン……これがあの栄華を誇った王国──ディルスか」
対して面白くもなさそうに吐き捨てる。
「つまらんな……負けるということは…」
「りぃぃぃぃぃでぃぃぃぃすぅぅぅぅぅさぁぁぁんっっ!!!」
ひゅんっ。
虚空を切り裂く音と共に、額に青筋マークをつけた青年が出没する。
「フン…ゼロスか」
「どぉぉぉぉしてくれるんですかぁぁぁぁぁ!!! 大きな国はなるべく滅ぼさないで下さいって、今朝も
言ったじゃないですかぁぁぁぁぁ!! 僕怒られちゃいますよぉぉぉぉ!!」
ほとんど涙声の青年──ゼロス。
パシリ魔族には、涙がお似合いである。(意味不明)
「すまん。ストレス解消にと思ってな。フン」
ストレス解消で国滅ぼすな。
「だーかーらー!! そういうのは小さな町か村にして下さいってば!」
そーゆーモンダイぢゃねーだろ?
「で、何の用だ?」
ふいっと顔を反らし、廃墟の国を見つめる黒い瞳。
はぁ…。
ため息をついて、器用にも空中で足を組む。
「ついさっき、あなたに獣王様より勅命が下りました」
ぴくりと反応するリディス。それに気づいているのか、否か。ゼロスは話を進める。
「セイルーン攻略──出陣は三日後、だそうです」
「……………」
無言。
「……わかった。もうそろそろしたら、帰る」
「そーですか。あんまり遅くならないようにしてくださいね? 夜遊びは不良の始まりですから」
ゼロスがそう言って、大きく伸びをし、消える。
ふわりと、冷たい風がリディスの金属の髪を揺らす。
「………聞こえたか? レイン」
『はっ』
リディスのぽつりと漏らした言葉に、くぐもった声が響く。
腰につけている、ブロード・ソードから。
『獣王様が言っていた、過去よりの来訪者も……おそらくそこに』
「ああ……。私に脚を向けたあの娘……セイルーン王族のアミュレットをつけていたからな」
フン。
「セイルーンか………」
「へぇ〜。ガウリイはシルフィールと結婚したんだ」
「ええ。シリィって男の子がいて…確か今年で19、だったわね」
「セイルーンの赤の竜神のお祭りももうすぐだし……。今年も来ますよね、母さん」
おいおい。あんたら帰りたくないんか? んなゆーちょーに…話してて。
「ねえ、じゃあたしは?」
何気なく聞いたリナの言葉に、アメリアとアミエラが硬直する。
「…どーしたの? まさか……こっちではもう死んでるとか言わないでしょーね…」
「リナが死ぬんだったら、世の中終わりだぞ」
どこっ!!
ゼルガディスのみぞおちに、リナの短剣の柄が入る。(素手で叩くと痛いじゃん byリナ)
「いえ……もう18年も…………便りがなくて…。行方不明なんです………」
…………………………。
は?
「行方不明……って…18年もっ!?」
こくりとうなずくアメリア。
なるほど……だからあんなに喜んで、飛びついてくれたんだ……。
「セイルーンの探査部隊を使って調べてもみたんですけど…。
故郷にも立ち寄った形跡はおろか、ある地点からぷっつりと姿が消えているんです」
「この間成敗した盗賊団の人たちも、リナ様が死んだらしいとか言ってましたし……」
う〜みゅ…。
『フン。こんなところにいたのか』
唐突に。
声が響く。
続いて、ヴン…と虫の羽音にも似た音が鳴り、辺りが闇と化す。
「な、なに!?」
「空間を歪めたのよ」
リナが、困惑するアミエラに言い放ち、迎撃体制に入る。
アメリア、ゼルガディスも同じく。
そして。
ひゅん。
闇の中に、ふわりと降り立つ白い影。
不敵な笑みを浮かべる、異形の少女。
獣将軍(ジェネラル)リディス。
「フン──」
#5・了
浅島 美悠様よりのコメント
いやぁ〜。あたしは自分の出したオリキャラで、リディスが一番気に入ってますわ。
理由・・・・・・ってーか。冷静なタイプが好みなもんで、ですわ。(だからゼル君らぶらぶなんですわ)
まだいますわ〜オリキャラ。あと一人か二人くらい・・・かな? ですわ。
では。
Miyu Asazima
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